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33話 リナリーside
しおりを挟む兵士に引きずられながら叫び続けた。
私が主人公でしょ?
私が王妃でしょ?
なんで今回はうまくいかなかったの?
そんな思いを込めて。
なんで私が死刑なの?
なんで私が殺されるの?
なんで?
なんで、なんでなんでなんで.......?
牢屋に入れられたけど、やることがないからボーっとしていたわ。
もう何も考えたくないもの。
まぁ、どうせまた転生するから別に構わないしね。
でも、死刑が実行される前の日、ある夢を見た。
私の目の前にはどこまで続いてるのかわからないくらい広くて真っ黒な空間。
ここはどこか、と辺りを見渡していると急に目の前に
「久しぶりね」
薄ら笑いを浮かべたあの商人が現れた。
その商人の姿を見た途端、自分でもビックリするくらいの怒りがこみあげてきて
「お前....!お前にネックレスを売ったら散々だったわ!」
って、つい叫んじゃったわ。
すると、その商人はきょとーんとした顔をして
「なんで?自分でお金が欲しくて売ったんでしょう?」
と首を傾げている。
なによ!とぼけちゃって!
絶対知っていたからあんなに高い金額で買い取ったんでしょう!?
そう思って
「あれが幸運のネックレスだとわかっていたら売らなかったわよ!」
というと、商人は
「あ、そう」
と興味がなさそうに答えた。
なんなの?
この顔を見てたらすっごい腹が立つんだけど!
何か言ってやろうと口を開こうとしたけど、その前に
「まぁ、今までお疲れ様です。あなたはもう二度と転生しないわ」
と言われた。
......は?
「はぁ?意味わかんないんだけど!」
「頭が悪いんですね。そのままの意味なんですが」
「なんでよ!主人公が幸せになってないんだからやり直せるでしょ!」
そうよ!
私が幸せになって、やっとこの物語は終わるのよ。
今回はちょっとだけ間違えちゃったけど、次こそは王妃になって一生贅沢して暮らすの!
すると、商人はクスクス笑いながら
「あら?面白いことを言うんですね?」
と言った。
何が面白いのよ。
私は当たり前なことを言っただけよ。
そう思っていたのに
「この物語の主人公はエリザベス様です。主人公が幸せになったんですから、もう終わりですよ」
......は?
何を言ってんの?
「あと半日もない人生だけど、楽しんでくださいね?」
商人がそう言ったところで夢から覚めた。
外が見えないから今が朝なのか、夜なのかはわからない。
なんとなくだけど、あの商人が言ったことが本当のように......いや、そんなわけない。
はぁ.....いいや。
もう一回寝よ。
そしたらいつのまにか処刑の時間になって、転生できるしね。
そう思いながら眠りについた。
☆★☆
リナリーが最後に残した言葉は
「次こそは私が王妃になってやるわ」
だったらしい。
でも、その真意を知るものは、ごく一部しかいなかったため最後まで頭のおかしい奴だった、という噂だけが広まっった。
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