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6 完
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「最後?どうして、私たち家族がこれからもいるじゃない。」
本当に悪気無くこういうことが言えるから私は姉が苦手だったんですよね。愛理さんも本当に純真無垢な子なので、屈折した考えをする私とは本当に相性が悪いです。
「ねえ、愛理さん。あなたは自分の名前が好きですか?」
「もちろん!すべての理は愛である。これに勝るものは私はないと思ってるんだ。」
知ってます。そして、これ以上の会話は時間の無駄のようですのでお引き取り願いましょうか。
「そうなんですね、とてもいい名前を付けてもらいましたね。」
「はい!マナさんも同じ漢字なんだから愛は大切だと思うよね?」
「必要だとは思いますよ。」
「だよね!」
「それが本当に愛なのでしたらね。」
「えっ?どうしてそんなことを言うの?」
「さて、どうしてでしょう。私がひねくれているからかもしれませんね。」
「美奈おばあちゃんが言ってたことがやっとわかったよ。マナおばあちゃん、そんな風にしているからダメなんだよ。妄想もたいがいにしなきゃ。私たちは大人なんだから。」
「そうですね。目覚めてすぐなので少し混乱しているのかもしれません。治療が済んだら少し地方で療養しようかと思います。」
「遠くに離れないで私の家で一緒に暮らせばいいじゃない!」
「そんなの悪いですよ。それに治療中や療養中の姿ではなく、元気な姿で愛理さんに会いたいので、それまでは会わないように少し距離をとりたいんです。」
「別に遠慮しなくていいのに…。でもマナおばあちゃんがそう決めたなら仕方ないね。いつか元気な姿を私たち家族に見せに来てね?」
「愛理さんもお元気で。」
ごめんなさい、私は守れない約束をするのは好きじゃないんです。初めてこんな能力の使い方をしましたが意外と上手くいくものですね。今まではいかにして人と話さないようにするかを考えてきましたが、この能力を使って円満に人とコミュニケーションをとることでこんなに簡単に話を進めることができるなんて驚きです。これも夢から勇気を貰ったおかげですね。これで私のやりたいことにさらに一歩近づけた気がします。…あれ、私はいつからこれをやりたいと思うようになったのでしょうか。…わかりませんね。ではこれも夢のおかげにしときましょう。夢というものですから全く内容は覚えていませんが、その時感じた想いはしっかりと残っています。ではまずはこの病気を治して、家族に見つからない場所で看護師免許を取ることにしましょうか。その前に私の能力を知る唯一のこの手紙を燃やさなければなりませんね。これがあるだけで厄介なことになりかねないですから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
令和時代の偉人の一人として愛という人物がいる。彼女は長期のコールドスリープ後、看護師免許を取得し大学生時代に身につけた言語力を活かしてアフリカ圏の紛争地域で治療を行い、多くの人を救った。さらに不思議なことに、彼女が敵対する勢力と話し合うと紛争がいつの間にか収まっていることがあった。それ故、彼女は紛争地域の人々から神に遣わされた存在として崇められている。このような平和への貢献から多くの賞を得た。その時、ある記者が質問をした。なぜこんなにも人のために動けるのか、あなたの名前のように人々に愛を分け与えたかったのかと。彼女はこう答えた。
「私はこの名前を変えたいと思うくらい好きではありません。ですが、コールドスリープ中に夢の中で私のことを愛していると言ってくれた女の子がいたんです。私の妄想だったのかもしれませんが私には彼女のまっすぐな目を裏切るようなまねはできませんでした。私がこのような活動をしているのはそれが私の役目だったからです。人は誰もが生まれたからには何か役目があり、それを死ぬまでに終えなければなりません。私の役目は死ぬまでに終えることができるのかわかりませんが、最期までやり遂げなければならないのです。する、しないの問題ではなく、これが私のすべきことなのです。」
このインタビュー後、彼女は何者かという論争が彼女が亡くなった今も続いている。ある心理学者は心理学を極めた者と言い、ネットでは妄想者の末路と蔑む者もいる。ナイチンゲールの生まれ変わりだと言う人もいれば、超能力者だという人もいる。そして最近の若者の間では彼女は異世界からの転生者という説が濃厚のようだ。
真実は今もわかっていない。ただ分かっているのは彼女は間違いなくこの世界の多くの命を救った救世主のような存在であるということだけである。
本当に悪気無くこういうことが言えるから私は姉が苦手だったんですよね。愛理さんも本当に純真無垢な子なので、屈折した考えをする私とは本当に相性が悪いです。
「ねえ、愛理さん。あなたは自分の名前が好きですか?」
「もちろん!すべての理は愛である。これに勝るものは私はないと思ってるんだ。」
知ってます。そして、これ以上の会話は時間の無駄のようですのでお引き取り願いましょうか。
「そうなんですね、とてもいい名前を付けてもらいましたね。」
「はい!マナさんも同じ漢字なんだから愛は大切だと思うよね?」
「必要だとは思いますよ。」
「だよね!」
「それが本当に愛なのでしたらね。」
「えっ?どうしてそんなことを言うの?」
「さて、どうしてでしょう。私がひねくれているからかもしれませんね。」
「美奈おばあちゃんが言ってたことがやっとわかったよ。マナおばあちゃん、そんな風にしているからダメなんだよ。妄想もたいがいにしなきゃ。私たちは大人なんだから。」
「そうですね。目覚めてすぐなので少し混乱しているのかもしれません。治療が済んだら少し地方で療養しようかと思います。」
「遠くに離れないで私の家で一緒に暮らせばいいじゃない!」
「そんなの悪いですよ。それに治療中や療養中の姿ではなく、元気な姿で愛理さんに会いたいので、それまでは会わないように少し距離をとりたいんです。」
「別に遠慮しなくていいのに…。でもマナおばあちゃんがそう決めたなら仕方ないね。いつか元気な姿を私たち家族に見せに来てね?」
「愛理さんもお元気で。」
ごめんなさい、私は守れない約束をするのは好きじゃないんです。初めてこんな能力の使い方をしましたが意外と上手くいくものですね。今まではいかにして人と話さないようにするかを考えてきましたが、この能力を使って円満に人とコミュニケーションをとることでこんなに簡単に話を進めることができるなんて驚きです。これも夢から勇気を貰ったおかげですね。これで私のやりたいことにさらに一歩近づけた気がします。…あれ、私はいつからこれをやりたいと思うようになったのでしょうか。…わかりませんね。ではこれも夢のおかげにしときましょう。夢というものですから全く内容は覚えていませんが、その時感じた想いはしっかりと残っています。ではまずはこの病気を治して、家族に見つからない場所で看護師免許を取ることにしましょうか。その前に私の能力を知る唯一のこの手紙を燃やさなければなりませんね。これがあるだけで厄介なことになりかねないですから。
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令和時代の偉人の一人として愛という人物がいる。彼女は長期のコールドスリープ後、看護師免許を取得し大学生時代に身につけた言語力を活かしてアフリカ圏の紛争地域で治療を行い、多くの人を救った。さらに不思議なことに、彼女が敵対する勢力と話し合うと紛争がいつの間にか収まっていることがあった。それ故、彼女は紛争地域の人々から神に遣わされた存在として崇められている。このような平和への貢献から多くの賞を得た。その時、ある記者が質問をした。なぜこんなにも人のために動けるのか、あなたの名前のように人々に愛を分け与えたかったのかと。彼女はこう答えた。
「私はこの名前を変えたいと思うくらい好きではありません。ですが、コールドスリープ中に夢の中で私のことを愛していると言ってくれた女の子がいたんです。私の妄想だったのかもしれませんが私には彼女のまっすぐな目を裏切るようなまねはできませんでした。私がこのような活動をしているのはそれが私の役目だったからです。人は誰もが生まれたからには何か役目があり、それを死ぬまでに終えなければなりません。私の役目は死ぬまでに終えることができるのかわかりませんが、最期までやり遂げなければならないのです。する、しないの問題ではなく、これが私のすべきことなのです。」
このインタビュー後、彼女は何者かという論争が彼女が亡くなった今も続いている。ある心理学者は心理学を極めた者と言い、ネットでは妄想者の末路と蔑む者もいる。ナイチンゲールの生まれ変わりだと言う人もいれば、超能力者だという人もいる。そして最近の若者の間では彼女は異世界からの転生者という説が濃厚のようだ。
真実は今もわかっていない。ただ分かっているのは彼女は間違いなくこの世界の多くの命を救った救世主のような存在であるということだけである。
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