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第5話
4
「食後、コーヒーと紅茶どっちがいい?」
さらりと聞かれて、そのまま深く考えるのも聞き返すタイミングも逃してしまった。
「紅茶、かな……」
「了解」
糸川はポットに水を注いで沸かし始めた。ガラス製のティーポットまで出てきて、目を疑う。
私、ポットなんて持ってすらいない。ティーパックをマグカップに放り込んで飲むのがせいぜいだ。
お湯が沸くのを待っている間、シンクに溜まった鍋を素早く洗っていくのを、まじまじと見つめてしまう。
糸川がこんなに家事スキルが高いなんて、思ってもいなかった。予想外だ。
「お待たせ」
砂時計を使ってきっかり蒸らし時間を測って淹れられた紅茶が、目の前に置かれる。
当然、食べ終わった食器は下げられたあとだ。
「洗い物くらい手伝う」と言ったのに、食洗機に入れるだけだから良いと断られてしまった。
「ていうかすごいね。食洗機つきなんて」
「料理しやすそうな家を選んだから、造り付けなんだよ。ここ借りたのも、キッチンが一番の決め手」
「へえ……」
昨日までだったら信じなかったかもしれないけれど、料理の腕を見せられた今では、納得するしかない。
「相川は? どんな家に住んでるの?」
「私は……普通のアパート。ここより全然狭いし」
「オートロック?」
「うん」
「そっか」
息を吐いた糸川は、冷蔵庫を開け小さなココットを取り出した。
「はい、食後のデザート」
琥珀色に輝くカラメルソースのかかった一口サイズのプリンとスプーンが置かれる。
「……お菓子まで作るの?」
「まあ、時々。でも焼き菓子とかは作らないけど。食べ切れないし」
俺も食おうと言ってもう一つココットを取り出した糸川は「俺、固めのプリンが好きなんだよな~」と呟きながら、ほとんど一口で食べ切っている。
「ま。味は上出来だな。もう少し固くてもいいけど。相川は柔らかいのと固いの、どっち派?」
「私も固いほうが好き。昔の喫茶店で出てくるみたいなやつ」
「一緒じゃん。じゃあ次はもっと固めにするか~」
次、なんてもうないはずなのに。
思わず、うん、と頷きかけてしまった。
「プリン、もう少し食う? まだあるけど」
「ううん。大丈夫。ありがと」
甘いものは普段避けているのに、つい調子に乗って食べすぎてしまった。
明日からしばらく節制しなくては。
せめてこれくらい洗おうと、糸川が食べ終えたココットと一緒にシンクへ持っていく。
さっき糸川が使っていたスポンジで、ココットを洗う。
慌てて後についてきた糸川が、横に並んで、「あ~」と天を仰いだ。
「なに?」
「いや、いいなあと思って」
「何が?」
「何でもない。こっちの話」
変なの、と思いながら、シンク横のカゴにココットを伏せる。
さらりと聞かれて、そのまま深く考えるのも聞き返すタイミングも逃してしまった。
「紅茶、かな……」
「了解」
糸川はポットに水を注いで沸かし始めた。ガラス製のティーポットまで出てきて、目を疑う。
私、ポットなんて持ってすらいない。ティーパックをマグカップに放り込んで飲むのがせいぜいだ。
お湯が沸くのを待っている間、シンクに溜まった鍋を素早く洗っていくのを、まじまじと見つめてしまう。
糸川がこんなに家事スキルが高いなんて、思ってもいなかった。予想外だ。
「お待たせ」
砂時計を使ってきっかり蒸らし時間を測って淹れられた紅茶が、目の前に置かれる。
当然、食べ終わった食器は下げられたあとだ。
「洗い物くらい手伝う」と言ったのに、食洗機に入れるだけだから良いと断られてしまった。
「ていうかすごいね。食洗機つきなんて」
「料理しやすそうな家を選んだから、造り付けなんだよ。ここ借りたのも、キッチンが一番の決め手」
「へえ……」
昨日までだったら信じなかったかもしれないけれど、料理の腕を見せられた今では、納得するしかない。
「相川は? どんな家に住んでるの?」
「私は……普通のアパート。ここより全然狭いし」
「オートロック?」
「うん」
「そっか」
息を吐いた糸川は、冷蔵庫を開け小さなココットを取り出した。
「はい、食後のデザート」
琥珀色に輝くカラメルソースのかかった一口サイズのプリンとスプーンが置かれる。
「……お菓子まで作るの?」
「まあ、時々。でも焼き菓子とかは作らないけど。食べ切れないし」
俺も食おうと言ってもう一つココットを取り出した糸川は「俺、固めのプリンが好きなんだよな~」と呟きながら、ほとんど一口で食べ切っている。
「ま。味は上出来だな。もう少し固くてもいいけど。相川は柔らかいのと固いの、どっち派?」
「私も固いほうが好き。昔の喫茶店で出てくるみたいなやつ」
「一緒じゃん。じゃあ次はもっと固めにするか~」
次、なんてもうないはずなのに。
思わず、うん、と頷きかけてしまった。
「プリン、もう少し食う? まだあるけど」
「ううん。大丈夫。ありがと」
甘いものは普段避けているのに、つい調子に乗って食べすぎてしまった。
明日からしばらく節制しなくては。
せめてこれくらい洗おうと、糸川が食べ終えたココットと一緒にシンクへ持っていく。
さっき糸川が使っていたスポンジで、ココットを洗う。
慌てて後についてきた糸川が、横に並んで、「あ~」と天を仰いだ。
「なに?」
「いや、いいなあと思って」
「何が?」
「何でもない。こっちの話」
変なの、と思いながら、シンク横のカゴにココットを伏せる。
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