私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

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139話 義父side

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「お前と結婚してくれる物好きな貴族はいない!結婚相手は平民で良いから迷惑をかけるな!」

そうアーリアに行ってから1ヶ月が経過した。

当然、無駄に母親に似てプライドの高いアーリアのことだから、ハッキリと言われたときは不服そうな顔をしたが、1ヶ月も経てば俺が言ったことを理解してくれたんだろう。

今では平民に狙いを定め、貴族たちの家に押し掛ける、ということはなくなったみたいだ。

その証拠に、あれだけ大量に届いていた手紙は一切来なくなったし、謝罪を受け入れてもらうことが出来たからな。

はぁ.......後は婚約者が決まって、大人しくしてくれれば......。

そんなことを思いながら、今日も机に向かっていると、

「旦那様!お客様です」

ノックも無しに部屋に入ってきたかと思ったら、息を切らして慌てた様子のメイドが執務室に入ってきたではないか。

お客様、といわれても、今日は誰とも会う約束はしていないし、何も予定がない。

つまりは、何も連絡することなく尋ねてきた、ということになるが.....。

そう思った俺は、片付く気配のない机の上の書類を睨みつけた後、小さくため息をつきながら

「連絡も無しに、か?一体誰がそんな非常識なことをしているんだ?」

とメイドに尋ねた。

すると

「それが.........」

どう言おうか、と悩んでいるメイドよりも先に

「さっさと出てきなさいよ!」

「そうだそうだ!」

「出て来ーーーい!!!」

という怒鳴り声が聞こえてきたではないか。

しかも、その声は男性のものではなく完全に女性の声で、大人数いるのか、色んな声が聞こえてきた。

中には

「慰謝料を払え!」

という声もあるし........い、一体何が起こっているんだ!?

そう思った俺は、慌てた様子のメイドに

「な、何が起こっているんだ!?」

と尋ねると

「私たちにもわかりません。急にお屋敷に来たと思ったら旦那様を出すように、と言われて.........」

そう言ったメイドの顔は今にも泣きだしそうで、本当に何が起こっているのか理解出来ていないんだ、というのがわかった。

はぁ.....一体何が起こっているんだ?

最近の子爵家の領地経営だって、前よりほんの少しだが良くなっているし、何より領民に恨まれることをした記憶がないぞ?

しかも慰謝料って......いくら払うのかわからないが、そんな金はうちにはないし....。

そう思いながら、泣きそうな顔をしているメイドに

「とにかく、門の所には何人来ているんだ?」

と質問すると

「ざっと30人ほどです......」

とのことだった。

30人.......全員が女、ということは何かしらの共通点があるんだろう。

1人1人を相手にするよりも一気に相手をした方が時間がかからないかもしれない。

そう判断した俺は、メイドに

「とりあえずホールの方に通してくれ。俺もすぐに向かう」

と指示を出した。

一応、俺が領主だからな。

領民の前にでても恥ずかしくない恰好をしないといけないし、色々と準備がある。

メイドには悪いと思うが、これも領主だから仕方がないんだ。

そんなことを思いながら、準備のために自室へと急いだ。


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