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俺が起きても味見は止めないのね
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昨日は早くからぐっすりと眠っていた三人だが、そのせいか朝早くから元気だ。
まだ眠たかった俺はベッドに残っていたが、三人で温泉に入りに行き、温まった後にまたベッドに戻ってきて、三人とも温まって少ししっとりとした身体を俺に押し付けるように、またベッドで横になっていた。
俺が気にしないよう目を閉じたままでいると、頬を指でつついてみたり、キスしたりと好き勝手して、しまいには……
「おだんごをみんなで味見しない?」
「へへっ、おだんごの準備もできているみたいだし」
「味見だけですよ? 桃太さんもおだんご作りで疲れてるんですから」
「そう言うみいが一番最初におだんごを手に取ってるんじゃないかよ!」
「えへへっ、ダメだよ? みんなで味見なんだから…… あはっ、美味しそう」
「た、食べちゃダメですよ? あくまでも味見ですから……」
「ああ…… んーっ、このおだんごの味、クセになる」
…………
「……おい」
「あっ、桃くん…… っ、おはよ」
「んぁっ、おはようございます」
「おはよう桃太、あむっ……」
俺が起きても味見は止めないのね…… もう好きにして。
◇
「ほら、もうすぐタクシーが来るから」
「ちゅっ…… えへへっ、はーい」
「んっ…… もう少しいいだろ?」
「はぁ、んっ…… 船橋さんをお待たせしたら悪いですからね、これくらいにしておきましょうか」
……結局、味見だけじゃもの足りなくなった三人におだんごを振る舞い、一応部屋を軽く掃除してからリビングのソファーで迎えを待っていたが、三人は最後まで俺にくっついていた。
そして船橋さんのタクシーが迎えに来て、俺達は二泊三日の旅行から帰宅する事となった。
……そういえば結局泊まっている間、コテージから外に出なかったなぁ。
大きなガラス窓から夜空をみんなで眺めただけ。
果たしてあれが眺めている内に入るのかは分からないが、あとは…… うん、色々と絶景は見れたかな? 特に温泉メロンと桃の並びは……
「あーっ! 桃太、大変だ!」
「いきなりどうしたんだよ、忘れ物か?」
「おっ母…… じゃなくてお母さんが旅行中の写真を送ってくれって言ってたのを忘れてた!」
「写真? ……あぁ、それは大変だな」
写真…… スマホで撮るには撮ったけど、景色やコテージとかではなく、主に俺達がアップで写るものばかり…… あれ? これじゃあ俺達のやってる事って、親父達が旅行中に送ってきた写真と大して変わらないんじゃないか? 人の事をとやかく言えなくなっちゃったよ。
「えへへっ、送信、っと……」
「千和?」
「桃くんのおばさんに旅行中の写真送っておいたよ!」
笑顔で千和が見せてきたのは…… 温泉に入っている時にみんなて撮った写真だった。
温泉だからもちろんみんな……
「そ、それはマズいんじゃないか!?」
「えぇー? じゃあこっちも送信しとこ、はい、これね?」
次に見せてきたのは…… ベッドで横になっている俺と千和のツーショット。
肩から上しか写ってはいないが、千和の顔が少し赤らんでいて、服を着ている様子もない…… マズいマズい!!
「そうだよね! 私だけのツーショットだったらマズいから、美鳥さんときーちゃんとそれぞれツーショットで撮ったやつも送っておいたよ! えへへっ」
いや『偉いでしょ? 褒めて!』みたいな顔をしているけど、そういう事じゃなくてだな……
「大丈夫だよ! おばさんとは色々と連絡してるから、全部知ってるよ!」
「……えっ?」
「お団子屋さんが好調なのも知ってるし、美鳥さんときーちゃんが半同棲みたいな状態なのも知ってる、あと…… この旅行で『生おだんご』食べた事も」
えっ? 息子の俺には音沙汰ないのに、千和とは頻繁に連絡取っている事に驚きだが、それよりもそんな事まで連絡しちゃってたの!?
「だってぇー、食べ過ぎで太っちゃったら大変でしょ? 先におばさんには言っておかないと」
だから母さんにわざわざ太りそうだと報告したのかな、千和ちゃん? あははっ。
「うん! 桃くんも一緒に頑張ろうって言ってくれたし、嬉しくてつい…… えへへっ!」
うん…… 母さんにはすべて筒抜けという訳か…… えへっ、えへへっ!
「桃太がちいみたいな笑い方してる、じゃああたしも同じようなの送っておくか」
き、輝衣!? ちょっと待っ……
「送信…… あっ、これはマズかったか? なっ、これはどう思う?」
輝衣…… 遅かった…… んっ? どれどれ…… いや、これはどう考えても親に送ったらアウトだろ。
どんな写真なんだ、って? いや、ここではとてもじゃないが言えないような写真だ。
輝衣よ、ダブルピースは駄目だろ……
「うぅっ、みんな送る相手が居て羨ましいですね…… それなら私はマネージャーさんに……」
一番ダメェェェーー!!
「えっ、駄目だったんですか? 楽しい旅行だったのに……」
美鳥がそう言って見せてきたのは、みんなで楽しそうに鍋をつついている様子を撮影したものだった。
「ごめん、それなら大丈夫……」
「これが駄目なら、こっちを送信しました!」
次に見せてきたのは…… おもいっきりアウトなやつ! ヒントは白玉、練乳。
「だ、駄目でしたか?」
「うん…… 駄目」
「そ、そんなぁ…… 美味しかったのにぃ……」
いくら美味しくてもこれはマズい! 美鳥ちゃん、グラビアアイドルですよね?
「私は何も聞いてない、私は何も聞いてない……」
船橋さん!? 頭を振りながらブツブツと呟いているけど、ちゃんと前を見て運転して下さいね!?
「あっ! おばさんから返信きたよ! ほら」
そう言って画面を見せてきた千和、そこには、親父の膝の上に座りながらピースしている母さんの姿が写されていた。
母さんの少し顔が赤く、履いているスカートも何だか不自然…… いや、考えたら駄目だ、見なかった事にしよう。
「も、桃太さん…… どうしましょう、マネージャーさんからの返信で……」
今度は美鳥? ……いや、怖くて見られないよ。
なになに……『ちゃんと体調の管理はして下さい、体型が崩れても知りませんからね? あと、あっちの管理も』
あっち? あっちって、どっち!? うーん、ワカリマセーン!
「体型崩れても愛してもらえるんで、大丈夫です…… っと、ちゃんと返信しておきました! うふふっ」
いや、そういう事を言いたかった訳じゃないと思うよ?
「ヤベっ…… お母さん、めちゃくちゃ怒ってる」
えぇっ!? お、俺も一緒に謝るから……
「『嬉しいならもうちょっと上品な顔をしなさい!』だって、参ったなぁ……」
……どういう事? 輝衣の母親もよく分からないよ、僕には。
「ひぃぃっ、最近の若い子って乱れてる…… いや、この子達だけが特別なのかしら?」
いえ船橋さん、この子達が少しおかしいんです…… 多分。
「そんな三人を相手している吉備さんも吉備さんです! まったく…… 若いから食べ過ぎちゃうのは分かりますよ? でも吉備さんは男の子なんですから、ちゃんとセーブしてあげないと!」
船橋さんがついに怒ってしまった!
「それにですね、人の話を聞く時はちゃんと聞いて下さい! メロンをメロンメロンしながら聞くんじゃありません!」
「えへへっ、桃くんってば、すぐメロンメロンしちゃうんだから…… 別に私はいいんだけどね?」
……メロンメロンって初めて聞いたわ
「あぁっ! ちい、ズルいぞ! 桃太、あたしのりんごもアップルプルしていいぞ!」
輝衣、対抗しなくていいから、なんだよアップルプルって。
「桃太さん…… わ、私のは何と言えばいいんでしょうか……」
美鳥? 美鳥はそのままでいてね?
「あなた達! ちゃんと話を聞きなさーい!!」
それから家に着くまで、みんなで船橋さんに色々と説教された。
話を簡単にまとめると『暴飲暴食は駄目だよ?』って事なんだろうが、時々、千和達が口を挟むもんだから、船橋さんが余計にヒートアップして、なだめるのが大変だった。
「……到着しましたよ、お疲れ様」
船橋さんの方がよっぽどお疲れのようだけど…… ありがとうございました。
「はぁ…… 私の彼氏も動けなくなるまで食べさせてくれないかしら……」
帰り際にボソっと何か呟いていたが、聞かなかった事にして……
旅行を終えて、我が家に帰って来た!
二泊三日だが、濃い旅行だったな。
「うん、すっごく濃かったぁ……」
「ああ……」
「そうですね……」
…………旅行の話、だよね?
まだ眠たかった俺はベッドに残っていたが、三人で温泉に入りに行き、温まった後にまたベッドに戻ってきて、三人とも温まって少ししっとりとした身体を俺に押し付けるように、またベッドで横になっていた。
俺が気にしないよう目を閉じたままでいると、頬を指でつついてみたり、キスしたりと好き勝手して、しまいには……
「おだんごをみんなで味見しない?」
「へへっ、おだんごの準備もできているみたいだし」
「味見だけですよ? 桃太さんもおだんご作りで疲れてるんですから」
「そう言うみいが一番最初におだんごを手に取ってるんじゃないかよ!」
「えへへっ、ダメだよ? みんなで味見なんだから…… あはっ、美味しそう」
「た、食べちゃダメですよ? あくまでも味見ですから……」
「ああ…… んーっ、このおだんごの味、クセになる」
…………
「……おい」
「あっ、桃くん…… っ、おはよ」
「んぁっ、おはようございます」
「おはよう桃太、あむっ……」
俺が起きても味見は止めないのね…… もう好きにして。
◇
「ほら、もうすぐタクシーが来るから」
「ちゅっ…… えへへっ、はーい」
「んっ…… もう少しいいだろ?」
「はぁ、んっ…… 船橋さんをお待たせしたら悪いですからね、これくらいにしておきましょうか」
……結局、味見だけじゃもの足りなくなった三人におだんごを振る舞い、一応部屋を軽く掃除してからリビングのソファーで迎えを待っていたが、三人は最後まで俺にくっついていた。
そして船橋さんのタクシーが迎えに来て、俺達は二泊三日の旅行から帰宅する事となった。
……そういえば結局泊まっている間、コテージから外に出なかったなぁ。
大きなガラス窓から夜空をみんなで眺めただけ。
果たしてあれが眺めている内に入るのかは分からないが、あとは…… うん、色々と絶景は見れたかな? 特に温泉メロンと桃の並びは……
「あーっ! 桃太、大変だ!」
「いきなりどうしたんだよ、忘れ物か?」
「おっ母…… じゃなくてお母さんが旅行中の写真を送ってくれって言ってたのを忘れてた!」
「写真? ……あぁ、それは大変だな」
写真…… スマホで撮るには撮ったけど、景色やコテージとかではなく、主に俺達がアップで写るものばかり…… あれ? これじゃあ俺達のやってる事って、親父達が旅行中に送ってきた写真と大して変わらないんじゃないか? 人の事をとやかく言えなくなっちゃったよ。
「えへへっ、送信、っと……」
「千和?」
「桃くんのおばさんに旅行中の写真送っておいたよ!」
笑顔で千和が見せてきたのは…… 温泉に入っている時にみんなて撮った写真だった。
温泉だからもちろんみんな……
「そ、それはマズいんじゃないか!?」
「えぇー? じゃあこっちも送信しとこ、はい、これね?」
次に見せてきたのは…… ベッドで横になっている俺と千和のツーショット。
肩から上しか写ってはいないが、千和の顔が少し赤らんでいて、服を着ている様子もない…… マズいマズい!!
「そうだよね! 私だけのツーショットだったらマズいから、美鳥さんときーちゃんとそれぞれツーショットで撮ったやつも送っておいたよ! えへへっ」
いや『偉いでしょ? 褒めて!』みたいな顔をしているけど、そういう事じゃなくてだな……
「大丈夫だよ! おばさんとは色々と連絡してるから、全部知ってるよ!」
「……えっ?」
「お団子屋さんが好調なのも知ってるし、美鳥さんときーちゃんが半同棲みたいな状態なのも知ってる、あと…… この旅行で『生おだんご』食べた事も」
えっ? 息子の俺には音沙汰ないのに、千和とは頻繁に連絡取っている事に驚きだが、それよりもそんな事まで連絡しちゃってたの!?
「だってぇー、食べ過ぎで太っちゃったら大変でしょ? 先におばさんには言っておかないと」
だから母さんにわざわざ太りそうだと報告したのかな、千和ちゃん? あははっ。
「うん! 桃くんも一緒に頑張ろうって言ってくれたし、嬉しくてつい…… えへへっ!」
うん…… 母さんにはすべて筒抜けという訳か…… えへっ、えへへっ!
「桃太がちいみたいな笑い方してる、じゃああたしも同じようなの送っておくか」
き、輝衣!? ちょっと待っ……
「送信…… あっ、これはマズかったか? なっ、これはどう思う?」
輝衣…… 遅かった…… んっ? どれどれ…… いや、これはどう考えても親に送ったらアウトだろ。
どんな写真なんだ、って? いや、ここではとてもじゃないが言えないような写真だ。
輝衣よ、ダブルピースは駄目だろ……
「うぅっ、みんな送る相手が居て羨ましいですね…… それなら私はマネージャーさんに……」
一番ダメェェェーー!!
「えっ、駄目だったんですか? 楽しい旅行だったのに……」
美鳥がそう言って見せてきたのは、みんなで楽しそうに鍋をつついている様子を撮影したものだった。
「ごめん、それなら大丈夫……」
「これが駄目なら、こっちを送信しました!」
次に見せてきたのは…… おもいっきりアウトなやつ! ヒントは白玉、練乳。
「だ、駄目でしたか?」
「うん…… 駄目」
「そ、そんなぁ…… 美味しかったのにぃ……」
いくら美味しくてもこれはマズい! 美鳥ちゃん、グラビアアイドルですよね?
「私は何も聞いてない、私は何も聞いてない……」
船橋さん!? 頭を振りながらブツブツと呟いているけど、ちゃんと前を見て運転して下さいね!?
「あっ! おばさんから返信きたよ! ほら」
そう言って画面を見せてきた千和、そこには、親父の膝の上に座りながらピースしている母さんの姿が写されていた。
母さんの少し顔が赤く、履いているスカートも何だか不自然…… いや、考えたら駄目だ、見なかった事にしよう。
「も、桃太さん…… どうしましょう、マネージャーさんからの返信で……」
今度は美鳥? ……いや、怖くて見られないよ。
なになに……『ちゃんと体調の管理はして下さい、体型が崩れても知りませんからね? あと、あっちの管理も』
あっち? あっちって、どっち!? うーん、ワカリマセーン!
「体型崩れても愛してもらえるんで、大丈夫です…… っと、ちゃんと返信しておきました! うふふっ」
いや、そういう事を言いたかった訳じゃないと思うよ?
「ヤベっ…… お母さん、めちゃくちゃ怒ってる」
えぇっ!? お、俺も一緒に謝るから……
「『嬉しいならもうちょっと上品な顔をしなさい!』だって、参ったなぁ……」
……どういう事? 輝衣の母親もよく分からないよ、僕には。
「ひぃぃっ、最近の若い子って乱れてる…… いや、この子達だけが特別なのかしら?」
いえ船橋さん、この子達が少しおかしいんです…… 多分。
「そんな三人を相手している吉備さんも吉備さんです! まったく…… 若いから食べ過ぎちゃうのは分かりますよ? でも吉備さんは男の子なんですから、ちゃんとセーブしてあげないと!」
船橋さんがついに怒ってしまった!
「それにですね、人の話を聞く時はちゃんと聞いて下さい! メロンをメロンメロンしながら聞くんじゃありません!」
「えへへっ、桃くんってば、すぐメロンメロンしちゃうんだから…… 別に私はいいんだけどね?」
……メロンメロンって初めて聞いたわ
「あぁっ! ちい、ズルいぞ! 桃太、あたしのりんごもアップルプルしていいぞ!」
輝衣、対抗しなくていいから、なんだよアップルプルって。
「桃太さん…… わ、私のは何と言えばいいんでしょうか……」
美鳥? 美鳥はそのままでいてね?
「あなた達! ちゃんと話を聞きなさーい!!」
それから家に着くまで、みんなで船橋さんに色々と説教された。
話を簡単にまとめると『暴飲暴食は駄目だよ?』って事なんだろうが、時々、千和達が口を挟むもんだから、船橋さんが余計にヒートアップして、なだめるのが大変だった。
「……到着しましたよ、お疲れ様」
船橋さんの方がよっぽどお疲れのようだけど…… ありがとうございました。
「はぁ…… 私の彼氏も動けなくなるまで食べさせてくれないかしら……」
帰り際にボソっと何か呟いていたが、聞かなかった事にして……
旅行を終えて、我が家に帰って来た!
二泊三日だが、濃い旅行だったな。
「うん、すっごく濃かったぁ……」
「ああ……」
「そうですね……」
…………旅行の話、だよね?
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