姉さんにおまかせ!~弟のパンツを被る私~

ぱぴっぷ

文字の大きさ
5 / 5

許さん!

しおりを挟む
 あれから秘密結社H・Tは現れてない。

 私達は街の見回りを強化してH・Tを追っていたが、姿どころか噂すら聞かない。

「H・Tのやつら全然現れないじゃない! せっかくチーム名も決めポーズも出来たのに!」

「そうですわね! でも平和なのはいい事ですわよ?」

「……でも、嵐の前の静けさかも……」

「もー! 不吉な事言わないでよ!」

「クリス、まったくもうですわ!」

「……ごめんごめん、じゃあもうそろそろ今日の見回りはおしまいにしよ?」



「ただいま~!」

「あっ! おかえりお姉ちゃん!」

「いい子にしてた? 今日は何してたの?」

「えっとね~♪ 今日は新しく出来た友達と遊んでたよ!」

「そうなんだ! 良かったね♪」

「それで友達と遊んでたら……狐みたいな耳の人がいて、友達になったの!」

「狐耳……? それで、その友達と何して遊んでたの?」

「まだ遊んでないよ! 明日遊ぶ約束してるんだ! 何だっけ? ……えいちてぃーをするんだっけ?」

「H・T……? H・Tって言ったの!?」

「うん! よくわかんないけど、友達が面白そうって!」

「どこで待ち合わせてるの!?」

「えっ!? 街外れの公園だけど……お姉ちゃん……恐いよ……」

「ああ! ごめんね! お姉ちゃん恐くないよ!」

「うん……」

「あっ! お腹空いたよね? ご飯作るから待っててね? 今日はハンバーグにしよっか♪」

「えっ!? ハンバーグ!? わーい♪」

「ふふっ♪ じゃあ待っててね♪」

「はぁーい!」


 H・T……ってやっぱり、秘密結社H・Tの事だよね? 街外れの公園……明日クリス達と行ってみよう!

 私の可愛い弟を誑かして……許さん! 

 私はベッドで眠る弟を抱き締めながら、H・Tへの怒りを燃やしていた……

 次の日、クリスとニナに事情を話した私は、弟が話していた公園の隅で待ち伏せをしていた。

「弟さんの言ってたのは本当ですの? それらしき人は見当たらないですわよ?」

「確かにH・Tって言ってたみたいなんだけど……」

「……狐耳っていうのも気になる」

 しばらく待ち伏せてるが特に変な人はいない。

 すると弟が友達と遊びに来た。
 弟の他に男の子が3人いて、みんなで公園を駆け回って遊んでいる。

 良かった……急に街に引っ越す事になったから、知らない土地で友達が出来るか心配だったけれど、みんな仲良く遊ぶ姿を見たら安心した。

「弟さん、楽しそうに遊んでますわね♪」

「うん、安心したよ♪」

「……良かったね♪」

 弟の遊ぶ姿にほっこりしてると、向こうの方から3人の大人の男が歩いてきた。

「あれは……」

「狐耳ですわ!」

「……それに真ん中の男、あの時の……」

「「「エムドゥ!」」」

 弟達に近付くエムドゥ、弟達も気付き近付いて行く……あのままじゃあ危ない!

 私達は戦闘になってもいいように、パンツを被り走り出す!

「ほーっほっほ♪ ボク達? お兄さん達と一緒にもっと楽しい事をしに行きませんか?」

「楽しい事!? してみた~い!」

「僕も行きた~い♪」

「僕は……お姉ちゃんに知らない人に付いていっちゃダメだって言われてるから……」

「いいじゃん! 一緒に行こうぜ!?」

「でも……」

 私の言いつけ守って……本当にいい子ね♪ そんな弟を……エムドゥ、やっぱり許さん!!

「エムドゥ! そこまでよ!」

「おや? あなた達……どこかで会いましたか?」

「……私の名前はマスク・ド・パンツ!」

「わたくしの名前はパンツ・プリンセス!」

「私の名前はジャスティス・パンツ!」

「3人揃って……」

「「「ブラザー☆パンティーズ!!!」」」 

 決まった! 練習しといて良かった! 
 呆気にとられるエムドゥ達と弟達。

「ブラザー☆パンティーズ……あなた達からはとてつもないH・P変態パワーを感じますね! 私達の味方……ではないようですね」

「おい、パンツ被った奴が来たぞ!」

「しかも男の人のパンツだよ!」

「あれ? あのパンツ、僕も持ってるよ!」

「変態さんだー!!!」

 エムドゥと向かい合う私達、弟達を避難させないと! ってパンツに気付いた!? だけど私だってバレてないみたいね……みんなを守る為にお姉ちゃん頑張るからね!

「あなた達! 危ないから逃げて!」

「おい! 逃げようぜ!」

「うん!」

「あの声……気のせいかな?」

「危ない奴が危ないって言ってるぞ!」

 逃げて行く弟達、これで被害がなくて済む!

「……エムドゥ! こんな小さな子達まで……それにその狐耳の人達は……」

「ほーっほっほ♪ それは言うわけにはいかないですね~♪ 近い内に分かるでしょう♪」

「それならここで捕まえますわ!」

「「「いくわよ!!!」」」
 
 私達は魔法と剣撃でエムドゥを攻撃する。
 クリスとニナの魔法での攻撃の間を、縫うように私は駆けてエムドゥを斬りつける!

 エムドゥは手も足も出ないようだ。
 一気に畳み掛けようと思ったその時……

「弱い……弱いですねぇ! もっと……もっと強くしてくれないと、私は気持ちよくならないですよ♪」

「……効いてないの!?」

「クリス! ノイン! 3人でいきますわよ!」

「ニナ! 分かったわ!」

「……了解!」

「「「シューティング・シスター!!!」」」

 エムドゥに私達の攻撃が当たった!
 ……これならどう!? 


「ほーっほっほ♪ 今のは気持ち良かったですよ! さあもっと来てください♪」

「そんな……」

「わたくし達の攻撃が……」

「……もうフレグランス・パワー弟のパンツのニオイが……」

「もう終わりですか? ……がっかりですねぇ、じゃあ私もいきますよ!」

「くっ!」

「エムドゥ・エム!!!」


「「「きゃあーー!!」」」

 エムドゥが放った、縄で私達をメッタ打ちにする攻撃に、私達は一撃で吹き飛ばされる……

「あぁ……あなた達なら私を気持ち良くしてくれると思ったんですが……期待外れですね」

「うぅ……まだ……やれますわ……」

「お姉ちゃんが負けるなんて……」

「……姉は……強くなきゃいけない……」

「はぁ……お前達! もう行きますよ! 無駄な時間でした」

 そしてエムドゥと狐耳の人達は、私達の前からいなくなった。

 私達はエムドゥに手も足も出なかった……

 悔しい……! 

 この日、私達ブラザー☆パンティーズは秘密結社H・Tに負けたのだ……
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まほカン

jukaito
ファンタジー
ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。 今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル! ※基本1話完結なのでアニメを見る感覚で読めると思います。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...