婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

文字の大きさ
5 / 89

4話

しおりを挟む
そう言えば、私の愛しのお兄様の説明をしていなかったので少し失礼しますわね。

まず、お兄様は私、そしてお父様もお母様とも血の繋がりはないんですの。

でも、この家の跡継ぎはお兄様ですし、優秀なお兄様は他の方々からもしっかりと評価されていますわ。

え?血の繋がりがないのに、跡継ぎなの?と思いましたよね。

まぁ、一般的にはお兄様ではなく、私がという考えになりますが、こればかりは国の決まりで無理なんですの。

この国では家の跡継ぎは男、と決まっているものですからいくら血の繋がりはあっても私がこの家を継ぐことは出来ません。

だから、我が家にもお兄様か弟がいればよかったんですが、お母様は私を産んですぐに病気にかかってしまったらしく、子供を産めない体になってしまったんですの。

なので、お父様の代で我が家は終わりかも、と言われていたんです。

そんな時、お父様の友人である伯爵が亡くなって、我が家にお兄様が引き取られましたの。

本当ならお兄様も伯爵の叔父様の所に他の兄弟と一緒に引き取られる予定だったんですが、後継ぎ問題のことも考えて次男のお兄様だけがうちに来たらしいです。

まぁ、たまに伯爵家の兄弟とはお話しているみたいですが、友好的な関係を続けているらしいですわ。

ということで、私とお兄様は血の繋がりが全くないので結婚が出来るんです!

私がどこかに養子縁組にしてもらえれば、簡単な話ですわ。


なんて思っていたんですが、お母様が心配しているのは全く違うことなんですのね。

「でも、お母様。私は婚約破棄された、いわゆる傷物ですわ。誰もそんな私なんて迎え入れたくないはずですわよ」

いくら結婚もしていなくて、ベットも共にしていないとしても、一応婚約破棄で傷物扱いになりますわ。

正直、男性の方はそのような扱いをされないのが気に食わないんですけど。

思わず首を傾げながらお母様にそう言うと

「そうかしら?別に結婚していたわけではないし、他の人もベルンのバカさには気付いていたから逆にチャンスだとか思っているんじゃない?」

そう言って、うふふ、と笑っていますわ。

確かにベルン様は勉強も出来ませんし、常に遊び歩いているような人ですが、なぜチャンスだと思うんでしょう?

余計にわからなくなって

「チャンスですか?」

とお母様と見ると

「えぇ。今までは婚約者がいるから、で断られたけど、それがなくなったんですもの。自分が婚約者になれると考える人はいると思うわよ」

あ......そういうことですか。

確かに、バカでまともに話もしませんでしたが婚約者がいる、というおかげで守られていたこともあったんですのね。

そう考えると感謝することなんでしょうか?

ですがあれに感謝なんてしたくありませんし..........。

大体あのアリス様に誑かされている時点で話を知っている人からしたら呆れるくらいの状況なんですよね。

まぁ、確かにアリス様は可愛らしい見た目をしているので仕方のないことかもしれませんが..........。

はぁ.......とにかく、お父様が帰ってきたらこれからの話もしないといけませんわね。

私としてはお兄様と婚約できるのが一番ベストな解決策ですわ。

そう思いながら、冷めてしまったお茶を一気に飲み干したのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話

彩伊 
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。 しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。 彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。 ............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。 招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。 送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。 そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。 『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』 一日一話 14話完結

居候と婚約者が手を組んでいた!

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!  って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!  父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。  アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。  最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。

婚約破棄されました。

まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。 本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。 ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。 習作なので短めの話となります。 恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。 ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。 Copyright©︎2020-まるねこ

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

(完結)あぁ、それは私の彼ではありません!

青空一夏
恋愛
腹違いの妹はなんでも欲しがる『くれくれダコス』。幼い頃はリボンにぬいぐるみ、少し成長してからは本やドレス。 そして今、ダコスが欲しがっているのは私の彼だ。 「お姉様の彼をください!」  これはなんでも欲しがる妹がどうなったかというコメディー。ありがちな設定のサラッと読める軽いざまぁ。全年齢向け。  

【完結】マザコンな婚約者はいりません

たなまき
恋愛
伯爵令嬢シェリーは、婚約者である侯爵子息デューイと、その母親である侯爵夫人に長年虐げられてきた。 貴族学校に通うシェリーは、昼時の食堂でデューイに婚約破棄を告げられる。 その内容は、シェリーは自分の婚約者にふさわしくない、あらたな婚約者に子爵令嬢ヴィオラをむかえるというものだった。 デューイはヴィオラこそが次期侯爵夫人にふさわしいと言うが、その発言にシェリーは疑問を覚える。 デューイは侯爵家の跡継ぎではない。シェリーの家へ婿入りするための婚約だったはずだ。 だが、話を聞かないデューイにその発言の真意を確認することはできなかった。 婚約破棄によって、シェリーは人生に希望を抱きはじめる。 周囲の人々との関係にも変化があらわれる。 他サイトでも掲載しています。

【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う

鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの! お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ  お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。  とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。  この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。

処理中です...