私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

文字の大きさ
71 / 344

70話

しおりを挟む

ティファー様にこれ以上何かしら聞かれると全て話してしまうような流れになりそうだ、と思った私は、話が途切れたタイミングを見計らって

「ところで、私もティファー様に聞きたいことがありますの」

と微笑みながら言いましたわ。

あ、でも咄嗟に考えた質問、などではないので、しっかりと答えてもらいたいですわね。

そう思いながらティファー様を見ると、私の言葉に首を傾げて

「どうしました?」

キョトンとした顔をして聞いてきたので、早速

「ジュミナ伯爵の姉妹についてなんですが.......」

とだけ言ってみました。

ブレイドにはジュミナ伯爵家について、聞くことが出来ましたし、令嬢の方が何かしら貴族同士の情報は入りやすいと思っての質問ですわ。

あぁ、もちろん、貴族全体の情報だったら叔母様達のような、夫人の方が莫大の情報量ですわよ?

凄い人となると、国の貴族の情報を全て持っているのでは?と思うほどの量が頭の中に入っていますもの。

ただ、同じくらいの年齢の貴族に関しては若い方が詳しい、といいますか、勝手に噂になって回ってくるものなので、無意識に耳に入ってくるんですのよね。

なので、カティ様と年齢があまり離れていないティファー様も何か知っていると思っているんですが.....。

なんて思いながら言葉を待っていると、私の思った通り

「あー.......あのパーティー以来顔を出さなくなった令嬢がいる家の方ですわよね?」

と私の様子を窺うように聞いてきたので

「えぇ、その通りですわ」

と頷いた後に

「実は姉妹の家庭教師をすることになりましたの。でも、リーシャ様の方が少し難しくて........何か知っていることがあったら教えて欲しい、と思いまして」

簡単になぜ気になっているのか、説明をしましたわ。

これがなかったら、なぜ他国の出身の私がジュミナ伯爵の情報を欲しているのか理解が出来ませんものね。

それに、私が何かを企んでいる、とか勘違いされても嫌ですわ。

とはいえ、ティファー様が変な噂を流すとは思っていないので大丈夫だと思いますけどね。

ティファー様は私の質問に

「うーん.......ジュミナ伯爵家もあまり他家に関わらない家ですからね。周りを注意深く見ているような人じゃない限り気にも留めない家だと思いますわ」

何と言って良いのか、表現に困っているのか難しそうな顔をしながらそう言いましたわ。

これには

「そうなんですのね」

とは答えましたが、注意深く見ていないと、ですか。

叔母様はすんなりと答えてくれたので、きっと周りをしっかりと見ている人なんでしょうね。

そう考えると、もしかして叔母様って凄い人だったりします?

だって、家庭教師の依頼まであるような人ですわよ?

なんて思っていると

「ただ、王子のパーティーの時は異様に目立っていた記憶がありますわね。あの時は私も何事か、と驚きましたもの」

というティファー様の言葉で一気に叔母様のことは頭の中から吹き飛んでいきましたわ。

だって、その話聞き覚えのあることなんですもの。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?

朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」 そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち? ――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど? 地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。 けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。 はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。 ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。 「見る目がないのは君のほうだ」 「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」 格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。 そんな姿を、もう私は振り返らない。 ――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。

BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。 だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。 女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね? けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。

処理中です...