婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

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37話

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私にハッキリと拒絶をされたキーン様は、というと、その場で固まって動かなくなってしまったので

「殿下、行きましょうか?」

と声をかけましたわ。

だって、これ以上キーン様の顔を見ているのは不愉快ですし、無駄な時間を使うくらいなら他にやることは沢山ありますもの。

すると、殿下も私と全く同じ考えだったんでしょう。

私の言葉に対して

「まぁ、ここにいるだけ無駄な時間を食うだけだからな」

と言うと、キーン様に冷たい視線を送っていましたわ。

はぁ......正直、自分の方から私のことを貧乏人とか、家にとって何も価値がないとか言ってきたくせに、今更擦り寄ってくるのは理解が出来ませんわ。

私のことをバカにしているとか、そういう感じなんでしょうか?

なんて思いながら、殿下にバレないよう静かにため息をついていると

「ヴァイオレット嬢は吹っ切れているというのに、振った本人が未練がましいとは、おかしい話だな」

隣を歩いていた殿下が苦笑しながらそう言ってきましたわ。

なので

「本当にその通りですわよね。今まで自分のしてきたことを考えたら、話しかけてくること自体おかしい話なんですけど」

と言って私も苦笑すると、殿下はパーティーでの話しか知らないんでしょうね。

「そんなに酷いことをされていたのか?」

と驚いた顔をして私のことを見てきましたわよ。

ただ、面白い話ではありませんし、あまり言わない方がいいですわよね。

私自身、出来ることなら思い出したくないですし。

そう思った私は、殿下の言葉にただただ苦笑して正面を向くと、殿下なりに察してくれたんでしょう。

詳しく聞いてくるようなことは一切ありませんでしたわ。



さて、短い道のりの中に邪魔が入りましたが、無事に図書館に到着しましたわね。

一応学園にある本の冊数は100000冊と言われていますわ。

なので、色々なジャンルの本が置いてあって時間を潰すのにぴったりな場所なんですが.......。

そう思いながら、前に薬草の本が置いてあった場所へと向かいましたわ。

というのも、100000冊の中から自分の目的の本を探す、というのは本当に難しい話で、見つかったら覚えておかないとすぐにわからなくなってしまいますのよね。

えーっと......確か、入ってすぐの棚で右から6番目に置いてある.........5段目の真ん中あたりに.........。

あ、これですわね。

私は10冊ほどある薬草関係の本の中でも最も読みやすい本と、家に置いていない本、それから私が普段から読んでいる愛用の本の3冊を手に取りましたわ。

普通、家に置いていない本を取った方が良いと考えるでしょうけど、今は店のことについて考えるんです。

私の知識の軸になっている本があった方が捗りそうですわよね。

なんて思いながら、先に席を確保してくれている殿下の元に向かいましたわ。

すると

「ー-----...........」

「.......ー------」

何を話しているのか内容は聞こえませんが、殿下と令嬢が楽しそうにお話をしていますわね。

流石に会話の途中で割り込むような度胸は私にありませんわ。


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