デッドエンドで処刑された悪役令嬢は、魔王様の手により蘇って溺愛されるそうです

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5 魔王様激怒

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「ふふふ~ん、ふ~ん、ふん、ふふふ~ん♪」

ご機嫌に身につけたペンダントを眺めるローズ。貴族の頃、確かに外行の格好として装飾品を着けることは珍しくなかっが······贈り物は初めてなので嬉しくなる。

そんなローズの様子に少しだけ複雑そうな表情を浮かべるイリアだったが、ふと気配を消して部屋に近づいてきてる存在がいるのを捉えて警戒体制に入る。

「ローズ様。少し失礼します」
「え?」

驚くローズを抱き寄せて姿勢を低くしてローズを庇うように扉に背中を向けるーーーと、突然ドアが破壊されて、黒い陰が襲ってきた。

ローズを衝撃から守ってから、イリアは懐から小刀を出すとそれで相手の爪をなんとか受け止める。そしてその人物が誰なのか分かって顔を顰めて言った。

「お下がりください······ガウル様。このようなことを魔王様が望まれないのはわかっておりますよね?」

案の定というか、襲ってきたのは側近のガウルだ。普段の姿より一回り大きい本来の姿で襲ってきたガウルは鋭い視線で後ろにいるローズを睨むと言った。

『どけ。俺はその女を殺さねばならない。魔王様を誑かすその魔女をな』
「なりません。この方は魔王様の大切なお后様です」
『ふざけるな!人間ごとき下等生物が魔王様のお傍になど相応しいわけがないだろう!』
「ぐっ······!」

空いてるもう片方の手でイリアを吹き飛ばすと、ガウルはローズにその爪をたてようとするが······その前に横から割り込んできたイリアによって阻止される。

「お逃げください!ローズ様!」
「で、でも·······イリアが······!」
「私は大丈夫です!それに·····あなた様は魔王様に必要なお方です。絶対に守ってみせます!」
「イリア·······」

どうすればいいのか立ち尽くすしかなかったローズ。折角助けられた命だ。せめてこの命は魔王のために使いたい。でも、イリアを見捨てることなど出来なかった。

「がっ!」
『ふん·····手こずらせおって』

見れば、イリアはガウルの爪で足を負傷して組み伏せられていた。そうしてトドメの一撃を加えようとするのを見てローズは·····勢いよくガウルにタックルをすると叫んだ。

「やめて!イリア逃げて!」
「ローズ様·····!何故·····!」
『離れろ魔女め!』
「きゃっ!」

非力なローズは少しの振り払いですぐに地面に飛ばされてしまった。イリアがなんとか立ってローズを庇おうとするが·····それよりも早くガウルはローズに近づくと言った。

『貴様ごときが魔王様のお傍にいるなんて有り得ないのだ。生まれてきたことを後悔するといい!』

奇しくもそれは元婚約者の王太子に言われた台詞に近かった。そうして最後の一撃がローズに当たる前に········今度はローズは前とは違って微笑んでいた。

(魔王様······大好きです·······)

不思議と前のような恐怖や諦めはなかった。ただただ、彼の優しい顔が浮かんでいた。

「さようなら······魔王様······」

そうして何かを叫んでいるイリアに微笑んでからそっと目を閉じるのだった。






痛みはなかった。それどころか何かに優しく包まれているように思えた。知っている温もり。

「大丈夫か?」

その声も知っていた。ゆっくりと目を開けると·······そこには自分を抱きしめている魔王の姿があった。

「魔王様·······夢·······?」
「現実だよ。遅くなってすまなかった」

どうやら自分はまだ生きているようだった。見ればガウルの爪は空中で見えない何かによって防がれていたのだ。

『ま、魔王様······!?なぜ······!?』
「あ、魔王様!イリアが······」
「わかっている」

ガウルの驚愕を無視して魔王はローズを抱きしめたまま怪我で倒れているイリアに近づくと言った。

「よく頑張ったな、イリア」
「ま·····魔王様·····申し訳·····」
「気にするな。お前はできる限りのことをしたさ」

そっとイリアの頬に触れる魔王。するとイリアの傷は一瞬で綺麗に消えたのだった。ゆっくりと寝息をたてるイリアを見てホッとするローズを魔王は1度下ろすとそっと抱きしめてから言った。

「こんなことに巻き込んでしまってごめん」
「いいの。だって魔王様助けに来てくれたもん」
「そうだな······少しだけこの部屋で待ってて。俺はガウルと話をしてくるから」

そう言ってパチンと指を鳴らすと途端に消える魔王とガウル。きっとどこかに移動したのだろう。それを見てからローズはへたりと地面に座り込むのだった。






「さて······ガウル。お前は楽には殺さないからな」

一瞬で移動したのは異空間。それも恐らく魔王個人の空間だろう。ガウルは魔王から放たれる殺気を浴びて震えながもなんとか弁明をしようとする。

『ま、魔王様。どうかご再考ください!あのような下劣な女を娶るなど······がっ!』

ザクザク!と全身を空中から現れた無数の刃で貫かれるガウル。派手な血飛沫をあげて苦しむガウルは虫の息だが、しばらくそうして苦しみを与えてから死にそうになるところで魔王は治癒の魔法で一瞬で回復させる。

『はぁ·····はぁ······ま、魔王様······』
「勘違いをするな。許してなどいない」
『へ·····ぐばっ!』

今度は全身を毒で蝕まれる。物凄い激痛と手足が消えていく苦しみを味わってから、死ぬ寸前でガウルはまた魔法で蘇生させられる。

「言っておくが、私はお前を許してはいない。これから······生まれてきたことを後悔しながら絶望というものを教えてから·······欠片も残さずに消し去ってやる」

永遠にも思える時間をガウルは苦しみと恐怖で過ごした。そして誓った。もし生まれ変わったなら絶対にローズには関わらないようにしようと·········そうしてこの日、ガウルという存在は永遠に消えるのだった。転生もさせないほどに消滅させたのだ。







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