婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

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35話

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教室を出た私の背中を、当然ですが殿下が追いかけてきましたわね。

まぁ、一緒に行く、と言っているのに何も言わずに教室を出たのは申し訳ないと思いますが、そうでもしないとあの場から逃げ出すことは出来ないと思ったんですもの。

仕方がありませんわよね。

なんて思っていると、殿下は私の隣を歩きながら

「なんか普段と様子が違うな。話しかけない方がよかったか?」

シュンとした顔で聞いてきましたわね。

正直、こうやって廊下を歩いているだけの今の状況すらもみんなから注目されていて、私からすると気分が悪いんですが.......まぁ、殿下が悪い、というわけではありませんしね。

あまり冷たくしても可哀そうになりますわ。

そう思った私は、視線は前に向けたまま、殿下に

「まぁ、なんといいますか......」

どう言おうか悩みましたが、変な言い回しをするよりそのまま伝えた方が良い、と判断して

「殿下って令嬢と滅多に話をしないですわよね?」

と殿下に言うと

「皆、それぞれ婚約者がいるからな。下手に話しかけに行くわけにもいかないだろう」

当然だ、と言いたいような顔でそう言ってきましたわね。

これに関しては、殿下の言葉を聞くと貴族たちの全員が納得する言葉ですし、私の婚約者が居なくなった途端話をし始めたのも理解してくれるでしょう。

ですが、これを聞いているのは私だけなので、今頃教室の中ではありもしない噂が飛び交っているんでしょうね。

なんて思いながら、キョトンとした顔をしている殿下に

「滅多に令嬢と話をしない、しかもまだ婚約者がいない殿下が1人の令嬢を限定として仲良くしていたら、勘違いされてしまいますわ」

ハッキリとそう言うと、

「なるほど......そういうことか」

どうやら殿下も納得してくれたみたいで、何度も何度も頷いていますわ。

よしっ!これで学園の中では平和に過ごせる、ということですわよね。

そう思った私は、最後の仕上げとでも言わんばかりに

「なので、学園で話をするのは最低限のままがいいんですが.......」

と提案をしようとしましたが、その途中で

「だがそうなると研究所のことについて話す時間が少なくなるだろう。せっかく授業がなくて暇をしているのに時間を持て余せというのか?」

そう言ってきた殿下の顔は本当に真剣で、普段学園の中にいる間の時間をどれほど持て余しているのか、凄く良く伝わってきましたわ。

まぁ、私も今回の店のことがなかったら時間を持て余していた側の人ですし、気持ちは物凄くわかりますけどね。

なんて思いながら、不服そうな顔をしている殿下のことを苦笑しながら見ていると、急に斜め前の方から

「ヴァイオレット........?」

と私の名前を呼ぶ声が聞こえてきましたわ。

今は丁度、次の授業の準備をする時間なので廊下には沢山の子息令嬢たちがいますわ。

なので、この中から1人の声の主を探すのは不可能な話ですが.......私のことを呼び捨てで呼ぶような人は学園の中では1人しかいませんのよね。

正直、無視して立ち去りたい、というのが本音ですわ。


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