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第11話
4
吉野はそんな糸川に、
「そうですよ~! 売れてない地下アイドルグループで、女ばっかり八人。しかももうみーんなアラサー」なんて説明している。
ちなみにホシゾラドロップスは地下アイドルじゃなくてちゃんとメジャーデビューしてるし、アラサーなのはミトだけで後の子たちはまだ20代前半だ。
間違った情報を大声で流さないでほしい。
訂正しようとしたとき、とうとう堪えきれないと言った様子で、糸川が噴き出した。
身体を曲げるようにして笑いだす。
「え……?」
突然けたけたと声を上げて笑い始めた糸川を、吉野が呆然と見上げている。
「なんだよ、ミトって女なの?」
緊迫した空気を一瞬でかき消した糸川に問われた。
「う、うん。あれ、言わなかったっけ……?」
「聞いてねーし。はー、マジか。なんだよ、早く言えよ」
「え、ご、ごめん……?」
よくわからないながらも謝る。
「今日、一緒に帰ろうぜ」
目尻に浮かんだ涙を拭いながら、なぜか上機嫌の糸川は私の肩を叩いた。
久しぶりに触れられて、心臓が跳ねる。
もっと深いところまで触れ合ったはずなのに、たったこれだけで胸が痺れた。
「あー、吉野。相川の昔のこと、教えてくれてサンキュな。俺、おかげでもっと相川のこと好きになったわ」
さらりとそう言い残し、糸川は自分の席へと戻っていく。
え、今、好きって……言った? 私のことを?
いや、恋人のふりが継続しているということなのだろう。きっとそうに違いない。
でも、頭のなかを糸川の声がぐるぐると回っていて、自分の頬がどんどん熱を持っていくのを感じる。
その場には、違う意味で呆然とする私と吉野が残されたのだった。
――今日、久しぶりに家に来れない?
糸川からそのメッセージが届いたのは、終業間際だった。
思わず、掴んだスマホを取り落としそうになる。
――うん、行く。
震える指先で慌てて返信し、そっと糸川の方を窺う。するとメッセージを確認したらしい糸川が、ふっと視線をあげてこちらを見た。
いつかのように表情を緩める糸川に、どきんと胸が鳴る。
それだけで、心臓が馬鹿みたいに速く打ち始める。
突然の誘いの理由はわからない。
だけどたったこれだけで心が浮き立ってしまう。
もう誤魔化しようがないくらい、私は、糸川が好き、だ。
「そうですよ~! 売れてない地下アイドルグループで、女ばっかり八人。しかももうみーんなアラサー」なんて説明している。
ちなみにホシゾラドロップスは地下アイドルじゃなくてちゃんとメジャーデビューしてるし、アラサーなのはミトだけで後の子たちはまだ20代前半だ。
間違った情報を大声で流さないでほしい。
訂正しようとしたとき、とうとう堪えきれないと言った様子で、糸川が噴き出した。
身体を曲げるようにして笑いだす。
「え……?」
突然けたけたと声を上げて笑い始めた糸川を、吉野が呆然と見上げている。
「なんだよ、ミトって女なの?」
緊迫した空気を一瞬でかき消した糸川に問われた。
「う、うん。あれ、言わなかったっけ……?」
「聞いてねーし。はー、マジか。なんだよ、早く言えよ」
「え、ご、ごめん……?」
よくわからないながらも謝る。
「今日、一緒に帰ろうぜ」
目尻に浮かんだ涙を拭いながら、なぜか上機嫌の糸川は私の肩を叩いた。
久しぶりに触れられて、心臓が跳ねる。
もっと深いところまで触れ合ったはずなのに、たったこれだけで胸が痺れた。
「あー、吉野。相川の昔のこと、教えてくれてサンキュな。俺、おかげでもっと相川のこと好きになったわ」
さらりとそう言い残し、糸川は自分の席へと戻っていく。
え、今、好きって……言った? 私のことを?
いや、恋人のふりが継続しているということなのだろう。きっとそうに違いない。
でも、頭のなかを糸川の声がぐるぐると回っていて、自分の頬がどんどん熱を持っていくのを感じる。
その場には、違う意味で呆然とする私と吉野が残されたのだった。
――今日、久しぶりに家に来れない?
糸川からそのメッセージが届いたのは、終業間際だった。
思わず、掴んだスマホを取り落としそうになる。
――うん、行く。
震える指先で慌てて返信し、そっと糸川の方を窺う。するとメッセージを確認したらしい糸川が、ふっと視線をあげてこちらを見た。
いつかのように表情を緩める糸川に、どきんと胸が鳴る。
それだけで、心臓が馬鹿みたいに速く打ち始める。
突然の誘いの理由はわからない。
だけどたったこれだけで心が浮き立ってしまう。
もう誤魔化しようがないくらい、私は、糸川が好き、だ。
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