俺は不幸な彼女を溺愛する!

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4 正直な気持ちを

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結論から言おう。彼女の不運は結構なレベルだと思う。

「あの・・・やっぱり諦めて帰りませんか?」

「いや・・・もう少し頑張ろう」

うん。かれこれ放課後になってから二人で学校を出たまでは良かったが・・・そこから何故か迷うはずのない道を渡り、茅乃が鳥に連れ去られそうになり、俺の頭に上から鉢植えが落ちてきて落下しそうになり、色々あって現在何故か学校の屋上に戻ってきております。

自分でも起こった出来事が多すぎて説明が難しいが・・・どうにも彼女は不幸に愛されているとしか思えないほどのあり得ない現象の数々に流石に俺も若干言葉に詰まってしまうよ。

「でも・・・」

「大丈夫だよ。幸いにもまだ時間的にはそんなに経ってないし、それに・・・今のところ危険はあんまりないからな」

そう・・・あれだけ色んなことがあったのに俺には怪我どころか傷一つついていない。鳥に連れ去られかけた茅乃も何も怪我はないことから・・・不思議と大丈夫だと思えた。

思い返せば、入学式の日も今までも・・・茅乃は本来なら怪我をしてそうなレベルの出来事があったのにも関わらず、傷一つないという矛盾・・・昔何が起こったのかは知らないが、どうにも彼女が心配するには足りないレベルのような気がする。

不幸中の幸い・・・という言葉がまさしく使えそうな状況だが、どうにもわからない。

そんなことを考えていたら目の前の茅乃が首を横に振って答えた。

「いえ・・・もう充分です。神藤くんの気持ちは嬉しく思いましたが・・・やっぱり私は一人の方がいいと思うんです」

「・・・今のところ危険はないだろ?」

「はい。でもこれ以上一緒にいれば・・・神藤くんは不幸になります」

「その断言はどうして出きるんだ?」

「・・・・・わかるんです。同じようなことがありましたから」

「・・・・・・」

なんだ・・・何を彼女は心配しているんだ?

「小さい頃に大切な友達を傷つけたってことは言いましたよね?」

「ああ」

「その友達も初めのうちは多少の不幸ですんでいたので笑って側にいてくれました。でも・・・ある時を境にダメでした」

「それはどういう・・・」

俺の問いに対して茅乃は・・・悲しげな表情を浮かべた。

「簡単な話ですよ。彼女の両親が事故で死んだんですよ」

「・・・・それは茅乃が関係あるのか?」

「大いにあります。それまでは元気だったはずの彼女の家族が・・・私と関わってから急に亡くなったんですよ。しかも、彼女の周りでもかなり不幸な出来事が続いて・・・最終的には私は彼女に嫌われました。『死神』って涙目で睨まれて・・・」

なるほど・・・茅乃が恐れていたのはそれか・・・

「短時間なら私と関わっても何もありません。でも付き合いが長くなると彼女のような目に合わせてしまうかもしれない・・・だから私は一人がいいんです」

「・・・本当にそれでいいのか?」

酷な問いかと思ったが・・・彼女はそれにただただ悲しげに答えた。

「私のせいで皆さんを不幸には出来ませんから」

あまりにも悲しげな達観した表情。
最初から諦めているようなそんな悲しげな表情に俺はーーー。

「ダメだ」

「え・・・・?」

いつもなら絶対に言わない素直な気持ちで彼女に本心を伝える。

「そんな悲しげな顔して諦めるな」

あまりにも儚く悲しげな彼女を前にして俺は・・・残酷かもしれないがそう言ってしまった。

「で、でもどうすることも出来ないのに・・・」

「なぁ・・・その友達が不幸になったのは本当に茅乃のせいなのか?俺には過去のことはわからないが・・・・全てが茅乃のせいとはとても思えない」

「で、でも、現に私と関わってから・・・」

「それ以降は?誰かと積極的に関わったことあるか?」

「・・・ないですが。でも」

「あのさ・・・確かに茅乃は運が悪すぎるかもしれないが・・・多分、そこまで酷くはないと思うんだ。現に今まで茅乃は不運な目に合って怪我とかしたか?」

「それは・・・」

そう・・・俺の感じてた違和感は、これだけ色んな出来事があったのにも関わらず茅乃と俺にも傷一つないということ。

本当にヤバイなら・・・今頃とっくに大怪我をしているはず。

過去の友達のことはわからないがでも・・・

「人には運がいい人もいれば、茅乃みたいに不幸に愛される人もいると思う。でも、全ての不幸が茅乃に行くとは思えないんだ」

「で、でも私は・・・」

「言葉じゃ証明は出来ないよ。でも・・・俺が一つ言えることは俺の周りで何が起ころうとも茅乃のせいではないと絶対に言えるってことだ。それは俺の運が悪いだけで・・・全部が茅乃のせいではないと最後まで言えると思う」

「神藤くん・・・」

「なあ、茅乃。過去のことは俺には何も出来ないが・・・これから先俺がお前と一緒にいることは許してくれないか?」

「・・・・ダメですよ。それじゃあ神藤くんは不幸にーーー」

「構わない。茅乃と一緒にいられるなら。とりあえず茅乃は俺のことは気にせず正直な気持ちを言って欲しい」

「正直な気持ち・・・」

「そうだ。俺にはお前の不幸をどうにかする力はないが・・・とりあえず友達にはなれると思うんだ」

ここでかっこよくお前を守ると言えればいいが・・・・そんな台詞は守れる気がしないので俺は素直にそういっておく。

ひねくれた俺が初めて見せる本心・・・いつもなら表面だけで取り繕って距離を置くのに対して、心の奥に土足で踏み込むような言葉を吐くのはかなり怖いが・・・彼女の悲しげな表情を見ているとそんな恐怖よりも側にいたいという気持ちが強くなり、俺は自然とそう言えた。

だから・・・

「俺と・・・友達になって欲しい。茅乃」

心臓がばくばく言っている。こんなに素直な言葉を吐くのは初めてで告白しているような気持ちになる。

しばらく黙りこんでから茅乃は顔を俯かせて少し震える声で答えた。

「・・・危ないかもしれませんよ?」

「構わない」

「・・・私のせいで神藤くんが悲しむことになるかもしれませんよ?」

「茅乃のその悲しげな表情が変わるなら大丈夫だ」

「・・・私は・・・ボッチで面倒で重いですよ。それでもいいんですか?」

「俺も割りと本心はそうだから構わない」

「・・・本当に・・・私と一緒に・・・いてくれますか?」

「約束する絶対に」

「わ・・・私と・・・友達に・・・なって・・・くれますか?」

「こっちからお願いしたいよ」

「・・・嫌になったら離れていいんですよ?」

「絶対にならない。だから・・・答えを聞かせて欲しい」

俯かせていた顔を少しあげて涙を浮かべた顔で茅乃は・・・・泣きながら笑って答えた。

「よろしくお願いします。神藤くん」






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