この国の貴族達は婚約を破棄したい〜今まで我慢していましたが限界ですからね!〜

榎夜

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アリフィア・キーラン男爵令嬢

3話

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婚約破棄.......キーン様と婚約破棄......。

お茶会から1日が経った今でも、ソフィア様が言っていた言葉が頭から離れません。

こんなにも頭から離れないということは私自身本気で望んでいるからでしょうか?

ですが、私の意思でどうにかできる話ではありませんし、私が耐えていれば......他の方々と比べたら婚約の期間が短いのでお互いにどうしたらいいのかわかっていないだけですわよね。

窓から外をボーっと眺めながら考え事をしている私に

「どうしましたの?アリフィア様」

心配そうな顔をした『ジュリア・カンドール』様が声をかけてきましたわ。

ジュリア様もあのお茶会に参加していたのですが、元々仲良くしてくれて私の唯一の安らぎのような存在なんですの。

そんなジュリア様に心配をかけるわけにはいかないと思った私は

「い、いえ、なんでもありませんわ」

そう言って微笑むと、上手く笑えていなかったのでしょう。

「なんだか最近疲れているように思えますわ」

眉を下げながらそう言われてしまいました。

確かに......今までは学園の宿題の分だけを終わらせれば良かったのが今では書類も、加えてキーン様と夫人からの嫌味に誰にも言えない、という状況。

疲れないわけがありませんわよね。

ですがたった今、私が耐えれば良いだけだ、と決心した私にはあまりにも優しすぎる心配だと思い

「そんなことありませんわ。心配をかけてしまってすみません」

とだけ言って、机の中からレポートを取り出して立ち去る私の背中にジュリア様からの視線を感じましたが振り返ることは出来ませんでした。




ーーーーーーーーー

昨日言われたレポートを持ってキーン様のクラスに向かっていると、何やら楽しそうに話をしている先生とキーン様の姿が目に入って来ましたわ。

「レポートは毎回楽しく読ませてもらっているよ。毎回あれほどのものを考えるのは大変だろう?」

ニコニコしながらそういう先生に、キーン様は

「あれくらいたいしたことありませんよ」

そう言って笑っているのを見て、なんだか頭が殴られたような衝撃がありましたわ。

そりゃあそうですわよね。

キーン様のお名前で書いたレポートはどれだけ頑張ってもキーン様の手柄。

先生も私が書いているなんて思ってもいないでしょう。

キーン様は変なところで頭が回るようでレポートの内容について先生からの質問があると上手く答えてさりげなく話の内容を逸らしていますし

「謙遜しなくていい。今回も楽しみにしているんだ、明日が楽しみだよ」

「そんなに期待しないでくださいよ」

先生がいくら褒めてもあれくらい、大したことない......などと感謝の言葉もなくそんな言葉がすんなり出てくるのは、自分で書いていないからでしょうね。

きっとレポートだけではなく書類の方も同じなんでしょうね。

......これがずっと続くのでしょうか?

私がやったことの全てキーン様に取られて影のように働いて...学園を卒業した後もずっと......?

目の前で楽しそうに話す先生とキーン様の姿を眺めながらそんなことを思っていると、2人のお話が終わり私に気付いたキーン様が

「レポートは終わったんだろうな」

周りに聞こえないような声で私にそう言ってきました。

他の人から見ると婚約者同士の内緒話、なんて可愛い姿に見えるかもしれませんが私にはキーン様からの重たい圧しか感じられません。

そんなキーン様に身がすくみそうになりますがグッと堪えて

「申し訳ございません。明日持ってきますわ」

そう言うと、キーン様は

「こんな簡単なことも出来ないのか」

小さく舌打ちをしてその場を後にしましたわ。
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