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夜会の席にて
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「あら、これはこれはアルト様。ご機嫌麗しゅう」
着いて早々に嫌な顔に出くわしてしまう。着飾った続編ヒロイン様の笑顔とか本気で苛立ちを覚えてしまうよ・・・まったく、どの口でそんなことを言うのかと思いつつも、隣にいるエミリーと王族としての最低限の理性でそれらを抑えて作り笑いを浮かべて言った。
「シル・アスター様ですね。お初にお目にかかります。こちらは私の最愛の婚約者のエミリーと申します」
「え、エミリー・キャロラインです」
「まあ、可愛らしい婚約者さんですね」
ニコニコと微笑むその横っ面を殴りたくなるが・・・隣で最愛と言われて少し嬉しそうなエミリーに免じて見逃すことにした。
「ふふ、そういえばエミリーさんは昨日は大変でしたね」
「あ・・・」
その言葉に少し落ち込みそうになるエミリーをフォローしようと口を動かす前にエミリーは微笑んで言った。
「アルト様が私を守ってくれました。だから大丈夫です」
思わぬ返しにキョトンとする続編ヒロイン様。俺も少し驚くが・・・でも、そうか。エミリーなりに強くなっているのだなと思って、流石俺のエミリー本当にラァァブ!と叫びそうになるのをなんとか抑えて俺は言った。
「可愛い婚約者を守るのは当然のことですから。それと・・・親切な情報提供者がいたので」
その言葉を受けてもニコニコしている続編ヒロイン様。まあ、余裕の現れなのだろう。おそらく俺がこれからやることも続編ヒロインには対してダメージはいかないのだろうが・・・それでも、俺はエミリーのためにやることをするだけだ。
「皆の者、よく集まってくれた。今宵は私の息子である第1王子のアルトと婚約者のキャロライン公爵家のエミリー・キャロラインの親愛を貴公らにも知ってもらうために開いた夜会だ。ここで私の息子であるアルトから皆に伝えたいことがあるそうだ。心して聞くように」
その父上のフリで俺は会場中から視線を集めることになる。お目当ての人物とは少し話して場所も把握してある。不安そうなエミリーに微笑んでから俺はハッキリと言った。
「皆様、本日は私とエミリーのためにお集まりいただきありがとうございます。本来なら私達の愛し合う姿を見せたいところですが・・・それは、私の独占欲に触れるので控えさせていただきます」
この時点で真っ赤になっているエミリーに内心ふぉー!と発狂するが、これからやることをメインにするためになんとか抑えて言った。
「しかしながら・・・私は今非常に怒っていることがあります。皆様もご存知の通り先日私の婚約者のエミリーが賊に狙われした。また、国内でも多くの被害が出ております。エミリーの婚約者としてももちろんですが・・・このような事態を引き起こした連中に対してハッキリ申しまして私は心底苛立ちを覚えています」
なるべく丁寧語で威圧するように言ってから俺は騎士団長に視線を向けると言った。
「騎士団長、ガイヤ・ケミスト前に」
「は!」
俺の言葉に俺に臣下の礼をして控える騎士団長。その姿に多くの貴族が驚く中で俺は騎士団長に命じた。
「貴殿に命じる。私と共にこの国のために・・・愛する者のためにその力を存分に奮え」
「殿下に私と私の騎士団全ての忠誠をお約束します」
「では、まずは賊を捕らえる前にここに混じっている不純物を取り除くとしようか。ロイン・マクダベル」
「は!ここに」
同じく臣下の礼をするロインから名簿を受け取るーーーまあ、別に無くても覚えてるけどフリとしてロインと騎士団長が俺に忠誠を誓ってることを示すためにやった。
「既に騎士団メンバーの掃除は終わっている。あとはーーーネスケフ伯爵。リトンマキ男爵。それからリーデンス侯爵貴公らを国家反逆罪で取り押さえさせて貰おう」
パチンと指を鳴らすと騎士団のメンバーが今言った3人を取り押さえた。驚きに満ちる会場に俺はため息混じりに言った。
「残念なことにその3人は今回の一連の事件に大きく関わっていることがわかった。証拠もある。なので申し訳ないがーーーこの国の次の主として粛清させて貰おう」
「で、殿下!お待ちください!何かの間違いです!」
「ほう?これだけの金を貰って情報を流しておいてそんなことが言えるのか」
バサりと資料を投げると1部を読めたのか真っ青な顔をする連中。その様子に他の貴族はそれが事実なのだと認識して軽蔑の視線を送る中で俺は彼らをフェイドアウトさせると国王陛下である父上に一礼して言った。
「陛下。私は近いうちに騎士団長と共に賊を狩りに行きます。この国ため・・・いえ、愛する者のために害となる存在を消して参ります」
「・・・必ず帰ってこい」
「もちろんです。私は愛する婚約者のためにも死ねませんからね」
その言葉にぷしゅーとするエミリーが本当に可愛くて今すぐにでも抱きついたいが、これだけは言わないといけないので抑えて言った。
「皆に最後に一言・・・もしこの国、私のエミリーに害を成すなら誰だろうと私は許さない。徹底的に叩き潰すということだけ覚えておくように」
そうして、この日の夜会は幕を閉じた。後にこの夜会のことを『第1王子の覚醒の夜』と呼ぶ者がいて、そこから俺の婚約者であるエミリーに手を出すと絶対にヤバいと貴族連中が認識のしたのはそう難しくない話だろう。
着いて早々に嫌な顔に出くわしてしまう。着飾った続編ヒロイン様の笑顔とか本気で苛立ちを覚えてしまうよ・・・まったく、どの口でそんなことを言うのかと思いつつも、隣にいるエミリーと王族としての最低限の理性でそれらを抑えて作り笑いを浮かべて言った。
「シル・アスター様ですね。お初にお目にかかります。こちらは私の最愛の婚約者のエミリーと申します」
「え、エミリー・キャロラインです」
「まあ、可愛らしい婚約者さんですね」
ニコニコと微笑むその横っ面を殴りたくなるが・・・隣で最愛と言われて少し嬉しそうなエミリーに免じて見逃すことにした。
「ふふ、そういえばエミリーさんは昨日は大変でしたね」
「あ・・・」
その言葉に少し落ち込みそうになるエミリーをフォローしようと口を動かす前にエミリーは微笑んで言った。
「アルト様が私を守ってくれました。だから大丈夫です」
思わぬ返しにキョトンとする続編ヒロイン様。俺も少し驚くが・・・でも、そうか。エミリーなりに強くなっているのだなと思って、流石俺のエミリー本当にラァァブ!と叫びそうになるのをなんとか抑えて俺は言った。
「可愛い婚約者を守るのは当然のことですから。それと・・・親切な情報提供者がいたので」
その言葉を受けてもニコニコしている続編ヒロイン様。まあ、余裕の現れなのだろう。おそらく俺がこれからやることも続編ヒロインには対してダメージはいかないのだろうが・・・それでも、俺はエミリーのためにやることをするだけだ。
「皆の者、よく集まってくれた。今宵は私の息子である第1王子のアルトと婚約者のキャロライン公爵家のエミリー・キャロラインの親愛を貴公らにも知ってもらうために開いた夜会だ。ここで私の息子であるアルトから皆に伝えたいことがあるそうだ。心して聞くように」
その父上のフリで俺は会場中から視線を集めることになる。お目当ての人物とは少し話して場所も把握してある。不安そうなエミリーに微笑んでから俺はハッキリと言った。
「皆様、本日は私とエミリーのためにお集まりいただきありがとうございます。本来なら私達の愛し合う姿を見せたいところですが・・・それは、私の独占欲に触れるので控えさせていただきます」
この時点で真っ赤になっているエミリーに内心ふぉー!と発狂するが、これからやることをメインにするためになんとか抑えて言った。
「しかしながら・・・私は今非常に怒っていることがあります。皆様もご存知の通り先日私の婚約者のエミリーが賊に狙われした。また、国内でも多くの被害が出ております。エミリーの婚約者としてももちろんですが・・・このような事態を引き起こした連中に対してハッキリ申しまして私は心底苛立ちを覚えています」
なるべく丁寧語で威圧するように言ってから俺は騎士団長に視線を向けると言った。
「騎士団長、ガイヤ・ケミスト前に」
「は!」
俺の言葉に俺に臣下の礼をして控える騎士団長。その姿に多くの貴族が驚く中で俺は騎士団長に命じた。
「貴殿に命じる。私と共にこの国のために・・・愛する者のためにその力を存分に奮え」
「殿下に私と私の騎士団全ての忠誠をお約束します」
「では、まずは賊を捕らえる前にここに混じっている不純物を取り除くとしようか。ロイン・マクダベル」
「は!ここに」
同じく臣下の礼をするロインから名簿を受け取るーーーまあ、別に無くても覚えてるけどフリとしてロインと騎士団長が俺に忠誠を誓ってることを示すためにやった。
「既に騎士団メンバーの掃除は終わっている。あとはーーーネスケフ伯爵。リトンマキ男爵。それからリーデンス侯爵貴公らを国家反逆罪で取り押さえさせて貰おう」
パチンと指を鳴らすと騎士団のメンバーが今言った3人を取り押さえた。驚きに満ちる会場に俺はため息混じりに言った。
「残念なことにその3人は今回の一連の事件に大きく関わっていることがわかった。証拠もある。なので申し訳ないがーーーこの国の次の主として粛清させて貰おう」
「で、殿下!お待ちください!何かの間違いです!」
「ほう?これだけの金を貰って情報を流しておいてそんなことが言えるのか」
バサりと資料を投げると1部を読めたのか真っ青な顔をする連中。その様子に他の貴族はそれが事実なのだと認識して軽蔑の視線を送る中で俺は彼らをフェイドアウトさせると国王陛下である父上に一礼して言った。
「陛下。私は近いうちに騎士団長と共に賊を狩りに行きます。この国ため・・・いえ、愛する者のために害となる存在を消して参ります」
「・・・必ず帰ってこい」
「もちろんです。私は愛する婚約者のためにも死ねませんからね」
その言葉にぷしゅーとするエミリーが本当に可愛くて今すぐにでも抱きついたいが、これだけは言わないといけないので抑えて言った。
「皆に最後に一言・・・もしこの国、私のエミリーに害を成すなら誰だろうと私は許さない。徹底的に叩き潰すということだけ覚えておくように」
そうして、この日の夜会は幕を閉じた。後にこの夜会のことを『第1王子の覚醒の夜』と呼ぶ者がいて、そこから俺の婚約者であるエミリーに手を出すと絶対にヤバいと貴族連中が認識のしたのはそう難しくない話だろう。
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