267 / 314
266話
しおりを挟む
フォルン様の質問に、当然ですがシルム様は何も答えずに
「死ねぇぇぇ!お前がいるから俺は後継ぎになれないんだ!」
と叫びながら、フォルン様の持っている木の棒に剣をめり込ませていきましたわ。
おかげで、木の棒は少しずつですが剣の刺さりが深くなっているせいで、このままではいつ半分に折れてもおかしくはない状況になっていますわ。
どうにかしてシルム様を離すことが出来たらいいんですが.......。
そう思いながらチラッと兵士たちを見ると、一応剣は私達に向けてしっかりと構えているものの一向に動く気配がありませんわね。
それも、兵士の全員が同じ様子ですわ。
動かない理由が怯えているから、とかそんな感じではなく、なんといいますか.....ただただ様子を見ているだけです、という雰囲気がビシビシと伝わってきています。
この兵士たちはきっと、何かを聞かれたら
「あ、俺たちは言われたから来ただけです」
と言って逃げていくやつですわね。
どうにかして自分たちは責任を逃れる様に、と逃げ道を用意している.........言ってしまうとシルム様よりも性格の悪い人たちですわね。
なんて思っていると、
「くそっ!さっさと死ねよ!」
兵士たちの隣の方からそんな物騒な叫びが聞こえてきたと思ったら、そのすぐ後に何かがぶつかった鈍い音と
「は、はぁ!?」
というシルム様の間抜けな声が部屋の中に響き渡りましたわ。
本当にこの動作は一気に起こった出来事でしたし、兵士たちのことを見ていたので音だけはしっかりと把握していて、何があったのかは見ていなかったんですが............。
そうしたのか、と思って2人のいた方を見ると、フォルン様とシルム様はいつの間にか人が3人ほど入るくらいの距離を開けていて、シルム様の手にあったはずの剣は、今ではフォルン様の手の中にありますわ。
....いや、少し表現が違いましたわね。
シルム様の剣がフォルン様の手にある、ではなく、フォルン様の手の中にある木の棒にしっかりと刺さっていますわ。
きっとあまりにも深く刺してしまったせいで抜けなくなってしまったんでしょう。
その証拠に
「いやぁ.......自分からしっかりと棒に刺してくれるんだもん。そりゃあ、こうなるよね」
フォルン様はなぜか少し楽しそうにニヤッと笑うと、シルム様は顔を真っ赤にして
「う、うるせぇ!その剣、返せよ!」
と言ってフォルン様の方に向かって駆け寄りましたわ。
ですが、そう簡単に剣を返すような人はいませんわよね。
シルム様の焦った顔を見ながらフォルン様は
「返すわけがないだろう?というか抜けないから自分から手を離したんじゃないか」
そう言って、剣の刺さっていない部分......つまりただの木の棒でシルム様のことを思いっきり殴りましたわ。
すると、その直後
「くっ!」
「うわぁぁぁぁ!」
という悲鳴を上げて私たちのことを睨んでいた兵士たちが急に倒れていきましたのよ。
い、一体何が起こってこんなことになりましたの?
「死ねぇぇぇ!お前がいるから俺は後継ぎになれないんだ!」
と叫びながら、フォルン様の持っている木の棒に剣をめり込ませていきましたわ。
おかげで、木の棒は少しずつですが剣の刺さりが深くなっているせいで、このままではいつ半分に折れてもおかしくはない状況になっていますわ。
どうにかしてシルム様を離すことが出来たらいいんですが.......。
そう思いながらチラッと兵士たちを見ると、一応剣は私達に向けてしっかりと構えているものの一向に動く気配がありませんわね。
それも、兵士の全員が同じ様子ですわ。
動かない理由が怯えているから、とかそんな感じではなく、なんといいますか.....ただただ様子を見ているだけです、という雰囲気がビシビシと伝わってきています。
この兵士たちはきっと、何かを聞かれたら
「あ、俺たちは言われたから来ただけです」
と言って逃げていくやつですわね。
どうにかして自分たちは責任を逃れる様に、と逃げ道を用意している.........言ってしまうとシルム様よりも性格の悪い人たちですわね。
なんて思っていると、
「くそっ!さっさと死ねよ!」
兵士たちの隣の方からそんな物騒な叫びが聞こえてきたと思ったら、そのすぐ後に何かがぶつかった鈍い音と
「は、はぁ!?」
というシルム様の間抜けな声が部屋の中に響き渡りましたわ。
本当にこの動作は一気に起こった出来事でしたし、兵士たちのことを見ていたので音だけはしっかりと把握していて、何があったのかは見ていなかったんですが............。
そうしたのか、と思って2人のいた方を見ると、フォルン様とシルム様はいつの間にか人が3人ほど入るくらいの距離を開けていて、シルム様の手にあったはずの剣は、今ではフォルン様の手の中にありますわ。
....いや、少し表現が違いましたわね。
シルム様の剣がフォルン様の手にある、ではなく、フォルン様の手の中にある木の棒にしっかりと刺さっていますわ。
きっとあまりにも深く刺してしまったせいで抜けなくなってしまったんでしょう。
その証拠に
「いやぁ.......自分からしっかりと棒に刺してくれるんだもん。そりゃあ、こうなるよね」
フォルン様はなぜか少し楽しそうにニヤッと笑うと、シルム様は顔を真っ赤にして
「う、うるせぇ!その剣、返せよ!」
と言ってフォルン様の方に向かって駆け寄りましたわ。
ですが、そう簡単に剣を返すような人はいませんわよね。
シルム様の焦った顔を見ながらフォルン様は
「返すわけがないだろう?というか抜けないから自分から手を離したんじゃないか」
そう言って、剣の刺さっていない部分......つまりただの木の棒でシルム様のことを思いっきり殴りましたわ。
すると、その直後
「くっ!」
「うわぁぁぁぁ!」
という悲鳴を上げて私たちのことを睨んでいた兵士たちが急に倒れていきましたのよ。
い、一体何が起こってこんなことになりましたの?
4
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる