異世界転移して悪役令嬢を拾ったので、とりあえず溺愛します

yui

文字の大きさ
31 / 46

質問

しおりを挟む
「どうぞ」

客間にクロを案内してからお茶をクロの前においたルナ。伝説の龍種がお茶を飲むのかわからなかったが・・・とりあえずいつも客用に出すお茶をいれてきてみた。

『ありがとう』

クロはそれを普通に飲んだのをみてとりあえず一安心する。そんなルナの内心を読んだかのようにクロは苦笑気味に言った。

『あまり気をつかわなくていいよ。客と言って私は遥の友人・・・というか祖父のつもりだからね。家族と言ってもいいだろう。その遥の奥方の君も私からすれば家族のようなものだからね』
「家族・・・ですか」

一体何があればここまで龍種に気に入られるのだろうかと疑問に思いつつも流石は遥と内心で密かに惚れなおしつつルナは先ほどから気になってたことを聞いてみた。

「あの・・・さっきから口を動かさずに言葉を発してますけど・・・それも魔法なんですか?」
『うーん・・・魔法と言えばそうかな。私達は言語を発するよりも頭の中に直接意思を伝えることが楽だからそうしているだけで、一応普通に話すことも出来るよ』

わかるような、わからないような説明になんとなく頷いてみるルナ。魔法というもの事態貴族の頃の知識しか知らない上に、唯一生で見た魔法というものが遥の魔法のみなのでそれが凄いのかどうかわからないルナだが・・・本来言葉を発することなく頭に直接送る魔法なんてものは使える人間がかなり限られるほどに高度なものなので、一般的な魔法の使い手が見たら腰を抜かしそうなほどの現象なのだが・・・もちろんそんなことは知らないルナはそういうものかと納得した。

『しかし、あの遥がとうとう嫁を娶るとはな・・・感慨深いよ』
「そうなんですか?」

マイヤやロバートと同じような反応をするクロにルナは首を傾げて聞くとクロはどこか懐かしそうに言った。

『かれこれ2年・・・いや、3年経たない頃かな?それくらいの頃から知ってるが、彼はあまり他人に興味がないようだったからね。親しげに見えてもある程度距離を置いてるようなところがあったから、誰かと結婚するなんて考えられなかったが・・・』

そのクロの言葉にいまひとつ首を傾げるルナ。ルナからすれば遥はいつも優しく微笑んでくれていて、常にルナのことを見てくれる大切な存在なので、今の話が遥のことなのかわからないというのが正直なところだった。
そんなルナの反応にクロは苦笑気味に言った。

『まあ、年寄りのくだらい話だよ。それよりも・・・君のその首につけているものは何かな?』
「これですか?これは遥にもらったものです」
『そうか・・・すまないが少し見せてくれるかい?』

その言葉にルナは少し首を傾げながらもネックレスをクロに見せた。
しばらくじっとネックレスを見てから・・・クロは少し驚いたように言った。

『これはまた凄いな・・・読めない箇所がいくつかあるが、かなり高度な術式が込められているようだ』
「術式・・・魔法ですか?」
『ああ。とはいえ、少し違うかな。魔法よりも奇跡に近いような力か・・・いや、それよりもあの遥がここまで本気で力を使うなんて余程愛されているのだろうな』 

クロが読める限りで、守りの術式がかなり込められている上に、ちょっとした回復補助の魔法までかかっているように見えた。他人に興味がなさそうな遥からは考えられないくらい過保護なほどに力をつぎ込まれているそれを見て本当にルナのことを遥が大切に思っているのが伺えて嬉しくなるクロだった。

『ところで二人の馴れ初めなんかを聞いてみたいのだが・・・教えてもらえるかな?』
「それは・・・えっと・・・」

そこでルナは言葉に詰まってしまう。ルナにとってはもう過去のこととはいえ、あまり貴族の頃のことを人に話したくないというのと・・・なんとなく遥との大切な時間を他人に話したくないという独占欲のようなものがあったからだ。
そんなルナの様子を見てクロは察したように言った。

『無理に話をしなくてもいいよ。年寄りの興味本意の質問だからね』
「すみません・・・」
『いや。こちらも悪かったね。それよりも・・・そうだな。遥のことで何か聞きたいことはあるかい?お詫びという訳ではないが・・・私に答えられることなら答えよう』
「聞きたいことですか・・・」

いきなりのことに咄嗟には何も出てこなかったルナだったが・・・しばらく考えてからルナはなんとなく前から気になっていたことを聞いてみた。

「あの・・・遥はいつからこの森で一人で住んでいるのか知ってますか?」
『だいたい3年前くらいとは聞いてるが・・・』
「それじゃあ、その・・・遥の家族のことって何か知ってますか?」

今まで聞いてみたくても聞けなかったことだ。遥がいつから一人でここに住んでいたのか、その前はどうしていたのかということ・・・遥のことを全て知りたいと思ったルナはあまり自分のことを語らない遥には質問出来ないのでこうして聞いてみたが・・・そんなルナに申し訳なさそうにクロは言った。

『すまないがそれは私も知らないんだよ。役に立てずすまないね』
「いえ・・・気にしないでください」

それからは遥が戻ってくるまでクロの知ってる限りの遥のエピソードを聞いたルナだったが・・・なんとなく、遥の過去に何があったのかますます興味が出てきたので、いつか聞いてみようと密かに誓ったのだった。

しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。

由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこからいろいろな人に愛されていく。 作者のキムチ鍋です! 不定期で投稿していきます‼️ 19時投稿です‼️

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

オマケなのに溺愛されてます

浅葱
恋愛
聖女召喚に巻き込まれ、異世界トリップしてしまった平凡OLが 異世界にて一目惚れされたり、溺愛されるお話

処理中です...