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70話
しおりを挟むティファー様にこれ以上何かしら聞かれると全て話してしまうような流れになりそうだ、と思った私は、話が途切れたタイミングを見計らって
「ところで、私もティファー様に聞きたいことがありますの」
と微笑みながら言いましたわ。
あ、でも咄嗟に考えた質問、などではないので、しっかりと答えてもらいたいですわね。
そう思いながらティファー様を見ると、私の言葉に首を傾げて
「どうしました?」
キョトンとした顔をして聞いてきたので、早速
「ジュミナ伯爵の姉妹についてなんですが.......」
とだけ言ってみました。
ブレイドにはジュミナ伯爵家について、聞くことが出来ましたし、令嬢の方が何かしら貴族同士の情報は入りやすいと思っての質問ですわ。
あぁ、もちろん、貴族全体の情報だったら叔母様達のような、夫人の方が莫大の情報量ですわよ?
凄い人となると、国の貴族の情報を全て持っているのでは?と思うほどの量が頭の中に入っていますもの。
ただ、同じくらいの年齢の貴族に関しては若い方が詳しい、といいますか、勝手に噂になって回ってくるものなので、無意識に耳に入ってくるんですのよね。
なので、カティ様と年齢があまり離れていないティファー様も何か知っていると思っているんですが.....。
なんて思いながら言葉を待っていると、私の思った通り
「あー.......あのパーティー以来顔を出さなくなった令嬢がいる家の方ですわよね?」
と私の様子を窺うように聞いてきたので
「えぇ、その通りですわ」
と頷いた後に
「実は姉妹の家庭教師をすることになりましたの。でも、リーシャ様の方が少し難しくて........何か知っていることがあったら教えて欲しい、と思いまして」
簡単になぜ気になっているのか、説明をしましたわ。
これがなかったら、なぜ他国の出身の私がジュミナ伯爵の情報を欲しているのか理解が出来ませんものね。
それに、私が何かを企んでいる、とか勘違いされても嫌ですわ。
とはいえ、ティファー様が変な噂を流すとは思っていないので大丈夫だと思いますけどね。
ティファー様は私の質問に
「うーん.......ジュミナ伯爵家もあまり他家に関わらない家ですからね。周りを注意深く見ているような人じゃない限り気にも留めない家だと思いますわ」
何と言って良いのか、表現に困っているのか難しそうな顔をしながらそう言いましたわ。
これには
「そうなんですのね」
とは答えましたが、注意深く見ていないと、ですか。
叔母様はすんなりと答えてくれたので、きっと周りをしっかりと見ている人なんでしょうね。
そう考えると、もしかして叔母様って凄い人だったりします?
だって、家庭教師の依頼まであるような人ですわよ?
なんて思っていると
「ただ、王子のパーティーの時は異様に目立っていた記憶がありますわね。あの時は私も何事か、と驚きましたもの」
というティファー様の言葉で一気に叔母様のことは頭の中から吹き飛んでいきましたわ。
だって、その話聞き覚えのあることなんですもの。
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