16 / 17
15 魔王様お仕置きをする
しおりを挟む
「くくく、やはりガキは扱いやすくて助かる」
自室にて酒を飲みつつほくそ笑むのは、べルーン王国の国王、ヨハネス・べルーンだ。猛を日本から召喚した召喚主でもある彼は勇者召喚の結果に満足していた。これで邪魔な魔王が消せるのだ。
「反抗するようなら新しいのを呼べばいいと思って束縛の術式も込めたが·······杞憂だったな。まあ、その場合は適当な国民を攫って生贄にすればいいだけのこと」
勇者召喚の時にとある条件を満たすと魂に束縛の術式を刻むことが出来る。召喚主に逆らうと死ぬというものだ。仮に猛がダメでも新しい勇者を呼ぶのいうのは、国民を雑草と同じと思ってる彼には大して手間ではないのだ。それくらい彼にとって他者の命とは安いものなのだ。
「さて、アレには頑張って魔王を殺して貰わないとな」
「誰を殺すって?」
底冷えするような声が聞こえた。冷や汗を流しながら立ち上がって振り返ると·······そこには冷たい視線を送る魔王が立っていた。
「な、なんでここに·······く!おい!誰かいないのか!」
「残念ながら誰も来ない。1人を除いてな」
その言葉で扉から入ってきたのは猛だ。猛を見てヨハネスは笑みを浮かべて言った。
「おい勇者!そいつを殺せ!」
「······嫌だ。人殺しになんて加担したくない」
「ほう、逆らうか。なら死ぬことになるぞ?」
魂に刻んだ死の術式を発動するヨハネス。だがーーー。
「な、なんで·······なんで発動しない!」
待てど暮らせど猛に仕込んだはずの術式は一向に発動しなかった。それを見て魔王はため息混じりに言った。
「あの程度の術式解けないわけがないだろう」
「ぐっ······勇者!何をしてる!さっさと殺せ!何のために貴様を呼んだと思ってる!」
「·······魔王さん。すみません」
そう言ってから猛はヨハネスに近づくと力の限りヨハネスを殴った。いや、強化されている猛の拳でヨハネスの首から上は吹き飛んだのだ。それを見て気持ち悪そうにする猛を離してから、魔王はヨハネスを再生したのだ。痛みと恐怖で動けなくなってるヨハネスに魔王は言った。
「これから、勇者には元の世界に戻って貰う。お前はその見送りをするといい」
そう言ってから本来なら何時間もかけて構築する魔法式を一瞬で構築して、尚且つ生贄に無しで向こうに送れるように設定した。
「時間は召喚の5分後くらいのはずだ。気をつけてな」
「·······ありがとうございました、魔王さん。あの·······魔王さんは向こうには戻らないんですか?」
その質問に魔王は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべて言った。
「生憎ともう体は残ってなくてね。それに向こうに私が戻ると迷惑に思う人も少なくはないからね」
「そうですか········本当にありがとうございました。また会えたらその時はゆっくり話しましょう」
「ああ。ではな」
そうして猛は元の世界へと戻ったのだった。時刻は本当に猛が拐われてから5分後くらいで、夢だったような気もするが·······それでも、猛はこの恩を忘れないようにするために、魔王が出てる小説は全部買うことにしたのだった。
「さてと·······では、本題に移ろう」
猛を見送ってから、魔王は震えているヨハネスに視線を向けると言った。
「まずこの国はもう私のものだ。だから哀れな元王様には断頭台を用意してもいいが·······」
「ひっ!や、やだ!殺さないでくれ!」
「勿論だとも。殺しはしないさ」
その言葉にホッとするヨハネスに魔王は微笑んで言った。
「これからお前を別の世界に送ってやる。そこではお前は黒くてカサカサする虫のような存在だから·······死なないように頑張ることだ。それが終わったら今度は男が男を愛する世界に送ろう、その後も楽しみが満載だが·······その後にお前が生贄にした者の家族や恋人から何をされても絶対に殺さないから安心するといい」
カタカタ震えるヨハネスはこの時ようやく悟った。勝てる相手ではなかったのだと。そして知る、この時に殺してくれと頼むべきだったと。
そうして魔王は勇者召喚の後片付けと征服を両方したのだった。
自室にて酒を飲みつつほくそ笑むのは、べルーン王国の国王、ヨハネス・べルーンだ。猛を日本から召喚した召喚主でもある彼は勇者召喚の結果に満足していた。これで邪魔な魔王が消せるのだ。
「反抗するようなら新しいのを呼べばいいと思って束縛の術式も込めたが·······杞憂だったな。まあ、その場合は適当な国民を攫って生贄にすればいいだけのこと」
勇者召喚の時にとある条件を満たすと魂に束縛の術式を刻むことが出来る。召喚主に逆らうと死ぬというものだ。仮に猛がダメでも新しい勇者を呼ぶのいうのは、国民を雑草と同じと思ってる彼には大して手間ではないのだ。それくらい彼にとって他者の命とは安いものなのだ。
「さて、アレには頑張って魔王を殺して貰わないとな」
「誰を殺すって?」
底冷えするような声が聞こえた。冷や汗を流しながら立ち上がって振り返ると·······そこには冷たい視線を送る魔王が立っていた。
「な、なんでここに·······く!おい!誰かいないのか!」
「残念ながら誰も来ない。1人を除いてな」
その言葉で扉から入ってきたのは猛だ。猛を見てヨハネスは笑みを浮かべて言った。
「おい勇者!そいつを殺せ!」
「······嫌だ。人殺しになんて加担したくない」
「ほう、逆らうか。なら死ぬことになるぞ?」
魂に刻んだ死の術式を発動するヨハネス。だがーーー。
「な、なんで·······なんで発動しない!」
待てど暮らせど猛に仕込んだはずの術式は一向に発動しなかった。それを見て魔王はため息混じりに言った。
「あの程度の術式解けないわけがないだろう」
「ぐっ······勇者!何をしてる!さっさと殺せ!何のために貴様を呼んだと思ってる!」
「·······魔王さん。すみません」
そう言ってから猛はヨハネスに近づくと力の限りヨハネスを殴った。いや、強化されている猛の拳でヨハネスの首から上は吹き飛んだのだ。それを見て気持ち悪そうにする猛を離してから、魔王はヨハネスを再生したのだ。痛みと恐怖で動けなくなってるヨハネスに魔王は言った。
「これから、勇者には元の世界に戻って貰う。お前はその見送りをするといい」
そう言ってから本来なら何時間もかけて構築する魔法式を一瞬で構築して、尚且つ生贄に無しで向こうに送れるように設定した。
「時間は召喚の5分後くらいのはずだ。気をつけてな」
「·······ありがとうございました、魔王さん。あの·······魔王さんは向こうには戻らないんですか?」
その質問に魔王は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべて言った。
「生憎ともう体は残ってなくてね。それに向こうに私が戻ると迷惑に思う人も少なくはないからね」
「そうですか········本当にありがとうございました。また会えたらその時はゆっくり話しましょう」
「ああ。ではな」
そうして猛は元の世界へと戻ったのだった。時刻は本当に猛が拐われてから5分後くらいで、夢だったような気もするが·······それでも、猛はこの恩を忘れないようにするために、魔王が出てる小説は全部買うことにしたのだった。
「さてと·······では、本題に移ろう」
猛を見送ってから、魔王は震えているヨハネスに視線を向けると言った。
「まずこの国はもう私のものだ。だから哀れな元王様には断頭台を用意してもいいが·······」
「ひっ!や、やだ!殺さないでくれ!」
「勿論だとも。殺しはしないさ」
その言葉にホッとするヨハネスに魔王は微笑んで言った。
「これからお前を別の世界に送ってやる。そこではお前は黒くてカサカサする虫のような存在だから·······死なないように頑張ることだ。それが終わったら今度は男が男を愛する世界に送ろう、その後も楽しみが満載だが·······その後にお前が生贄にした者の家族や恋人から何をされても絶対に殺さないから安心するといい」
カタカタ震えるヨハネスはこの時ようやく悟った。勝てる相手ではなかったのだと。そして知る、この時に殺してくれと頼むべきだったと。
そうして魔王は勇者召喚の後片付けと征服を両方したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?
夕立悠理
恋愛
ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。
けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。
このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。
なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。
なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる