悪役令嬢は溺愛される

yui

文字の大きさ
12 / 79

類は友を呼ぶっていうのはあながち間違いじゃなさそうだな

しおりを挟む
次の日の放課後、今日こそはとリベンジの意味もこめて、再びのダブルデートのために、ロインとともにエミリーとマリーナとの待ち合わせの場所へと向かう。

昨日は思わぬ邪魔が入ったし、今日こそは!

しかし、そんな決意をしていると廊下の真ん中で迷惑にも陣取ってる2人の男がいた。
見覚えのあるその顔に俺とロインはげんなりしてしまう。
うん、ていうか、めっちゃこっちを・・・俺を睨んでるしね。

「ちょっと、顔かせや。王子さまよ?」
「黙ってついてきてくれますか?」

そう言って俺だけを指名してきたのは、ジェシカの取巻きのうちの留学生組のマイクとキングの二人だ。
ほんとに、あの女と一緒でタイミング最悪・・・

「あー、悪いが用事がある。後でもいいか?」
「今すぐだ!」
「そういうことです。」

ダメだ。話が通じない。
それどころか、マナーも悪い。
こいつら、こんなキャラだっけ?
そんな疑問を抱くくらい前に話したときと印象が違った。
とりあえずは・・・

「ロイン。先に行って二人を頼んでもいいか?」
「わかった。無理はするなよ。」

俺の意思をくんでくれている相棒は二つ返事で頷いてくれた。
頼りになるは、イケメンの友達だな。

「で?用件は?早くしてくれない?」
「ここじゃ目立つ。屋上に行くぞ。」
「いや、ここで言え。」

俺の命令的な口調に驚く二人。
なんでそこまで付き合う必要があるんだ?
俺は早くエミリーに会いたいんだ。
それなのになんでこんなどうでもいいことに時間をさく必要がある。

「用件は聞いてやろ。ただ、ここで今すぐだ。じゃなきゃ俺は帰るぞ?俺は用事があるんだ。それなのに移動でこれ以上時間をとらせるとか迷惑すぎる。もう少し礼儀をわきまえたらどうだ?」

俺がそう言うと、留学生組の片割れ・・・体が大きいマイクが怒ったような視線を向けてきた。

「てめぇ・・・調子に・・・」
「待ちなよ。マイク。」

そして、それを止めたのは留学生組のもう一人の小柄なキングの方だった。

「確かに、こちらの対応が悪かったと思います。申し訳ありません。では、ここで話を聞いて貰えますか?」
「手短に頼む。」

思ったより冷静なキングの対応に俺は少し驚きつつもそう答える。

「では、簡単に・・・アルトくん、ジェシカに謝ってくれるかな?」
「断る。」

謝る理由など皆無なのに何故謝らなきゃならない。
まあ、どうせ、ジェシカが取巻き連中に俺にいじめられたとか言ったからなのだろうけど。
しかし、その俺の返事が気にくわないのかマイクが怒りの形相でこちらを睨んできた。

「てめぇ!ジェシカをいじめといてよくも!」
「何を聞いたのか知らんが、私は当然のことをしただけだ。むしろ、無礼があったのは君たちの姫のほうだろ?」
「なにを!」

火に油を注ぐようにみえるだろうが、俺は今すこぶる機嫌が悪い。
こんな下らない話でエミリーとのデートの時間が失われていくとか冗談じゃない!
俺は早くエミリーとイチャイチャしたいんだ!

「とにかく、用件がそれだけなら私は行くぞ?それに、ここでこれ以上騒ぎをおこすのが君たちの姫の望みなのか?」
「ぐっ!そ、それは・・・」
「落ち着いて。マイク。」

状況を理解できているのか、キングが止めにはいる。
まあ、下手に刺激すると暴力とかになりそうだしな・・・
キングはマイクをなだめるとこちらを振り向き、頭を下げた。

「お時間をとらせてしまい。申し訳ありません。また出直してきます。」

そう言って立ち去るキングとマイク。
少し面倒なことになりそうだな・・・

そんなことよりも、早くエミリーに会わなきゃ!
俺は廊下を走らずに優雅にでも急いでエミリーのもとへ向かう。
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない

As-me.com
恋愛
完結しました。 自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。 そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。 ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。 そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。 周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。 ※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。 こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。 ゆっくり亀更新です。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...