皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

榎夜

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93話

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さて、今は庭園の中に私とアルフレッド様だけ、という状況ですわ。

と言っても、大声で話せば聞こえてしまうくらいの距離に兵士はいるんですけどね。

不思議そうな顔をしているアルフレッド様に、まず

「お兄様たちとの会話はどうでしたか?」

と尋ねてみると

「あぁ、流石次に上に立つ人達なだけあって凄く勉強になったよ」

アルフレッド様はそう言うと、満足そうに微笑みましたわ。

表情的に、本当に満足のできるような会話が出来たんでしょう。

流石、お兄様たちですわね。

そう思っていると、アルフレッド様は

「それで?そんなことを聞くためだけに俺を残した、とかではないだろう」

と私に言ってきましたわ。

これにはつい

「あら、察しがよくなりましたわね」

と返してしまいましたわ。

だって、アルフレッド様のことだから、もう話は終わったな、なんて言って移動しそうですものね。

ですが、返し方がなんだかわざとらしくなってしまいましたわね。

なんて思っていると

「まぁ、こっちも色々あったからな」

そう言って苦笑しています。

色々あったでしょうねぇ.........と思いながら

「えぇ、大変そうでしたわね」

と私が言うと、アルフレッド様は目を見開いて

「見ていたのかっ?」

と驚いています。

庭園からでは私が早足で歩いている姿は見えないんですものね。

驚くのも無理がありませんわ。

しかも、まさかトラブルが同時に起こるなんて誰も思いませんでしたもの。

苦笑しながら

「同時に別の所でも問題がありましたの。メイド長が凄い勢いで走っていくものだから笑いそうになりましたわ」

と私が言うと、それを想像したのかアルフレッド様も笑ってしまいました。

なかなか面白い光景でしたのよ。

だって、あのメイド長が凄い形相で走っているんですからね。

本当は思いっきり笑いたいんでしょうけど必死に堪えているアルフレッド様に

「お兄様達には何と言ったんですか?」

とだけ聞いてみました。

本来なら、どんな状況で、こんなことがあって、など細かく説明するんでしょうけど、あの人たちがやることなんて大体は想像できるので、これで十分ですわ。

するとアルフレッド様は急に表情を変えましたの。

何と言いますか.......戸惑い、ではありませんし怒りでもありませんし.........とにかく複雑そうな表情ですわ。

アルフレッド様は言いずらそうにしながらも

「.........全て俺のやってきたことを話したんだ」

と話し始めました。

なんと、私がここに来る前の話もしっかりとお話ししたらしく、これには

「まぁ!ご自分からですの!?」

と驚きましたわ。

だって、とてつもなく言い出しにくい内容ですわよね。

しかも、話したということは、自分は女好きで王族なのを利用して好き勝手やっていました、ということを伝えたということですわよね。

驚きもありますが、色んな意味で物凄く尊敬しますわ.........。

驚きのあまり、言葉を失っている私に、アルフレッド様は複雑そうな顔をしながらも

「もちろん、2人とも最初は怒っていたが隠すことなく全てを話したことで、俺もユーフェミアの兄たちと話しやすくはなった」

となんだかスッキリとした顔をしていますわ。

過去の話をしたからこそ、お兄様達に対して飾ることなく言い合うことが出来た、ということですわね。

お兄様達も過去のことより、今を大事にする人なので、あそこまで話が盛り上がっていたんですから受け入れた、ということなんでしょう。

そう考えるとお兄様達の寛大さに感謝、と言いますか........アルフレッド様が変なところに度胸があるということがよくわかりましたわ。



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