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32話

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今、私の目の前にはリナリーさんとスターン男爵家の人達が膝をついています。

あの話し合いの後、すぐに呼び出しました。

「それでは処罰を言い渡す。スターン男爵家は一家全員鉱山行きとする」

陛下がそう言った瞬間、騒いだ人がいました。

それはもちろんリナリーさんです。

しかも、何を言うのかと思ったら

「陛下!私は何も悪くありません!家が悪いことをしていたなんてしらなかったんです!」

ですって。

確かにリナリーさんは関わっていないです。

ですが、自分が何をしたのかわかっていれば、こんなことは言えませんよね。

すると、リナリーさんは

「私は何も悪いことはしていません!」

と再び主張し始めたではありませんか。

しかも、悪いことをしていない?

これには流石に呆れますわ。

人を殺そうとするのは普通に犯罪ですよ?

そんなこともわからないんでしょうか?

陛下はリナリーさんを軽く睨みつけながら

「リナリー男爵令嬢には別の罰を用意しているから大丈夫だ」

と言うと

「あ、本当ですか?なになに?もしかして、王妃になれとでもいうの?」

なんてバカみたいなことを言い出しました。

はぁ?頭おかしいんじゃないですか?

何をどう考えたらそんなことを思いつくんでしょう?

陛下もそう思ったみたいで、呆れた顔をしています。

リナリーさんの隣にいる男爵達は顔色を真っ青にしています。

まぁ、陛下相手にそんなことを言うなんて想像できませんよね。

私も同じ立場だったら顔色を悪くさせるか、倒れちゃいますわ。

陛下は、はぁ...とひとつため息をついた後に

「リナリー嬢、そなたは死刑だ」

そう言いました。

そうです。

陛下はリナリーさんのことを処刑する、という判断をしました。

思った以上に重い罰だな、と思って理由を聞いてみると、

「話を聞く限り、反省もしていないみたいだし、何度も人を殺したのに生かしておくなんておかしいだろう?」

とのことでした。

こればかりは自業自得、としか言えませんよね。

これでリナリーさんが反省の姿を見せていたら、もう少し違った処罰になったんでしょうか?

なんてことを考えていると

「.....は?死刑?私が?」

という間抜けな声が聞こえてきました。

きょとん、とした顔でまだ状況を理解していない様子ですね。

ですが陛下はそれにかまうことなく

「死刑の実行は今日から2日後の昼に行う。その他のスターン男爵一家も同じ時間に送還する。以上だ」

そう締めくくりました。

「なんで私が殺されるのよ!あの女が殺されるべきでしょう!?」

我に返ったらしいリナリーさんが叫んでいますがもう覆りません。

恨むなら、自分を恨んでください。

そう思いながら、引きずられていくリナリーさんを見送りました。

これで終わったんですね。

転生の呪縛から解放されたんですかね。
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