商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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109 俺の中の男子の部分がショックを受けた

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「なんてこった、初めては何処の部屋でしたかってまで聞かれちゃったよ」


 京香君、容赦ない。
 あれが若さと言うものか。数年しか年齢離れていないと言うのに、既に中年のおじさんになってしまった気分。ま、まだ二十代、若い筈だ。って、自分自身に突っ込んでみて同時に虚無感を覚える。
 何をやっている、俺。

 しかし京香君ってば流石十代、無鉄砲というか後先考えていないと言うか。
 あれ、同じ意味だった?

 京香君に数十分ほど、憲真と何処までしたかとか具体的な詳しい話を聞かせてくれと細々と聞かれてしまい、「本気で止めて下さい、俺のメンタルが死亡してゾンビになりそうな勢いです」と土下座する勢いで言って何とか止めさせた。京香君って時折好奇心旺盛で止まらない所があるからなぁ。
 普段は明るくて人当たりが良いから嫌いじゃないけど、こういうデリケートな時は困る。
 恥ずかしくって返事し難いよ、くすん。

 もしかして落合君が傍に居なかったみたいだから暇だったのかな。
 それでも最後には『店長ちゃん番、おめでと』と祝ってくれた。嬉しかったけど、同時に『お赤飯炊かないとね!俺作ったこと無いからわからないけど!』と言われて咽ちゃったよ。全く、賑やかな人だよ。でもいい人だから結構気が合う。
 αとΩで友人関係を継続できるって珍しい。少なくとも学生時代の学友のα達は誰一人として友人関係継続したりしてなかったし、それ以前に友人でも無かった。
 …い、いや友達が居なかったわけじゃないよ?
 実家のβの女の子達からはメールとかLINEとかで連絡が入るし、都会でしかない物とか場所とかの話を聞かれたりするし、流行のものとかの話題とかもされるし。ちょっと古いけどタピオカミルクティーとか、台湾カステラとか、韓国の美容品とか。会話が女子な気がするけど。

 ん?あれ、もしかして俺って男子扱いされていない気が…いや、良いけど。Ωだし。
 け、憲真と番ったし。負け惜しみじゃないゾ。
 た、多分。
 俺の中の男子の部分がショックを受けたけどな!

 おっと、今はその話じゃなかった。


「番った時、ヒートが入っちゃったから所々しか覚えていないよ」


 処女を失ったのは自覚しているけどね。
 ついでに項を噛まれたこともちゃんと覚えている。
 項を噛んでと頼んだのは俺だし、うん。

 思い出して来たらどんどん恥ずかしくてうぐわぁ~!って、叫んでベッドの上で転がってみる。
 ついでにこの部屋に置かれている小さな冷蔵庫からペットボトルの水を出し、一口飲んで落ち着かせる。

 そう!憲真の寝室にはワンドアの冷蔵庫があったよ!中身はミネラルウォーターと強炭酸水の二種類のペットボトルにワインが入っていた。おつまみとか食料一切無し。ワインとか入っているならチーズぐらいはあるかと思うだろ?でも無い。ある意味潔い。
 もしかしてワインセラー代わりに使っているのかなって思ったけど、本物のワインセラーはリビングにあった。真っ黒な色でガラス扉、上部には温度設定された上質っぽい品。空きがあるとはいえ、フルボトルのワインが幾つか入っている。無知故種類とかはよく知らないけど。

 そうか、憲真ってばワインを飲むのか。
 普段飲むのは赤かな、それとも白?まさかのロゼ?スパークリングワインとか飲むのかな?
 それなのに俺の前では飲んでいる所って滅多に見たことが無い。
 日本酒なら見たような。
 もしかして普段俺が甚平とか和装が多いから遠慮していたとかかな。気にしなくていいのに。ああ、でも前にビールは飲んでいた気がする。
 もしかしてワインセラーの中にビール、入っていたりして。しかも瓶で。いや、さすがに無いか。
 …身体が動けるようになったら見に行ってみよう、入っていたらちょっと面白い。

 むぅ…酔っぱらっている憲真、見てみたい。

 この場に居ない憲真にLINEで『/(^o^)\ナンテコッタイ』とだけ送ってみたら、速攻で電話が来ちゃったよ。勿論相手は憲真。今の俺、声掠れているのだけど…まぁ良いか。
 原因は憲真との…むにゃむにゃだし、俺も原因だけどな!
 共犯、イエーイ。
(我ながら変なテンションだ。京香君のノリが移ったか?)


『眞み…『やっほーぃ店長ちゃん元気ー!?』』

「は??」


 何故、俺の名前である眞宮の「まみ」の声の後、スマートフォンから喫茶ロインの店長である不破さんの声が聞こえて来たんだ?
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