私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

18話 義父side

陛下から急に色んなことを言われて、発狂しそうなほど気が狂いそうだったが、そんな俺を

「なんだ？自分が悪くないとでも思っているのか？」

と陛下は冷たく見下ろすように呟いた。

それに便乗するかのように、王太子までもが

「悪いに決まっているだろう。自分の娘と嫁の教育も出来ず、姪のことを追い出しているんだからな」

と言ってくるものだから、俺は

「そ、それは........」

と言葉を失ってしまった。

くっそ！俺が何をしたっていうんだ！

なんで俺が陛下達にここまでボロボロに言われなければいけない！

そう思っていると、陛下は大きくため息をついた後に

「セリスティアはもう国にはいないんだ。こいつに何を言っても無駄だ」

と言い、俺のことをギロっと睨みつけてきた。

な、なんだ........？

これ以上に俺に対して何か言ってくるのか？

正直、俺のメンタルはすでにボロボロだ。

それに加えて家に戻ると、あのバカ2人が待っている、と考えるだけでも胃がキリキリとしてくる。

そう思いながらなんとか陛下の言葉に身構えて、何を言ってくるのか、と待っていると、陛下は

「侯爵家の領地と子爵家の領地、それぞれ自分で管理しろ。もし出来ないのであれば爵位は剥奪とする」

そう言うと、話は終わりだ、とでも言いたそうに扉に向かってチラッと視線を向けた。

前に、陛下がチラッと扉を見る、ということは早く帰れ、というのを意味している、と聞いたことがある。

だから、陛下が口に出さなくても何が言いたいのかはわかったが、2つの家の領地を全て管理しろ、だなんて流石に無茶だ！

しかも出来なかったら爵位を剥奪........って、最初から俺を降格させようとしか思っていないじゃないか！

そう思った俺は、なんとか震える声を抑えながら

「ち、ちょっと待ってください！流石にそんなの.......」

と言ったが、陛下は今俺に言った内容を変える気はないみたいで

「なんだ？自分で蒔いた種だろう？」

殺気よりも鋭い視線を俺に向けると冷たくそう言い放った。

む、無茶だ.........絶対に出来るわけがない！

子爵家と侯爵家の領地の両方を管理？

そんなのが出来るなら、今頃子爵家の領地は発展しているだろう。

そもそも、侯爵家の領地は、今やっとの思いで管理している子爵家の領地の3倍はあるんだぞ！？

無理に決まっている......。

そう思った俺は、

「し、子爵家の領地すら、まともに管理が出来ていないんです.........侯爵家の領地もだなんて..........」

と言ったが、そんな俺に容赦なく

「ほう？あの小さな領地でも手一杯なのか。だったら領地など必要ないな」

そう言って、どこからか紙を取り出して、サラサラと文字を書き始めた。

きっと、陛下が今書いている下の行には俺の名前と爵位を剥奪することを書いて、今すぐサインするように、と言ってくるんだろう。

本当は、領地の管理なんて面倒なだけだし今すぐにでも放り捨てたい、という気持ちはある。

だが領地がなくなってしまったら、それこそ平民よりも酷い生活を送ることになってしまう！

そう思った俺は、陛下に

「も、申し訳ありません！なんとか2つの領地を管理してみせますので！」

と地に頭が付くくらいの勢いで頭を下げた。

すると陛下と王太子は、はぁ........と今日で一番大きくため息をつくと

「セリスティアを追い出した2人に手伝ってもらえば良いだろう？噂によると、侯爵家を乗っ取ろうとしていたみたいだからな」

「自分たちがどれほど愚かなことをしたのか、しっかりと考えてみると良いよ」

とそれぞれ俺に言って部屋を後にした。