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8話
しおりを挟むそして迎えた放課後ですわ。
昨日のうちに必要なものは鞄に入れましたし、バレないように、とネイトの部屋に荷物を隠していたのできっとお母様たちにバレていないでしょう。
そう思いながら校門の前で馬車を待っていると
「お嬢様ー!お待たせしました」
という声と共に、家の馬車ではなく借りてきた馬車が到着しましたわ。
学園に家の馬車以外が止まるなんて珍しいことですからね。
おまけに、ディアの呼ぶ声も加わって、馬車を待っていた人達の注目の的になってしまいましたわ。
まぁ、別にいいんですけどね。
それでお姉様の耳に入ったら私達が家から出て行った、と早めにわかるでしょうから。
ただ、教えてくれる人が居れば、の話ですけどね。
そう考えると思わず笑いそうになってしまいましたわ。
そんな中、馬車が私の前に止まったので乗り込むと、私が馬車に入るなり
「お嬢様、許可は取れたんですか?」
とミリアが私に聞いてきましたわ。
やっぱり、皆そこが気になるところですわよね。
朝、話をしたところによると荷台まで手配して用意する、と言っていましたもの。
心配そうな顔をして私を見てくる4人に、ニッコリと微笑んで
「えぇ、無事に取れましたわ。それから家のことに関しては陛下の耳にも入れておいてくれるみたいですわよ」
と私が言うと、皆ホッとした顔をしていましたわ。
私が今日の放課後に国を出るつもりだ、とカイン様達に言うと、それはもう........怒られましたわ。
「なぜ、もっと早くに言わないんだ!」
というような感じで。
当然ですわよね。
それを想定していたので、少し言いにくかった、ということもあるんですが。
昨日決まったことなので、話をするに出来なかったんですのよね。
これにはエリザベート様も
「カイン様!早く陛下に伝えに行かないと間に合いませんわよっ!」
と焦った顔をしてカイン様に言っていましたし。
ですが、話をしたことで、怒られるだけではなく、通行許可書が貰えたので話をして良かったですわ。
これがあるだけで、門を通るときに時間がかからなくなりますもの。
メイドに
「片付けは後からでいいから、今すぐに父上のところに行って通行許可書を」
とカイン様が指示したおかげですわね。
本当に感謝していますわ。
教室から出る前に、カイン様が
「父上にはしっかりと話をしておくから安心しておけ」
とも言っていましたし。
これで唯一の心残りは隣国のお祖父様達に手紙を送っていないことくらいでしょうか?
歓迎してくれることはわかっているんですが、やっぱり少し不安ですわ。
なんて思いながら、馬車を操縦している人をチラッと見ると、そこにはなんとネイトが座って
「おかえりなさい!」
とニッコリと笑っているではありませんか。
ネイトって馬車を扱えましたのね......全く知りませんでしたわ。
そう思っていると、私が驚いていることに気付いたユーリが
「他の知らない御者に頼むより、皆が知っている人の方が安心かな、って皆で話をしたんですよ」
と言ってニッコリと微笑みましたわ。
確かに、貴族を乗せて移動、なんて変な噂が立たない、と確証は出来ませんものね。
皆で話し合って、というところも、嫌々ついて来ているわけじゃないってわかって、なんだか嬉しいですわ。
そう思いながら皆を見ると、お屋敷で働いていた時よりなんだか目がキラキラと輝いているような気がしますわね。
解放された、という感じかしら?
見ているだけで、私の方まで頬が緩みますわね。
なんて思いながら見ていると
「ではお嬢様!行きますよ!」
というネイトの声が聞こえてきましたわ。
さて、これからお母様たちがどうなるのか。
そう考えるだけで胸が弾みますわ!
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