桃太のおだんご(隠語)は大人気

ぱぴっぷ

文字の大きさ
57 / 61

あれか!! あれのせいか!!

しおりを挟む
『愛してる』……か、あまり照れ臭くて言えないが、言葉にした方が喜んでくれるんだな。

「桃くぅーん! 美味しい、美味しいよぉぉっ!」

「うぅっ、桃太さん! 桃太さぁん!」

「桃太ぁ! っ、あたしもっ、愛してるぞっ!」

「わたくしも、あぁっ! 愛してますわぁっ、美味しいぃぃぃっ!」

 喜んでくれる…… うん、喜んで…… 

「えへへっ、もっとぉ……」

「まだ、食べれますぅ……」

「あぁ、あたしも、食べたい」

「ふ、ぇぇっ…… わらくしもぉ…… まら、たべられましゅぅ……」

 約一名は満腹過ぎて呂律が回ってないが、みんなおだんごを離そうとしない。

 俺も愛してると言った事によって空腹になったのか、食欲が止まらなくなった四人に順番におだんごを振る舞い続けていた。

 さすがの俺も作るのが限界になってきたから食べさせるのを止めようと思ったのだが、そんな時に千和が口移しで飲ませてきた謎の液体によって、不思議な事におだんごを作る意欲がまた湧いてきてしまった……

「んっ、美味し…… んぐっ」

「色んな、タレの味がしますぅ……」

「へへっ、またおだんごが出来たな……」

「おいひい、でしゅわぁ……」

 ふと床の方を見ると、先ほど冷蔵庫で発見した謎のドリンクの瓶が空になって転がっている……

 ……あれか!! あれのせいか!!

「じゃああたしがいただくから…… んっ、美味いぃっ」

 

 …………



 …………





「あーっ、美味しかったぁ!」

「はぁ、食べ過ぎましたね」

「ふぅっ! 食ったぁ…… おい、あお! 風呂に行こうぜ」

「ひぁぁっ…… もう、たべられましぇんわぁぁ……」

「桃くんは…… 休ませてあげようか」

「そうですね、作り過ぎて元気がなくなっちゃいましたね」

「へへっ、元気ないのも可愛いんだよなぁ」

「おにゃか、いっぱい……」

 
 ……女の人のお腹と体力はどうなってるんだ?
 あれだけ食べて、ヘロヘロになっていたのに気が付けばまた楽しそうにおしゃべりしながら風呂場に行って…… 葵以外は。

 三人に抱えられるように連れて行かれた葵だが大丈夫なんだろうか? 

 あー、疲れたぁ…… 今日はもうおだんご屋は閉店だな。

 それにしても、あんなに生でおだんごを食べたら…… 誰かは太るよな。

 薄々分かってはいたが、そのための旅行という事で四人ともかなり体調に気を使っていた。

 万全のコンディションで食べるため…… だから旅行前は食べるのが控えめだったのか。
 今更だが、それならいっそ食べるのを我慢した方がいいのでは? と思うが、四人は我慢はしたくなかったみたいだな。

 とりあえず太るか太らないかはしばらく経たないと分からないし、太ったらお祝いしないと……

 色々な未来を想像し、楽しみでもあるが不安にもなる。
 そんな事を考えていると、疲れで眠気が襲ってきて……


 ◇


「葵さん、はい、広げてねー?」

「ふぁい…… わかりましたわぁ……」

 まだフワフワしているであろう葵さんの身体を洗う。
 美味しく食べた後の口からまだ残っていたタレが溢れてきて……

「はぁ…… まだお腹がいっぱいな気がしますぅ」

「あぁ、練乳みたらしがまだ口から垂れてくるぞ…… へへっ」

 みんな昨日からいっぱい食べたもんね、そういう私も…… えへへっ。

 桃くんが私達のために一生懸命おだんごを作ってくれた証。
 残さず食べて…… えへへっ、きっと太っちゃうね。

 えへへっ、顔がにやけちゃう! ずっと、ずっとこうしていっぱい食べたかったんだぁ。
 でもやっぱり私一人だと……

「あぁん…… お腹いっぱい過ぎて足がガクガクしますわぁ……」

 きっと早い段階でこうなっていた…… 桃くんのおだんご作りは凄いから。
 学校の友達の麗菜ちゃんと美々ちゃんにおだんご作りの事をやんわり話した時にドン引きされちゃったもんね。

 だからみんなが桃くんを好きになって一緒におだんごを食べてくれて嬉しい。

 桃くんのおだんごを食べた仲間だからか、おだんご作り中もそれ以外の時も、こうして触れ合うのに抵抗は全くない、おだんごで繋がる強い絆って言うのかなぁ? お互いにより美味しく食べるためなら、どんなサポートだって出来ちゃう。

「千和さん…… ありがとうございます……」

「いいんだよ、私達『家族』でしょ?」

「……はい『家族』ですわね、ふふっ」

 ご主人様の桃くんに尽くす、お姉さん二人に双子の姉妹…… きっとそんな感じ、えへへっ。

「……ちゃんと太れよ? へへっ」

「きっと太りますよ」

 自分のお腹をさするきーちゃんと美鳥さん。

「太って下さいまし……」

 お腹に手を当てお願いする葵さん、そして……

「きっと太る…… 桃くんの美味しいおだんごで……」

 そう強く願い、私はお腹に手を当てた。


 ◇


 いつの間にか寝てしまったみたいだ…… でも身体が温かくて、もう少し寝ていたい……

「うふふっ」

「ぐっすり寝ていますわね」

「疲れたんだろうな」

「もう少し寝かせてあげよう?」

「ではリビングで取り寄せた有名店のチョコを食べながらティータイムにしましょうか」

「いいですね、そうしましょう」

「へへっ、何だかセレブみたいだな!」

「じゃあ私はコーヒーを用意するね ……桃くん、ゆっくり休んでね、んっ…… んっ、ちゅっ、んーっ」

「ちい! 長いぞ!」

「えへへっ、ごめんごめん」

 ……ぷはっ、長くてちょっと苦しかったなぁ…… うぅん…… 眠っ……
 

 ◇


「ふふっ、おかしいですわね」

「えっ?」

「優雅に外を眺めながらコーヒーを飲んでいる四人が…… フルーツ丸出しなんですもの」

 えへへっ、たしかに…… でも、窮屈じゃないし私的には楽かなぁ? 支えがないからスイカは重いけど。

 それにしてもみんなスタイルがいいよね…… 私はちんちくりんでぷよぷよしているから。

「何を言ってるんですか? 私からしたら羨ましいですよ」

「あたしも羨ましいな…… それ」

 これは…… 桃くんが喜んでくれるだけで、日常生活では邪魔だよ? 

「そうですわね、今までは邪魔でしたが…… 桃太様が気に入ってくれたのであって良かったですわ」

 気に入ってるのは間違いないけど、それでもやっぱりね…… 桃くんはどのフルーツも好きだしいっぱい食べてくれるけど、全体的に見たら…… 

 みんな開放的になってる今だから余計にそう感じるのかなぁ? ……うーん、痩せた後トレーニングでもしようかな?

「千和ちゃんはそのままで良いんではないですか?」

「ああ、桃太が悲しむぞ」

「なんだかんだ言っても桃太様の一番は千和さんですからね」

 そんな! 桃くんは平等に愛してくれているからみんな一緒だよ。

「うふふっ、それは分かってますよ」

「そうですわね、でも違うんですのよ」

「うーん、なんて言うのかなぁ? 『いつもの味』って言うのがしっくりくるな」

 ……いつもの味? 

「そうですね、変わらない安心する味、それが桃太さんにとっての千和ちゃんなんですよ」

「千和さんが居るからこそわたくし達も一緒に居られるんですのよ? だから…… これからも千和さんは千和さんで居て下さいまし」

「そうそう! それにあたし達もそのままの千和が大好きだから」

 みんな…… ありがとね。

 でも…… 

 きーちゃんと美鳥さん! 何でそんなにスイカをたぷたぷしてるのぉ! もう止めてよぉ! 

「立派なスイカを育てておいて贅沢な悩みだな!」

 きっと私のせいじゃないよぉ…… 桃くんが一生懸命お世話したからだよぉ…… 

「贅沢です、本当に贅沢です……」

 美鳥さん、たぷたぷが激しいからぁ! 

「ふふっ、楽しそうですわね…… わたくしもたぷたぷしてみたいですわ」

 あ、葵さんは自分のスイカをたぷたぷしてぇ!


 ◇


 ……リビングが騒がしいな、また四人で話が盛り上がっているのか?

 ……トイレ行きたくなってきた、起きるか。

 そして盛り上がっている四人の邪魔をしたくないから、そーっとドアを開けてみると……


 四人はめちゃくちゃたぷたぷしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...