デッドエンドで処刑された悪役令嬢は、魔王様の手により蘇って溺愛されるそうです

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閑話 魔王のもたらした混乱

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「くそ!あのクソ女が······!」

ハルバート王国の王太子、本来なら爽やかなイケメンである彼は目の下の隈と怒りの形相で室内の物に怒りをぶつけていた。

何もかも全て上手くいっていたのだ。全ては彼が昔から目をつけていた平民の女を妃にするため。そのために全く好みではない、むしろ嫌悪しているローズを婚約者としたのだ······それが、まさかこのような事態になるとは思いもよらなかったが。

「いつからだ·······いつから魔物なんかと·······!」

彼からしたら、魔王がローズを連れていったのを見たらそういう考えにもなる。処刑後に連れていったとしても、そういう風にしか見れないのが彼の限界なのだろう。

「あいつさえいなければ!あいつのせいだ!」

国民の多くは、魔王の報復を恐れて国を去った。彼の父親の国王陛下と母親の王妃は彼に全てを投げて隠居という形で遠くに行ってしまった。

そして······彼の愛した平民の少女もまた、魔王の報復を恐れて翌日には国を出ていた。すぐに捜索に兵を出したかったが······もはや、彼が国王となっても動かせる兵はほとんどいなかった。

『魔王に喧嘩を売った愚かな王太子』

人間というのは、本当に都合のいいように物事を解釈する。そしてまた、他人の責任にしようとする。矢面に立たされた王太子はその様々な怒りを、ローズに向けていたのだ。

「許さん·····!絶対に今度こそ殺してみせる······!」

逆恨みというのが妥当だが、彼からしたら自分の幸せを全て奪ったと勝手に思い込んだのだろう。そう、本当に彼は人間らしいといえるだろう。そして、その怒りを魔王が見過ごすことはなく、そして彼の余命も残り僅かということを彼は知る由もなかった。

ハルバート王国の滅びは近い·······。



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