商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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124 留守番とか渋滞とか

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 side.嵯峨憲真

 お隣さんの家が積雪のために見えないのは、一階建てだったからだと言うのを聞いた。
 一階建てのせいかほぼほぼ雪に埋もれていて、道路に面した玄関周辺しか雪掻きをしていない為に余計に埋もれていて見えないのだとか。
 それと、住んでいるのは70代過ぎのご夫婦だとも。
 旦那さんの方はつい先日腰をやられてしまい、今は奥さんが一人でやっているため、玄関周辺しかやれないのだとか。


「普段はボランティアの人達やお隣さんが雇った人が雪掻きをしてくれるのだけど、今年は大雪だからね~」


 と、津軽弁のイントネーションだけど頑張って標準語で話そうとしてくれている眞宮の幼馴染の五ツ木君。その彼が何故か勝手知ったる何とやら?と言う状態で眞宮の実家の玄関を開き、「さぁどうぞ」と招いてくれる。
(因みに彼、五ツ木君は実家で経営している店や家の周囲と道路を雪掻きするだけで二時間かかるらしく、他所の家の雪掻きをするほど余裕は無いそうだ)


「ちなみに俺、眞宮の家で留守番していたんで。気にしないでな~」

「んじゃ、母さん達は?」

「いやーそれがさ、この大雪だから配達してくれる予定だった寿司屋のおっちゃんが配達無理になっちゃってさ。Uber Eatsとかはこの辺だと配達やっていないし、仕方ないからって車出して取りに行っているよ。ついでに買出しもしてくるらしいから俺が留守番預かった」

「買出しって…」


 そう言って眞宮は空を見上げ、


「道路、渋滞しているんじゃね」




 *



 玄関に入り、持って来た荷物はどうするかと思案していると、五ツ木君が玄関横のドアを開け「コートとか荷物はこっちに置いておいてってさ」と言われ、頭やら肩にある雪を外で払ってからハンガーに掛けて荷物を仕舞う。
 途中眞宮が「うわ、リフォームしたって言っていたけど色々変わっている」と一言。


「そうなのか?」

「ああ、うん。俺が社会人になって店を出す前辺りに『雪の重さで一部潰れた』って理由でリフォームしたって聞いていたけど…」

「玄関が潰れたんだってさ~」


 俺達の声を聴いていた五ツ木君がサラっととんでもないことを言った。


「マジか」

「おう、玄関だったから大変だったみたいだけど、ほら、玄関の直ぐ横ってトイレだったから大事には至らなかったらしいよ。出入りも居間や台所から出来たらしいし。その代わり雪が解けて着工するまで俺の所に避難していたけどな」

「え」

「ほら、家の牧場の横に昔からある小屋。そこをちょっと直してから貸したんだ」

「あ~…何だっけ、昔倉庫にしていたって言う所だったっけ。普段はバンドとかの練習場にしているとかなんとか。田舎だから音が周囲に響いても誰も文句を言わないとかなんとか聞いたことがある」


「そうそう、その倉庫」と頷いている五ツ木君と眞宮の会話を耳にしながら…

 雪国って怖!雪の重さで玄関潰れるって!

 と、遠い目をしてしまった。

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