私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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106話

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カティ様の件に関しては、考えても無駄といいますか....私はカティ様ではないので、何も出来ませんわよね。

そう思った私は、とりあえず当日になってみないとどうなるかわからない、ということで、頭の中からカティ様の嫌な考えを消し去りましたわ。

とにかく、今はしっかりとしたテストを作って......ではなく、もう少しで来るレオンハルト様を大人しく待っていることにしましょう。

カティ様に言われた件について、念のために聞いておきたい、と思いますしね。

そう思いながら、鞄の中にテストをしまうよう、ユーリにお願いをして背伸びをしていると、コンコンという控えめなノックの音が聞こえてきましたわね。

私の代わりに、ユーリが返事をして扉を開けてくれましたが.......レオンハルト様が到着した、と判断した私は、座っていた椅子から立ち上がって、全身鏡の前に移動しましたわ。

今日のドレスは私が着るようなものと少しタイプの違う可愛らしいデザインのものなんですのよね。

伯母様が急に持ってきてくれたんですが.....私に似合うと思って買ってきた、と言ったときは驚きましたわよ。

確かに、ドレスの枚数が少ないので嬉しいとは思いますが、なんだか伯母様達に頼りすぎですわよね。

なんて思いながら、鏡に映る自分の姿を確認しましたわ。

今日のドレスはエメラルドグリーンのドレスなんですが、スカートにギャザーが沢山ついていて、座った時に付いたシワに気付かなそうな、夜のパーティー向け、というよりかはどちらかと言うとお昼のお茶会向けのデザインになっていますの。

スカートの部分が少し特徴的、というのもあって、上半身の方は凄くシンプルなデザインになっていますが、そのおかげで凄くバランスが良いドレスになっていますわ。

それに、この色のドレスは似合わないと避けていましたが.......流石伯母様ですわよね。

そう思いながらくるっと一回転してドレスを見つめましたわ。

すると、そんな私の様子に

「随分と気に入ったんですね」

ユーリが嬉しそうにそう言ってきたので少し恥ずかしくなって

「えぇ、初めて着る色だけど、凄く綺麗よね」

と言いながらもそっぽを向いてしまいましたわ。

だって、私が浮かれて鏡を見る、なんて今までだったら絶対にあり得ませんし、そもそも鏡の前で一回転?

いくら気分が良かったとはいえ、少し調子に乗りすぎてしまいましたわよね。

あぁー......考えれば考えるほど恥ずかしくなってきますわ。

そう思いながらも、ユーリに悟られないよう、なるべく冷静を保ちながら

「それで?一体何の用事だったの?」

と尋ねましたわ。

すると、すっかり忘れてしまっていたのか一瞬キョトンとした顔をしたユーリですが、すぐに思い出して

「あぁ、レオンハルト様がいらっしゃったみたいですよ。温室で待ってもらっている、とのことでしたが......」

そう言うと、すかさず私のメイクや髪形が崩れていないか確認をしてくれましたわ。

相変わらず流れるような速さで確認していますが....実は確認しているふりでした、とかだったら少し面白いですわよね。



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