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125 猫のような悲鳴
しおりを挟むside.嵯峨憲真
くつくつと音が鳴る、目の前でほかほかと湯気を出し煮込まれている鍋。
確か眞宮のご両親は寿司屋に車を出して取りに行って居たのではなかったのでは?とか、炬燵の中に足を入れ、その上にカセットコンロ。ぐつぐつと煮だった鍋を置いて居るから食欲を刺激するいい匂いが部屋中に充満している。
焼き豆腐やらネギ、椎茸に白菜、しらたきに良いお肉だと思えるサシが入った牛肉が入っている。
…いるのだが、何故、鍋の中に肉団子?とか思って居たら眞宮が、「うわ~久し振りの軟骨入り肉団子だ!」と、嬉しそうにしている。
どうやら軟骨入りの肉団子は眞宮の好物で、それを覚えていた母親が久し振りの帰省だからとちょっと遠い肉屋で購入し、入れてくれたらしい。
成程、だから鍋なのか。
鍋の中で牛肉と軟骨入り肉団子は離れて入れてあるのだが、眞宮は牛肉には目もくれずに肉団子ばかり見詰めている。もしかしたら牛肉には箸を伸ばさないかも知れないなぁ。とか思って居たら、五ツ木君によって鍋の中に肉団子が追加された。
先程よりも更に目が輝く眞宮。
余程の好物なのか、それとも寒い最中帰省したから空腹状態だったからか。
前者か後者、もしくは両方か。
眞宮の嬉しそうな顔、これは両方の方だな。
ふと、時折俺の足をツンツンと突くのは眞宮の悪戯か?そうだったら可愛いなぁ…じゃ、なかった。
…五ツ木君だな、これは。
にや~りと口元を愉快そうに上げ、此方を見上げている。
これはあれか?眞宮の好物である軟骨入り肉団子を追加で入れてやったぜ!と言うことか。
なお、五ツ木君は全く可愛くは無い。
可愛いのは俺の隣の席に座っている眞宮だ。
眞宮の手は炬燵の中にある俺の手の上に軽く重ねている。偶然重なったのだがそのままの状態を維持してくれている。
幸せだ。
素晴らしい。
重なった手から眞宮の暖かさが伝わり、愛しさが増す。
俺の番、可愛過ぎる。
だが、俺の背後である隣室の居間から俺達三人が座っている炬燵がある和室へと、俺だけを射殺さんとする程の寒気と殺気がガンガンと勢いよく突き刺さって来る。
ついでに、「ぐぬぬぬぬ」とか、「何処の馬の骨が俺の大事な愛息子をかっ攫ったと思って居たら、太刀打ち出来ないほどのイケメンキタコレ!」とか「何てことだ!」「太刀打ちできぬ!」「ふぬぬぬぬ!」と、ブツブツと愚痴が聞こえて来る。
「おとーさん聞こえているわよ~」
と、余りにもブツブツ言っていた声が鬱陶しかったのか、眞宮の母親が俺の背後の襖にへばり付いている眞宮の父親を片足で足蹴にしてから背中を踏み潰した。
お母様、強い。
俺、眞宮のお母様には逆らわない様にしよう。
「みぎゃぁ」
と、言う猫のような悲鳴が聞こえて来たが聞かなかったことにしよう。
***
2023年12月07日 かっ攫ったの部分文字修正。
何度も漢字で修正を掛けたのですが、何故か文字化けをするので(@_@;)
文字化けをしていない部分を見たい方は、カクヨム版をどうぞ
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