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ルナ
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ルナ・エルシア公爵令嬢ーーーエルシア公爵家の長女にして、シルベスター王国第2王子の婚約者の彼女は幼少より王妃になるべく育てられてきた。最高クラスの教育を受けて育った彼女の人生は・・・しかしある日を境にどん底へと落ちていった。
それは彼女が学園に入学してからすぐのこと・・・見知らぬ女子生徒と婚約者の王子が親しげに話しているのをみかけたのだ。一度ならまだしも、その光景を見かける頻度は徐々に増えていきーーーある日、彼女は思いきって婚約者の王子に彼女との関係を聞いてみた。すると王子は冷たい目をして言った。
「君には関係ないだろ?」
その言葉に彼女は婚約者として、あまり誤解を招くような行動はしないほうがいいと言って王子に忠告をするが・・・王子はそんな彼女の言葉を無視して女子生徒との会瀬を増やしていった。
だんだんと離れていく王子との距離に彼女は焦りを抱きつつも、何も出来ない日々を送っていたが、そんなある日、それはおこった。
それはとある夜会でのこと・・・ここ最近は夜会のエスコートすらしなくなっていた王子が珍しく彼女をエスコートして夜会に出たのだが、それに彼女はようやく王子としての自覚を持ってくれたのかと安心したがーーー結論から言ってそれは大きな誤解だった。
夜会の中盤に王子は突然、彼女に婚約破棄を告げたのだ。
公衆の面前で、しかもここ最近王子がご執心だった女子生徒に対して彼女が悪質な嫌がらせをして、あまつさえ殺人未遂までやったと言う。
もちろんそんなことは記憶にないので彼女は否定するが・・・次から次に出てくる覚えのない証拠や証言に会場の空気は完全に彼女が悪だという空気になり・・・そして王子は言った。
「こんな悪女を我が国の王妃にするなど絶対に許されないことだ!貴様は公爵家から追放ーーーそして、これから魔の森に連れていくこととする!」
魔の森ーーーそれは、魔物と呼ばれる動物よりはるかに凶悪な生き物が多数生息する森で・・・事実上の死刑宣告だった。
呆然とする彼女を兵士たちは取り押さえて、その日のうちにそのまま魔の森へ彼女を放り出した。
「どうしてこんなことに・・・」
そんな言葉を思わず口に出してしまうが・・・しかしそんな感傷に浸ることは許されなかった。
《グルル》
魔物が彼女を追いかけてきたからだ。
無我夢中で走るが、ただの貴族の令嬢であった彼女の体力では限界があった。魔物は彼女を・・・獲物を遊ぶように徐々に追い詰めていきーーーそして彼女は、とうとう動けなくなって力つきてしまった。
狩人である魔物は獲物が息絶えるのを待っているのか距離を取っていたが・・・もはや彼女にはどうしようもなかった。
(私は・・・死ぬのかしら・・・)
そんなことを思いながら彼女は意識を失った。
トントントンーーー
そんなリズミカルな音がまず聞こえてきた。
今まで聴いたことがないリズムなのにどこか安心するその音を聞きながら彼女は薄く目をあけてーーー勢いよく起き上がった。
「あ、れ・・・私は一体・・・」
見れば見慣れぬ衣装に見慣れぬ部屋・・・そして彼女はそこで違和感に気づく。
(傷が消えてる・・・)
魔物につけられたはずの切り傷は綺麗に消えており、まるで今までのことが全て悪い夢だったように感じるが・・・しかし、彼女はすぐに警戒心を抱いて周囲を観察した。
見たことのない彫刻にシンプルな作りの部屋・・・そして自分が今いるベッドもかなり上質なもののようだが、全くと言っていいほど見慣れないデザインをしている。
「ん?あれ起きたの?」
そんな風に冷静に状況を確認していると空いていた扉からひょっこりと顔を出す男ーーーおそらく自分と同い年くらいの少年に彼女は警戒しながら聞いてみた。
「ここはどこなの?それにあなたは一体・・・」
その問いに少年は少し悩んでから・・・「少し待っててくれる?」と言ってどこかに行ってしまった。
しばらく待っていると少年は何かが入ったお皿を持って部屋に入ってきた。
近づいてみるとそれはスープのように見えるが・・・
「とりあえずお腹すいてない?スープくらいは飲めるかな?」
「・・・毒かもしれないものを飲めと?」
何もわからない状態で至極当然な質問をする彼女に少年は確かにと頷いてから・・・スープを一口自分で飲んでみせたのだった。
唖然とする彼女に少年は優しく微笑んで言った。
「これで毒じゃないって信じてもらえるかな?」
・・・何故かその表情に不思議な胸の高鳴りを抱きつつも、彼女はそのスープの皿をゆっくりと受け取ってから静かに口に運んでーーー思わず呟いてしまった。
「美味しい・・・」
「そう?ありあわせで作ったからあんまり上等なものじゃないけど・・・食べられそうでよかったよ」
「あなたは料理人か何かなの?」
思わずそう聞いてしまう。それくらい美味しいスープだったのだ。しかし少年はそれに首をふってから答えた。
「俺はそんな大層なもんじゃないよ。この場所・・・魔の森で暮らしているただの平民だよ」
「魔の森に住んでる?」
あり得ない言葉にそう返してしまうが・・・少年は嘘を言ってる様子はなく平然と続けた。
「んー・・・まあね。たまたま散歩していたら君が倒れていたのを見つけて家に連れてきたんだけど・・・こんな場所に一人でどうしているの?」
「それは・・・」
ルナはその言葉にしばらく黙っていたが、やがてポツリポツリとこれまでのことをーーー自分が公爵令嬢で、王子に冤罪で婚約破棄されてここに送られてきたことを話した。
しばらくその話に黙って耳を傾けていた少年はーーー話が終わると、ふと手を出すとそれをルナの頭に乗せてゆっくりと・・・労るように撫でた。
「え・・・・?」
「色々大変だったんだね・・・」
「えっと・・・私の話信じてくれるの?」
婚約者や友人ーーー家族ですら信じてくれなかった自分の言葉を信じてくれるのかと不安げに問う彼女に少年は優しく微笑んで言った。
「君が嘘を言ってるようには見えないからね。それに・・・こんなところに一人で置いてかれて頑張っていた君のことを信じないわけがないよ」
「ーーーー!あ、あ・・・」
信じてくれるーーーそんな言葉に彼女は不思議な安堵を抱いて涙をこぼしてしまう。誰一人として信じてくれなかった彼女の言葉に目の前の少年だけは信じてくれると言ってくれた・・・それがたまらなく嬉しかった。
しばらく涙を流してから彼女は恥ずかしそうに少年から視線を反らした。
(見知らぬ殿方の前で私はなんで・・・)
生まれて初めて人前で涙をみせたことに少なからず羞恥を覚えて顔を赤くしていると、少年は「ところで・・・」ときりだしてきた。
「これからのことなんだけど・・・行くあてがないならしばらく家にいない?」
「・・・それは」
願ってもない申し出だが、彼女はそこで少し警戒してしまう。助けてもらったことには感謝しているがーーー何か下心があるんじゃないかと思ったからだ。
そんな彼女の内心を悟ったのか少年は苦笑気味に言った。
「別に無理にとは言わないよ。嫌なら町まで送っていくし、ここが嫌なら別のところを紹介するけどーーー君さえよければここにいてほしいかな」
「・・・どうしてそこまで」
その質問に少年は少し照れ臭そうに言った。
「その・・・俺も一人が寂しくなってきててね。誰か側にいてくれたらと思ったからかな?」
「ーーー!な、そ、それって・・・」
その言葉に自然と顔を真っ赤にしてしまう彼女。今のはどういう意味なのだろうと思っていると少年は「まあ、あとは・・・」と言って笑顔で言った。
「君みたいな可愛い女の子を一人にするのが嫌だからなんだけど・・・ダメかな?」
とくんーーーその言葉に彼女の鼓動は脈を打つ。不思議なドキドキだが・・・決して嫌ではないそれを彼女は何かわからずに、恥ずかしそうに顔をそらして答えた。
「よ、よろしくお願いします・・・」
それは彼女が学園に入学してからすぐのこと・・・見知らぬ女子生徒と婚約者の王子が親しげに話しているのをみかけたのだ。一度ならまだしも、その光景を見かける頻度は徐々に増えていきーーーある日、彼女は思いきって婚約者の王子に彼女との関係を聞いてみた。すると王子は冷たい目をして言った。
「君には関係ないだろ?」
その言葉に彼女は婚約者として、あまり誤解を招くような行動はしないほうがいいと言って王子に忠告をするが・・・王子はそんな彼女の言葉を無視して女子生徒との会瀬を増やしていった。
だんだんと離れていく王子との距離に彼女は焦りを抱きつつも、何も出来ない日々を送っていたが、そんなある日、それはおこった。
それはとある夜会でのこと・・・ここ最近は夜会のエスコートすらしなくなっていた王子が珍しく彼女をエスコートして夜会に出たのだが、それに彼女はようやく王子としての自覚を持ってくれたのかと安心したがーーー結論から言ってそれは大きな誤解だった。
夜会の中盤に王子は突然、彼女に婚約破棄を告げたのだ。
公衆の面前で、しかもここ最近王子がご執心だった女子生徒に対して彼女が悪質な嫌がらせをして、あまつさえ殺人未遂までやったと言う。
もちろんそんなことは記憶にないので彼女は否定するが・・・次から次に出てくる覚えのない証拠や証言に会場の空気は完全に彼女が悪だという空気になり・・・そして王子は言った。
「こんな悪女を我が国の王妃にするなど絶対に許されないことだ!貴様は公爵家から追放ーーーそして、これから魔の森に連れていくこととする!」
魔の森ーーーそれは、魔物と呼ばれる動物よりはるかに凶悪な生き物が多数生息する森で・・・事実上の死刑宣告だった。
呆然とする彼女を兵士たちは取り押さえて、その日のうちにそのまま魔の森へ彼女を放り出した。
「どうしてこんなことに・・・」
そんな言葉を思わず口に出してしまうが・・・しかしそんな感傷に浸ることは許されなかった。
《グルル》
魔物が彼女を追いかけてきたからだ。
無我夢中で走るが、ただの貴族の令嬢であった彼女の体力では限界があった。魔物は彼女を・・・獲物を遊ぶように徐々に追い詰めていきーーーそして彼女は、とうとう動けなくなって力つきてしまった。
狩人である魔物は獲物が息絶えるのを待っているのか距離を取っていたが・・・もはや彼女にはどうしようもなかった。
(私は・・・死ぬのかしら・・・)
そんなことを思いながら彼女は意識を失った。
トントントンーーー
そんなリズミカルな音がまず聞こえてきた。
今まで聴いたことがないリズムなのにどこか安心するその音を聞きながら彼女は薄く目をあけてーーー勢いよく起き上がった。
「あ、れ・・・私は一体・・・」
見れば見慣れぬ衣装に見慣れぬ部屋・・・そして彼女はそこで違和感に気づく。
(傷が消えてる・・・)
魔物につけられたはずの切り傷は綺麗に消えており、まるで今までのことが全て悪い夢だったように感じるが・・・しかし、彼女はすぐに警戒心を抱いて周囲を観察した。
見たことのない彫刻にシンプルな作りの部屋・・・そして自分が今いるベッドもかなり上質なもののようだが、全くと言っていいほど見慣れないデザインをしている。
「ん?あれ起きたの?」
そんな風に冷静に状況を確認していると空いていた扉からひょっこりと顔を出す男ーーーおそらく自分と同い年くらいの少年に彼女は警戒しながら聞いてみた。
「ここはどこなの?それにあなたは一体・・・」
その問いに少年は少し悩んでから・・・「少し待っててくれる?」と言ってどこかに行ってしまった。
しばらく待っていると少年は何かが入ったお皿を持って部屋に入ってきた。
近づいてみるとそれはスープのように見えるが・・・
「とりあえずお腹すいてない?スープくらいは飲めるかな?」
「・・・毒かもしれないものを飲めと?」
何もわからない状態で至極当然な質問をする彼女に少年は確かにと頷いてから・・・スープを一口自分で飲んでみせたのだった。
唖然とする彼女に少年は優しく微笑んで言った。
「これで毒じゃないって信じてもらえるかな?」
・・・何故かその表情に不思議な胸の高鳴りを抱きつつも、彼女はそのスープの皿をゆっくりと受け取ってから静かに口に運んでーーー思わず呟いてしまった。
「美味しい・・・」
「そう?ありあわせで作ったからあんまり上等なものじゃないけど・・・食べられそうでよかったよ」
「あなたは料理人か何かなの?」
思わずそう聞いてしまう。それくらい美味しいスープだったのだ。しかし少年はそれに首をふってから答えた。
「俺はそんな大層なもんじゃないよ。この場所・・・魔の森で暮らしているただの平民だよ」
「魔の森に住んでる?」
あり得ない言葉にそう返してしまうが・・・少年は嘘を言ってる様子はなく平然と続けた。
「んー・・・まあね。たまたま散歩していたら君が倒れていたのを見つけて家に連れてきたんだけど・・・こんな場所に一人でどうしているの?」
「それは・・・」
ルナはその言葉にしばらく黙っていたが、やがてポツリポツリとこれまでのことをーーー自分が公爵令嬢で、王子に冤罪で婚約破棄されてここに送られてきたことを話した。
しばらくその話に黙って耳を傾けていた少年はーーー話が終わると、ふと手を出すとそれをルナの頭に乗せてゆっくりと・・・労るように撫でた。
「え・・・・?」
「色々大変だったんだね・・・」
「えっと・・・私の話信じてくれるの?」
婚約者や友人ーーー家族ですら信じてくれなかった自分の言葉を信じてくれるのかと不安げに問う彼女に少年は優しく微笑んで言った。
「君が嘘を言ってるようには見えないからね。それに・・・こんなところに一人で置いてかれて頑張っていた君のことを信じないわけがないよ」
「ーーーー!あ、あ・・・」
信じてくれるーーーそんな言葉に彼女は不思議な安堵を抱いて涙をこぼしてしまう。誰一人として信じてくれなかった彼女の言葉に目の前の少年だけは信じてくれると言ってくれた・・・それがたまらなく嬉しかった。
しばらく涙を流してから彼女は恥ずかしそうに少年から視線を反らした。
(見知らぬ殿方の前で私はなんで・・・)
生まれて初めて人前で涙をみせたことに少なからず羞恥を覚えて顔を赤くしていると、少年は「ところで・・・」ときりだしてきた。
「これからのことなんだけど・・・行くあてがないならしばらく家にいない?」
「・・・それは」
願ってもない申し出だが、彼女はそこで少し警戒してしまう。助けてもらったことには感謝しているがーーー何か下心があるんじゃないかと思ったからだ。
そんな彼女の内心を悟ったのか少年は苦笑気味に言った。
「別に無理にとは言わないよ。嫌なら町まで送っていくし、ここが嫌なら別のところを紹介するけどーーー君さえよければここにいてほしいかな」
「・・・どうしてそこまで」
その質問に少年は少し照れ臭そうに言った。
「その・・・俺も一人が寂しくなってきててね。誰か側にいてくれたらと思ったからかな?」
「ーーー!な、そ、それって・・・」
その言葉に自然と顔を真っ赤にしてしまう彼女。今のはどういう意味なのだろうと思っていると少年は「まあ、あとは・・・」と言って笑顔で言った。
「君みたいな可愛い女の子を一人にするのが嫌だからなんだけど・・・ダメかな?」
とくんーーーその言葉に彼女の鼓動は脈を打つ。不思議なドキドキだが・・・決して嫌ではないそれを彼女は何かわからずに、恥ずかしそうに顔をそらして答えた。
「よ、よろしくお願いします・・・」
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