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2 お刺身
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「ぷはぁ!やっぱりここの酒は美味い!もう一杯お代わりだ!」
「トムさん······ウチは酒場じゃないですよ」
昼間っからビールを何杯も飲む飲んだくれは宝石商のトムさん。かなりの常連さんでウチの売り上げの何割かを確実に回してる有難いお客様なのだが········主な注文がビールとおつまみって完全に酒場だよね。ウチ一応普通の料理屋なんだけど·······
「ん?そういやマリアちゃんはどうしたんだ?」
「学校ですよ。魔法教わりに行ってます········前も言いましたよね?」
「そうだったか?しかし、看板娘いないと寂しいもんだなぁ。大将の優男じゃ男客より女客ばかり増えていかん。ワシのハーレム候補ばかりじゃだな!ガハハ!」
「トムさん。女性のお客様白い目で見てますよ」
近くにいた他のお客さんがゴミでも見るような目でトムさんを見てるのでとりあえずお詫びに飲み物をサービスしてくる。
「騒がしくてすみません。良かったらどうぞ」
「え·····いえ、そんな悪いですよ」
「いいんです。その代わり今後もご贔屓にお願いします」
そうして微笑むと嬉しそうに頷いてくれるお客様。それを何度か繰り返してトムさんがいるカウンター席に戻るとトムさんは苦笑気味に言った。
「相変わらずの天然ジゴロだなぁ······そろそろもう1回嫁を取る気にはならないのか?あ、でもマリアちゃんが嫉妬するか。この前も大将に色目使ってた女追い返してたからなぁ、ガハハ!」
「ただいまー!お父さーん!」
「お、噂をすれば」
いつも通り帰ってきて一発目の抱きつきを受け止める。そうしてマリアにお帰りを言おうとするとーーーその前に扉のところに立ってた人物に思わず驚いてしまった。
「お邪魔しますわ」
「ぶっ!な、なんでローゼン公爵家のお嬢さんがここに!?」
「あら貴方は確か······よく来る宝石商の」
·······トムさん思ったより凄い人なのかな?まあ、それはいいとして。
「お帰りマリア。あといらっしゃいシシリアさん」
「今日はお仕事でしたのね」
「ええ。マリアはお昼まだだよね?」
「うん!だってお父さんのが1番だもん!」
嬉しいことを言ってくれる娘に思わず微笑んでしまう。
「もうすぐ半日授業終わりだからお弁当作らないとね。シシリアさんはお昼は?」
「本日はちゃんと許可を得て来ましたからお願いします」
「わかった。じゃあ少し待っててね」
そうして調理に入る。と、娘が思いついたように言った。
「あ、そうだ!お父さん、今度からシシリアさんの分もお弁当作ってよ。それなら一緒に食べれるし!」
「えっと······シシリアさんがいいなら作るけど·······」
「ご迷惑でなければお願いします」
「まあ、特別大変じゃないしね。うん、わかった。じゃあ、マリアに持たせるから食べてよ。お代とかはいらないから」
「いえ、お金は払いますわ」
「いいんだよ、大した手間じゃないし。それにお腹空かせてる可愛い子には良くしないとね」
きゅうっと可愛らしくお腹が鳴って顔を赤くするシシリア。ふと、シシリアはカウンター席で小さくお酒を飲んでるトムさんの手元を見て聞いてきた。
「それはなんですの?」
「ん?ああ、刺身だよ。生の魚って言えばいいのかな」
「え!?生で魚········」
「新鮮なうちなら美味しいんだよ。少し食べてみる?」
近くの水槽で泳いでいる魚を1匹水槽から出す。観賞用兼食材なのよ。そうして新鮮なうちに解体して刺身にすると醤油とセットでシシリアに差し出す。恐る恐る受け取ってからシシリアは勇気を出して食べて·····顔を輝かせた。
「美味しい·······」
「なら良かった。せっかくだし昼は海鮮丼にしようか」
「海鮮丼!豪華だ!お父さん大好きー!」
相変わらず食いしん坊な娘に苦笑しつつ作業に取り掛かるが·······結果的に美味しいと言って貰えてホッとするのだった。
「トムさん······ウチは酒場じゃないですよ」
昼間っからビールを何杯も飲む飲んだくれは宝石商のトムさん。かなりの常連さんでウチの売り上げの何割かを確実に回してる有難いお客様なのだが········主な注文がビールとおつまみって完全に酒場だよね。ウチ一応普通の料理屋なんだけど·······
「ん?そういやマリアちゃんはどうしたんだ?」
「学校ですよ。魔法教わりに行ってます········前も言いましたよね?」
「そうだったか?しかし、看板娘いないと寂しいもんだなぁ。大将の優男じゃ男客より女客ばかり増えていかん。ワシのハーレム候補ばかりじゃだな!ガハハ!」
「トムさん。女性のお客様白い目で見てますよ」
近くにいた他のお客さんがゴミでも見るような目でトムさんを見てるのでとりあえずお詫びに飲み物をサービスしてくる。
「騒がしくてすみません。良かったらどうぞ」
「え·····いえ、そんな悪いですよ」
「いいんです。その代わり今後もご贔屓にお願いします」
そうして微笑むと嬉しそうに頷いてくれるお客様。それを何度か繰り返してトムさんがいるカウンター席に戻るとトムさんは苦笑気味に言った。
「相変わらずの天然ジゴロだなぁ······そろそろもう1回嫁を取る気にはならないのか?あ、でもマリアちゃんが嫉妬するか。この前も大将に色目使ってた女追い返してたからなぁ、ガハハ!」
「ただいまー!お父さーん!」
「お、噂をすれば」
いつも通り帰ってきて一発目の抱きつきを受け止める。そうしてマリアにお帰りを言おうとするとーーーその前に扉のところに立ってた人物に思わず驚いてしまった。
「お邪魔しますわ」
「ぶっ!な、なんでローゼン公爵家のお嬢さんがここに!?」
「あら貴方は確か······よく来る宝石商の」
·······トムさん思ったより凄い人なのかな?まあ、それはいいとして。
「お帰りマリア。あといらっしゃいシシリアさん」
「今日はお仕事でしたのね」
「ええ。マリアはお昼まだだよね?」
「うん!だってお父さんのが1番だもん!」
嬉しいことを言ってくれる娘に思わず微笑んでしまう。
「もうすぐ半日授業終わりだからお弁当作らないとね。シシリアさんはお昼は?」
「本日はちゃんと許可を得て来ましたからお願いします」
「わかった。じゃあ少し待っててね」
そうして調理に入る。と、娘が思いついたように言った。
「あ、そうだ!お父さん、今度からシシリアさんの分もお弁当作ってよ。それなら一緒に食べれるし!」
「えっと······シシリアさんがいいなら作るけど·······」
「ご迷惑でなければお願いします」
「まあ、特別大変じゃないしね。うん、わかった。じゃあ、マリアに持たせるから食べてよ。お代とかはいらないから」
「いえ、お金は払いますわ」
「いいんだよ、大した手間じゃないし。それにお腹空かせてる可愛い子には良くしないとね」
きゅうっと可愛らしくお腹が鳴って顔を赤くするシシリア。ふと、シシリアはカウンター席で小さくお酒を飲んでるトムさんの手元を見て聞いてきた。
「それはなんですの?」
「ん?ああ、刺身だよ。生の魚って言えばいいのかな」
「え!?生で魚········」
「新鮮なうちなら美味しいんだよ。少し食べてみる?」
近くの水槽で泳いでいる魚を1匹水槽から出す。観賞用兼食材なのよ。そうして新鮮なうちに解体して刺身にすると醤油とセットでシシリアに差し出す。恐る恐る受け取ってからシシリアは勇気を出して食べて·····顔を輝かせた。
「美味しい·······」
「なら良かった。せっかくだし昼は海鮮丼にしようか」
「海鮮丼!豪華だ!お父さん大好きー!」
相変わらず食いしん坊な娘に苦笑しつつ作業に取り掛かるが·······結果的に美味しいと言って貰えてホッとするのだった。
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