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1章
16.
しおりを挟む「オタクだ…」
「嫌だなぁ~オタクと一緒のクラスっ」
「平良様と刈谷様に媚び売っているそうだよ。」
「お二人とも可哀想~。」
登校して、教室に入ってからもなお聞こえる俺への誹謗中傷。
うるさい…
言いたいことがあるなら直接俺に言えばいいのに。
どいつもこいつも遠くからの陰口ばっかりでいい加減飽きてきた。
俺に反応して窓が閉まっている室内に風吹き荒れる。
その一瞬の出来事で机に置いてある紙が舞い上がる。
「なっなんだ!」
陰口を言っていたヤツらは舞い上がった紙を拾いに散っていった。
「唯都大丈夫?」
心配してくる二人に大丈夫だと言い、自分の席に座る。
席に座ったすぐ、アキが入ってきた。
「はよーお前ら。
1限目はオリエンテーションだ。
普通科はB棟一階の講義室、
攻撃科、特殊科は第2競技場。
情報科はここで、治療科は第3薬学室だ。
以上、各自移動してくれ。」
「唯都、行こぜ。」
「うん。じゃあ、また後でね」
「まったね、ゆいっち。」
俺は光と別れ、義樹についていった。
「おぅ、皆そろったか!!」
アキと一緒に来た先生が俺達を見ていった。
「ん~…顔ぶれはあまり変わってないなぁ……お!!お前、例の外部生か!!」
先生は俺を見つけ、近づいてきた。
「俺は主に剣術を担当している大和(やまと)だ。お前は?」
「志野唯都です。」
「お~!!志野か!何か武術やってたか?」
「たしなむ程度ですが、剣術を。」
俺はそう言うと夏淡をみせた。
面倒なことになってしまった。
「よし、志野の実力は知らないから一度俺と模擬戦しよう!!」
大和先生がそう言って俺を闘技場の中央に引きずっていく。
「唯都!頑張れ!」
声をかけてきた義樹に軽く返事をし、渋い顔をするアキを見た。
「‘実力は?’」
「‘学生レベルはいつもの一割程度でいい。
だが、大和先生は強いぞ。’」
「‘アキよりは弱いだろ?勝っていいか?’」
「‘そうだが…まぁ、勝ってもいいんじゃないか?周りの奴らうるさいだろ? 姫の実力を見て黙るかもしれないぞ。’」
「‘ふぅ~ん…んじゃ、一割で大和に勝つ。あと、姫言うな。’」
「‘はぁーい。’」
アキとの会話を止め、大和を見る。
その目には勝つことへの渇望が滲みでている。
こういったヤツらは本当に面倒だ。
戦うまでしつこく付きまとってくるから相手をした方が楽だからだ。
「志野!ほら、武器選べ。」
見せられたのは刃引きした模擬剣達。
「先生、せっかくなので真剣でやりませんか?」
先生の背面にある大剣をみながらそう言ってやる。
「いや、怪我をさせるといやないからな!」
「でも、煉城先生より弱いのでしょう?」
「こんのっ…後悔しても知らないぞ!!」
煽ると簡単に乗ってきた大和。
殺生のない戦いは嫌いでは無いため、
やべっ…楽しくなってきた…
大和は持っていた大剣を抜いた。
「煉城先生!合図よろしくお願いします。」
「分かりまし た。では……始め!!」
Side:暁
やべぇ…俺は試合開始の合図を出しながら思った。
姫の心配はしていない。
大和は俺よりも弱いため、俺より強い姫は絶対に勝つ。
やばいのは大和の方だ。
姫は普通の人からみると無表情になってみえるが、その目には少し楽しそうにしているのがわかる。
彼は殺し合いは嫌いだが、こういった試合は好きな方でいつも俺が相手になっていた。
(実際、姫と同じレベルのヤツがおらず、羅都様さえも勝てなかった。)
お遊び程度に俺をぼこぼこにし、狂乱相手にも八割程度の力しか出さない。
まぁ、いざとなったら止めるか
Side:義樹
唯都の実力が見れる!
そう思ったら嬉しかった。
たしなむ程度とか言ってたけど、俺はそう思えなかった。
風紀の先輩に放った殺気、並の攻撃科生徒が放てない気だ。
「では……始め!!」
煉城先生の合図で、やまちゃん(俺たちはそう呼んでいる)…大和先生は愛剣を構える。
唯都はつっ立ったままだ。
「構えないのか!!」
「必ず構える必要なんてありますか?俺はそう教わりませんでした。」
唯都は刀に片手を添えているだけだ。
「っ…」
「…」
ガキンッ
何の前触れもなく、金属がぶつかる音がする。
「ほぅ…俺の一撃目を受け止める奴はごく僅かだ。」
Side:唯都
「ほぅ…俺の一撃目を受け止める奴はごく僅かだ。」
大和がニヤリッと笑う。
俺は繰り出された斬撃をかわしながら、鞘から抜いた夏淡を握り直す。
「それがお前の武器…刀か?」
「えぇ。俺の愛刀・夏淡です。
普通の物とちょっと違いますよ。」
夏淡は対アヤカシ用にミスリルにオリハルコンを混ぜ、ドラゴンの炎で打ったものだから簡単には折れない。
「どんな細工がしてあっても、俺が砕いてやるっ」
大和は力で押すタイプか…少しやりずらいな…
俺は振り下ろされた剣を夏淡で受け流すとさっと構えた。
「風翔流一の舞、疾風」
俺の流派はほとんどが一撃で終わらせる術が多い。
だから、我流の型と取り合わせて作ったものだ。
一閃風牙と舞を組み合わせた型で、目にも止まらぬ速さで詰め寄り、刀を高速で振り抜くと大和の剣を弾く。
「っち…」
「……小手調べはこのくらいにしませんか?それとも、今のが本気だったとか?」
「そんなことない!!俺の能力見せてやるぜ!!」
攻撃科の奴に能力まで使うのかよ…
「おりゃあ!!」
いきなりハンマーのように振り下ろしてきた剣を、夏淡で受け流そうとしたが、大和の剣が先程よりも重くなり、俺の刀にぶつかった。
「重力の変化か…」
「そのとーり!!俺は自分の武器の重さを自由に操る事が出来る。」
重力変化か…やりずらいな。
俺は大和の武器の下にいた体を捻り、夏淡でいなす。
どぉぉんっ
大きな音をだし大剣が地面に突き刺さる。
「っち…何だ口程にもないな、志野。」
やばっ愉しくなってきた…
いじりたい…
「夏淡、行くぞ。久しぶりに3割だ。」
俺は夏淡を構え大和に突っ込んでいった。
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