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4 魔王様は手作りに感動する
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「ど、どうかな?」
ドキドキしながら魔王のリアクションを待つローズ。イリアに習って人生で初めて作ってみたが······正直形は微妙に歪なので不安なのだ。
そんなローズの不安とは裏腹に魔王は久しぶりに食べた食事·····しかも手作りに密かに感動していた。この身体······魔王となってから激務続きで食事など、きちんと取れてなかったのだ。
無論、この身体は睡眠も食事も必要ない非常に便利な身体だが、出来ないわけではないので有難い。
しばらく味わってから魔王は彼女にだけ分かるように微笑んで言った。
「凄く美味しいよ。ありがとう」
「えへへ·····良かったぁ」
ホッとするローズ。強ばってた魔王の表情を柔らかく出来たのも嬉しかったのだ。そんな優しい彼女の気遣いに気付いた魔王は自分の狡さに少しだけ罪悪感を抱いて思わず聞いていた。
「ローズ。本当にいいの?」
「ん?何が?」
「その·····俺みたいな怖いのの側にいて。君が望むなら人間の世界に君を返すことも出来るけど·······」
「それは····絶対に嫌」
ローズとしてはもう、人間は誰も信じられなかった。かと言って魔物を信じてる訳でもない。彼女が信じてるのは魔王ただ1人。彼の側にいることがローズにとっての幸せなのだ。
「私ね、初めてなの。誰かに好きって言われたの。それにね······魔王様はいつも無理してるから私の前だけでも楽にして欲しいの」
きっと、自分には想像もつかないほどに過酷なことをこれまで1人でやってきたであろう魔王の心を少しでも癒したいのだ。そんな彼女の言葉に魔王は嬉しくなって思わず少しだけ涙ぐんでしまっていた。
「ありがとう······」
「ねぇ、魔王様。本当の名前はなんていうの?」
「名前?」
「うん。魔王様って名前が本当の名前じゃないんでしょ?」
久しく聞かれたことがなかったその質問に魔王はしばらく迷ってから本当に久しぶりにこの世界での本名を告げていた。
「そう·····素敵な名前だね」
「でも、出来れば魔王で通して欲しい。その······恥ずかしいのもだけど、真名はバレたくないんだ」
「うん。分かった」
物分りのいいローズに魔王は心底有難いと思った。特に魔物ばかり相手にしてると力でねじ伏せなくていいから本当に楽でいい。そして可愛い。
「ローズ。これを持っててくれないか?」
「綺麗なペンダント·····貰っていいの?」
「うん。お守りみたいなものだから」
初めて貰ったプレゼントにローズは嬉しそうに微笑むが·····魔王は願わくばこれの力が発動しないことを切に願うのだった。
「イリア」
「はい。魔王様」
ローズとの憩いの時間を過ごした後。部屋を出て近くで待機していたイリアに魔王は先程までの緩めていた表情をキリッと戻して言った。
「ローズの護衛、警戒は怠るな。恐らくそう遠くないうちに最初の奇襲があるからな」
「はい。この命に代えましてもローズ様はお守りいたします」
「ダメだ。命は大切にしろ。それにお前が居なくなってはローズが悲しむ」
「なんと慈悲深い······かしこまりました」
長年魔物や魔人を見てきてわかったことがある。上位の存在に絶対服従で、命すら簡単に投げることもあるということだ。イリアが死んでは代わりにローズの世話をする者がいなくなるのでなるべく長生きして貰いたいのだ。
まあ、人間に近い姿でこうまでローズと親しく出来るのもイリアくらいだろう。
「魔王様。ガウル様のことは·····」
「わかってる。そのうち処理するさ」
「考えたくはないですが······ローズ様に何しから危険があるとすれば」
「そうだな」
忠義も行き過ぎて暴走すれば邪魔でしかない。その時は遠慮なく消すつもりだ。そうしてイリアに命令をしてかれ魔王は仕事に戻るのだった。その嫌な勘が当たっていたと知るのはそう遠くないうちのことだった。
ドキドキしながら魔王のリアクションを待つローズ。イリアに習って人生で初めて作ってみたが······正直形は微妙に歪なので不安なのだ。
そんなローズの不安とは裏腹に魔王は久しぶりに食べた食事·····しかも手作りに密かに感動していた。この身体······魔王となってから激務続きで食事など、きちんと取れてなかったのだ。
無論、この身体は睡眠も食事も必要ない非常に便利な身体だが、出来ないわけではないので有難い。
しばらく味わってから魔王は彼女にだけ分かるように微笑んで言った。
「凄く美味しいよ。ありがとう」
「えへへ·····良かったぁ」
ホッとするローズ。強ばってた魔王の表情を柔らかく出来たのも嬉しかったのだ。そんな優しい彼女の気遣いに気付いた魔王は自分の狡さに少しだけ罪悪感を抱いて思わず聞いていた。
「ローズ。本当にいいの?」
「ん?何が?」
「その·····俺みたいな怖いのの側にいて。君が望むなら人間の世界に君を返すことも出来るけど·······」
「それは····絶対に嫌」
ローズとしてはもう、人間は誰も信じられなかった。かと言って魔物を信じてる訳でもない。彼女が信じてるのは魔王ただ1人。彼の側にいることがローズにとっての幸せなのだ。
「私ね、初めてなの。誰かに好きって言われたの。それにね······魔王様はいつも無理してるから私の前だけでも楽にして欲しいの」
きっと、自分には想像もつかないほどに過酷なことをこれまで1人でやってきたであろう魔王の心を少しでも癒したいのだ。そんな彼女の言葉に魔王は嬉しくなって思わず少しだけ涙ぐんでしまっていた。
「ありがとう······」
「ねぇ、魔王様。本当の名前はなんていうの?」
「名前?」
「うん。魔王様って名前が本当の名前じゃないんでしょ?」
久しく聞かれたことがなかったその質問に魔王はしばらく迷ってから本当に久しぶりにこの世界での本名を告げていた。
「そう·····素敵な名前だね」
「でも、出来れば魔王で通して欲しい。その······恥ずかしいのもだけど、真名はバレたくないんだ」
「うん。分かった」
物分りのいいローズに魔王は心底有難いと思った。特に魔物ばかり相手にしてると力でねじ伏せなくていいから本当に楽でいい。そして可愛い。
「ローズ。これを持っててくれないか?」
「綺麗なペンダント·····貰っていいの?」
「うん。お守りみたいなものだから」
初めて貰ったプレゼントにローズは嬉しそうに微笑むが·····魔王は願わくばこれの力が発動しないことを切に願うのだった。
「イリア」
「はい。魔王様」
ローズとの憩いの時間を過ごした後。部屋を出て近くで待機していたイリアに魔王は先程までの緩めていた表情をキリッと戻して言った。
「ローズの護衛、警戒は怠るな。恐らくそう遠くないうちに最初の奇襲があるからな」
「はい。この命に代えましてもローズ様はお守りいたします」
「ダメだ。命は大切にしろ。それにお前が居なくなってはローズが悲しむ」
「なんと慈悲深い······かしこまりました」
長年魔物や魔人を見てきてわかったことがある。上位の存在に絶対服従で、命すら簡単に投げることもあるということだ。イリアが死んでは代わりにローズの世話をする者がいなくなるのでなるべく長生きして貰いたいのだ。
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「魔王様。ガウル様のことは·····」
「わかってる。そのうち処理するさ」
「考えたくはないですが······ローズ様に何しから危険があるとすれば」
「そうだな」
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