桃太のおだんご(隠語)は大人気

ぱぴっぷ

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おだんご食べ放題、時間無制限

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 …………朝か。

 身体がダルい。 

 昨日の夜は…… おだんごの大盤振る舞いだった。

 千和から食べ始め、続いて美鳥と輝衣も。
 それからはもう…… おだんご食べ放題、時間無制限っていう状態で、食べるのも食べさせるのも大変だった。

 だけどみんな幸せそうに食べるもんだからついつい張り切ってしまい…… ああ、片付けもしないとなぁ。

 左隣を見れば輝衣は大の字で寝ていて、右隣の美鳥は俺の方を向き丸まって寝ていた。

 ……あれ? 千和が居ない。

 千和を探すために二人を起こさないようベッドから降りて部屋を出る。
 すると風呂場から水を使っているような音が聞こえたので入ってみると

「あっ、桃くん…… おはよ」

 恥ずかしいのか分からないが、千和は俺を見て少し目を反らした。

「おはよう…… 俺も入っていいか?」

 なんとなく一緒に居た方が良い気がして、俺も朝風呂に入る事にした。

「…………」

 いつもなら笑って近付いてくるのに、どうしたんだよ。

「千和?」

「……桃くんごめんね? 私が生でおだんご食べたいって言ったから、桃くんに余計な負担をかけちゃった」

 ……もしかしておだんごを食べ過ぎたのを気にしてるのか?

「もし食べ過ぎで太ったとしても、桃くんのせいじゃないから気にしないでね? ちゃんと一人で頑張るから」

 今更…… 千和って昔から、何か俺に気を使っているよな……

「いや、千和がもし太ったら二人で頑張ろう、これは俺達の話だから一人で抱え込まないでくれ、それに…… 俺は生でおだんご食べさせた事を後悔なんてしてないぞ? むしろ喜んで食べてくれてありがとう、これからもずっと一緒だ、よろしくな、千和」

「うぅっ…… 桃くぅん…… 私…… 私……」

 泣き出した千和を抱き締めた俺は、落ち着かせるためにしばらく千和の頭を撫で続けた。



「……えへへっ、ありがとう桃くん、私、すごく幸せだよ」

「ああ、俺もだ」

「んふっ、んっ……」

 すると……

「ああっ! キスしてます! ズルいですよ?」

「へへっ、桃太ぁ…… あたし達にも言うことないのか?」

 えっ? まさか俺達の会話を聞いていたのか!?

「それは…… うふっ、聞いていましたよ、でも、二人だけで頑張るんじゃなくてみんなで頑張りましょう?」

「そうだぞ! あたし達は桃太のおだんごでなら太っても良いって覚悟でいっぱい食べたんだからな! もし誰かが太ってもみんなで頑張るぞ!」

「美鳥さん…… きーちゃん……」

「桃太さんのおだんごを食べ続けたら、いずれ太る未来が見えてましたから、それが早いか遅いかだけの話ですよ」

「そうだそうだ! 桃太だって覚悟を決めて食べさせてくれたんだから、気にするな! なっ? 桃太」

 ……それはそうだ、もしみんなが太っても全員責任取るからな! 

「……えへへっ、桃くん」

「桃太さん」

「桃太、さすが!」

「それじゃあ遠慮はいらないね?」

「ええ、そうですね」

「そうとなれば、風呂で一回サッパリしてから、またおだんご食べ放題だ!」

 えぇーっ!? いや、のんびり過ごさないの? せっかくの旅行だよ?

「のんびり外の景色を見ながらおだんご……」

「リビングでゴロゴロしながらおだんご……」

「お風呂に浸かりながらもおだんご……」

 ……休まる暇なさそう。


 そして……


 食欲の増した三匹の獣によって、俺のおだんごは休む暇なく貪り食われた……


 ◇


 ふぅ…… お腹が桃くんのおだんごで満たされている。
 こんなペースだったらあっという間に3000グラムくらい太っちゃう! えへへっ。

 予定していた計画、生おだんごの試食は大成功、試食どころか食べ放題になってしまったのが計算外だったが、幸せだからいいかな?
 ただ、あまりの美味しさに不安にもなってしまい、つい桃くんの前で泣いてしまった。
 自己中心的で桃くんの負担を考えない行動だったと朝目覚めて後悔し、一人でしょんぼりとお風呂に入っている時に桃くんが入ってくるんだもん! 仕方ないよね。

 でも、それでもすべてを包み込んでくれる桃くんの優しさ…… やっぱり桃くん大好き! 

 えへへっ、ずっと一緒だって…… そのつもりだったけど、桃くんから言葉にしてもらえるなんて、それだけで…… んんっ! あぁん、幸せ過ぎて身体がぁ……

「……っ! 千和っ!」

 あぁ…… おだんご、美味しい…… またお腹いっぱい……

 んふふっ、おだんご待ちしている美鳥さんときーちゃんにも食べさせてあげて…… 

 私達、もう桃くんから離れられないんだから、もっといっぱい食べさせてね?


 ◇


「ふぅ! 食った食った!」

「……輝衣は元気そうだな」

「まあな、体力と元気だけが取り柄だから」

「うふふっ…… そう言いながら、お腹いっぱいで立ち上がれないんじゃないですか?」

「えへへっ…… さすがに食べ過ぎてクタクタだよぉ」

 ……もう夜!? いや、どれだけ食べてるんだよ。

「しかし桃太のおだんご作りはすごいなぁ、普通こんなに作れるもんなのか?」

「あまり他のを食べた事はないんですけど、普通はこんなペースで作れないと思いますよ?」

「ひぇぇ…… これを今までちい一人で食べてたのか?」

「うん…… だってせっかく作ってくれるんだもん残さず食べたいでしょ? でもいつも食べ切れなくて…… 二人が来てくれて良かったよ」

「確かに千和ちゃんと二人で食べていた時も余裕がありましたもんね」

「はぁ、でも満腹まで食べさせてもらえるあたし達は幸せかもな」

 両サイドに千和と美鳥、上に輝衣がいる状態でおしゃべりしてるんだけど…… 退けてとは言えない雰囲気だな。

「んっ! ……よいしょっと、ふぅっ」

 ……このまま休憩のようだな、まあいいか。

 それにしてもコテージから出てないけど、食材とか大丈夫なのかな?

「あっ、もうそろそろ追加の食材を持って来てくれる時間だ! どうしよう……」

 どうしようって言って、なんで更にくっつくんだ? 輝衣に至ってはしがみついてるし。

「……ジャンケンしましょう」

「うん!」

「よし…… 最初はグー! ジャンケン……」


 …………

「うぅっ、負けちゃいましたぁ……」

「えへへっ、いってらっしゃい」

「へへっ、んーっ、桃太ぁ」

「……ズルいです! 桃太さん! 私にもいってらっしゃいのキスして下さい!」

 いや、食材を受け取りに行くだけ…… あっ、はい。



 ◇


 お腹いっぱいになればお腹が空く、ちょっと何を言っているか分からないかもしれないが気にしないでくれ。

 キッチンにはエプロンだけを着けた三人…… 受け取った食材を見ながらあれこれ話をしている。

「このまま焼き肉でいいんじゃない?」

「そうだね、簡単だし、すぐ食べたいもんね」

「今日は軽くしか食べてないからお腹がペコペコです」

 ……桃が三つ並んでる。

「んふふっ……」

 俺の視線にいち早く気付いた千和は、微笑みながら桃を見せ付けてくる。
 いいだけ桃は見たのに、キッチンにある桃が美味しそうに見えるのは不思議。

「…………」

 こっそり桃をふりふりするんじゃない、ほら、バレたじゃないか。
 三人でふりふりするな。

「あっ!」

「ふりふりしたら……」

「垂れて……」

 …………

 その後、焼き肉を食べ終わったらみんなスイッチが切れたように眠ってしまい、俺は一人で色々と片付けをして、最後に一人で風呂に入った。

 なんだかんだ大変だったけど、旅行は楽しかったなぁ。
 
 ……親父達も楽しんでるのかな? 
 
 こうして俺自身が旅行に来て思うのは、あの時、親父達を世界一周旅行に行かせて良かったという事。

 サボりはするけど、なんだかんだずっと店のために頑張ってきた親父達。
 そんな二人が羽を伸ばし、思い出を作れる機会ができたのは良い事だ。

 ふぅ…… 明日はゆっくり休んで、明後日からまた頑張って団子作るか。

 ……きっと四人なら、親父達を越える、人気の団子屋としてやっていける。

 温泉に浸かり身体を癒しながら、そんな希望に溢れる、幸せな未来を想像していた。
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