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10話 END
しおりを挟むあのパーティーから一週間が経ちました。
お姉様たちは兵士たちに連れられて会場を追い出され、パーティーは続行、ということになりましたが、レオンハルト様の生誕パーティーだったはずなのに、なんだか婚約パーティーのような雰囲気でしたわ。
今日はお姉様たちの処遇が決まる日、ということで、私は王妃様と一緒に王宮でお茶を飲んでいるんですが、なんだかソワソワしますわね........。
なんて思っていると
「やっぱり実の姉のことだから気になるかしら?」
そう言ってきた王妃様は、なんだか面白そうにと言いますか、興味深そうに聞いてきましたわ。
「そうですわね......あんなことがあっても一応姉なので」
という私に対して、一瞬クスッと笑った後に
「まぁ、私達には何も出来ないんですもの。今はお茶を楽しみましょう」
そう言ってお茶を口に含みました。
確かに、王妃様の言う通り私達は何も出来ることなんてありませんわね。
黙って結果を待つしかないんです。
せっかくなので、王妃様と楽しんだ方が良いですわ。
そう思って、王妃様の言葉に頷きました。
他愛のない話に花を咲かせていると、急に王妃様は大きなため息をついて
「王妃教育があると言っても彼女は王宮に来ないし、一応外部からの先生も呼んでいたのに私とのお茶会で終わっちゃってなんだか申し訳なかったのよね」
そう言いましたわ。
これには驚いて
「そうだったんですか!?」
と少し大きな声を出してしまいました。
だって、まさかお姉様が王妃教育をサボっているだけではなく、外部の人にも迷惑をかけているなんて.......。
どうりでお父様がよく王宮に行くわけですわよね。
まぁ、それに私もついて行っていたので、王妃様とお茶会を楽しんでいたりもしたんですが。
すると王妃様は
「その間にユースティアは家で王妃教育をしてるって聞いてるじゃない?もうその時からこの結末は決まっていたようなものなのよ」
今まで溜めてきたものを吐き出すかのように私に言ってきましたわ。
結末は決まっていた、ですか。
「お姉様も、もう少し王太子の婚約者である自覚を持っていたら結末は変わったかもしれないですけどね」
そう言って苦笑すると
「いや、この結末は変わらないわ」
なぜか王妃様はそう断言して、ニコニコと私の顔を見ています。
そんな王妃様に
「どうしてですの?」
と尋ねると
「だってレオンは元々あなたを婚約者に、と望んでいたんですもの」
「まぁ!初めて聞きましたわ!」
驚きましたわ........。
まさかレオンハルト様がそんなことを思っていたなんて.......。
いや、ですが今思うとそれっぽいことも言っていた.......いや、そんな気配すらありませんでしたわよね。
なんだか当事者のはずなのに、私だけ知らなかったことが多すぎますわ。
そう思っていると
「やっと終わったよ」
という、レオンハルト様の声が聞こえてきました。
「レオンハルト様、お疲れ様ですわ」
そう言って、レオンハルト様も席につけるように、と場所を開けると、早速王妃様が
「それで?どうなりましたの?」
とレオンハルト様に尋ねましたわ。
まぁ、私も結果は気になっていたので、早く教えてくれるのはありがたいんですけどね。
レオンハルト様の話によると、お姉様は今までの行動と、今回のことも踏まえて、修道院に入れられることになったみたいですわ。
本当はグレン様も一緒に平民に、という話もあったらしいですが、規則がないと他の人にも迷惑をかけるだろう、とのことでそうなったみたいですが、一切信用されていませんわね。
そしてグレン様ですわね。
グレン様は平民落ち、ということになりますが侯爵家が経営している商会で、働かせるみたいです。
こんな騒ぎを起こして他に婚約者なんて出来るわけがないんだから、という判断みたいですわ。
まぁ、2人の処罰は妥当な判断ですわね。
これには王妃様も
「まぁ、当然よね」
と頷いています。
あ、それぞれの家の方には特に何も処罰はなかったみたいですわ。
ですが、我が家は後継ぎがいなくなった、ということでお父様の代で爵位を返すことを決めたんだとか。
陛下は私に子供が生まれたら、と考えてくれたみたいですが、お父様なりにけじめを付けたかったんでしょう。
私もお父様の意見に賛成ですわ。
なんて思っていると
「急に王太子の婚約者にして悪いと思っているけど、これからもよろしくね」
とレオンハルト様に言われました。
確かに急な話で私も驚いたのは否定できませんわ。
これから大変なこともあると思いますし、何かしらの問題が起こらないとは言えませんわ。
ですが、頼りになる婚約者もいますし、これからはお姉様の我儘に振り回されることもありません。
だからきっと大丈夫ですわ。
そう思いながらレオンハルト様に
「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」
と言って微笑むと、レオンハルト様も今まで見た笑顔の中で、一番の笑顔を見せてくれましたわ。
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