今までお姉様だから我慢していましたが、もうそろそろ限界ですよ?

榎夜

文字の大きさ
11 / 11

10話   END

しおりを挟む

あのパーティーから一週間が経ちました。

お姉様たちは兵士たちに連れられて会場を追い出され、パーティーは続行、ということになりましたが、レオンハルト様の生誕パーティーだったはずなのに、なんだか婚約パーティーのような雰囲気でしたわ。

今日はお姉様たちの処遇が決まる日、ということで、私は王妃様と一緒に王宮でお茶を飲んでいるんですが、なんだかソワソワしますわね........。

なんて思っていると

「やっぱり実の姉のことだから気になるかしら?」

そう言ってきた王妃様は、なんだか面白そうにと言いますか、興味深そうに聞いてきましたわ。

「そうですわね......あんなことがあっても一応姉なので」

という私に対して、一瞬クスッと笑った後に

「まぁ、私達には何も出来ないんですもの。今はお茶を楽しみましょう」

そう言ってお茶を口に含みました。

確かに、王妃様の言う通り私達は何も出来ることなんてありませんわね。

黙って結果を待つしかないんです。

せっかくなので、王妃様と楽しんだ方が良いですわ。

そう思って、王妃様の言葉に頷きました。

他愛のない話に花を咲かせていると、急に王妃様は大きなため息をついて

「王妃教育があると言っても彼女は王宮に来ないし、一応外部からの先生も呼んでいたのに私とのお茶会で終わっちゃってなんだか申し訳なかったのよね」

そう言いましたわ。

これには驚いて

「そうだったんですか!?」

と少し大きな声を出してしまいました。

だって、まさかお姉様が王妃教育をサボっているだけではなく、外部の人にも迷惑をかけているなんて.......。

どうりでお父様がよく王宮に行くわけですわよね。

まぁ、それに私もついて行っていたので、王妃様とお茶会を楽しんでいたりもしたんですが。

すると王妃様は

「その間にユースティアは家で王妃教育をしてるって聞いてるじゃない?もうその時からこの結末は決まっていたようなものなのよ」

今まで溜めてきたものを吐き出すかのように私に言ってきましたわ。

結末は決まっていた、ですか。

「お姉様も、もう少し王太子の婚約者である自覚を持っていたら結末は変わったかもしれないですけどね」

そう言って苦笑すると

「いや、この結末は変わらないわ」

なぜか王妃様はそう断言して、ニコニコと私の顔を見ています。

そんな王妃様に

「どうしてですの?」

と尋ねると

「だってレオンは元々あなたを婚約者に、と望んでいたんですもの」

「まぁ!初めて聞きましたわ!」

驚きましたわ........。

まさかレオンハルト様がそんなことを思っていたなんて.......。

いや、ですが今思うとそれっぽいことも言っていた.......いや、そんな気配すらありませんでしたわよね。

なんだか当事者のはずなのに、私だけ知らなかったことが多すぎますわ。

そう思っていると

「やっと終わったよ」

という、レオンハルト様の声が聞こえてきました。

「レオンハルト様、お疲れ様ですわ」

そう言って、レオンハルト様も席につけるように、と場所を開けると、早速王妃様が

「それで?どうなりましたの?」

とレオンハルト様に尋ねましたわ。

まぁ、私も結果は気になっていたので、早く教えてくれるのはありがたいんですけどね。

レオンハルト様の話によると、お姉様は今までの行動と、今回のことも踏まえて、修道院に入れられることになったみたいですわ。

本当はグレン様も一緒に平民に、という話もあったらしいですが、規則がないと他の人にも迷惑をかけるだろう、とのことでそうなったみたいですが、一切信用されていませんわね。

そしてグレン様ですわね。

グレン様は平民落ち、ということになりますが侯爵家が経営している商会で、働かせるみたいです。

こんな騒ぎを起こして他に婚約者なんて出来るわけがないんだから、という判断みたいですわ。

まぁ、2人の処罰は妥当な判断ですわね。

これには王妃様も

「まぁ、当然よね」

と頷いています。

あ、それぞれの家の方には特に何も処罰はなかったみたいですわ。

ですが、我が家は後継ぎがいなくなった、ということでお父様の代で爵位を返すことを決めたんだとか。

陛下は私に子供が生まれたら、と考えてくれたみたいですが、お父様なりにけじめを付けたかったんでしょう。

私もお父様の意見に賛成ですわ。

なんて思っていると

「急に王太子の婚約者にして悪いと思っているけど、これからもよろしくね」

とレオンハルト様に言われました。

確かに急な話で私も驚いたのは否定できませんわ。

これから大変なこともあると思いますし、何かしらの問題が起こらないとは言えませんわ。

ですが、頼りになる婚約者もいますし、これからはお姉様の我儘に振り回されることもありません。

だからきっと大丈夫ですわ。

そう思いながらレオンハルト様に

「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」

と言って微笑むと、レオンハルト様も今まで見た笑顔の中で、一番の笑顔を見せてくれましたわ。




しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。

BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。 だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。 女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね? けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。

【完結】何やってるんですか!って婚約者と過ごしているだけですが。どなたですか?

BBやっこ
恋愛
学園生活において勉学は大事だ。ここは女神を奉る神学校であるからして、風紀が乱れる事は厳しい。 しかし、貴族の学園での過ごし方とは。婚約相手を探し、親交を深める時期でもある。 私は婚約者とは1学年上であり、学科も異なる。会える時間が限定されているのは寂しが。 その分甘えると思えば、それも学園生活の醍醐味。 そう、女神様を敬っているけど、信仰を深めるために学園で過ごしているわけではないのよ? そこに聖女科の女子学生が。知らない子、よね?

幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~

銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。 自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。 そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。 テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。 その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!? はたして、物語の結末は――?

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

【完結】その巻き付いている女を、おとりあそばしたら?

BBやっこ
恋愛
文句ばかり言う女 それを言わせている理由まで、考えがいたらなお残念な男。 私の婚約者とは情けない。幼少期から今まで、この男の母上と父上は良い人で尊敬できるのに。 とうとう、私はこの男の改革を諦めた。 そのぶら下げたものをどうにかしたら?と言ってやった。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。

BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。 しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。 その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。

【完結】あら、まだ離婚していなかったのですか?って妹が言ってますが長い婚約中の原因でした。

BBやっこ
恋愛
エレナは長い間、婚約者と婚約状態であった。その元凶は妹らしい。両親は妹を可哀想だと甘やかしている。そして、私に結婚の先延ばしをさせてきた。 それを好機と見て、婚約者に色目を使うわ。私の物を盗るわで付き合ってられない。怒ると幸せを分けてくれるくらい良いでしょ!幸せなんだからっと怒り出す。 妹のイーナを近づかせると彼が危険。 もう実家には頼れない! 私はお義母様に相談をしに婚家へ、それが作戦の始まりだった。

処理中です...