148 / 344
148話
しおりを挟む
なんとか記憶の奥底に眠っているであろう当時のことを思い出そうとしますが、そう簡単に思い出せるわけもなく、伯母様の話を聞いてもただただ首を傾げることしか出来ませんでしたわ。
だって、いつ会ったのかもわかりませんし、きっと陛下とお話したのは私が物心の付く前ですわよね?
絶対に思い出せませんわよ。
なんて思っていると、コンコンという控えめなノックの音が聞こえてきましたわね。
返事をしようと息を吸ったのは良いですが、私が返事をする前に
「入っても良いわよー」
と伯母様が返事をしてしまいましたわ。
まぁ、別に誰が返事をしても良いんですけど.......。
ただ、今は一応私の部屋ですし、ちょっと.....とは思いますわよね。
なんて思いながら苦笑している間に、扉をノックした人が部屋の中に入ってきましたわね。
誰が入ってきたのか、と思って振り返ると、そこには伯母様の専属メイドが立っていて
「馬車の準備が出来ましたよ」
という声が聞こえてきましたわね。
その声に、扉の近くにいたユーリが急にハッとした顔をして、私の姿を上から下まで遠目ではありますがしっかりと確認をしていましたわ。
こんな状況でも、最後の確認を忘れることなくするのは流石としか言いようがありませんわね。
この様子だと、王宮から戻った時には普段通りに戻っているでしょう。
なんて呑気に思っているうちにも、伯母様はメイドに
「すぐに行くから玄関の前に付けておいてちょうだい」
と指示を出していますわ。
....ということは、すぐに出発するということですわね。
うーん.....気を張らなくても良いとは言っていましたが、やっぱり隣国の陛下と話す機会なんて今後はありませんから、どうしても緊張してしまいますわ。
どうにかして緊張を和らげようと深呼吸をしてみますが、全く変化はありません。
とはいえ、緊張を和らげる方法なんてわかりませんし、これはもう仕方のないことだ、と諦めるしかないのでは?
なんて思いながら、部屋を後にしましたわ。
伯母様の話曰く、公爵家から王宮までは約3時間ほどという短時間で向かうことが出来るみたいですわね。
流石、王族と関りが強いだけありますわ。
まぁ、その分苦労もするでしょうけど......国の大きなパーティーの時は楽そうですわよね。
えーっと.....隣国に行く、とカイン様に話をした時に、この国は王太子が決まっていないとのことで、今も誰が王になるのか争っている、と言っていましたわね。
なので、あまりそのような会話はしない方がいい、と頭に入れておきましょう。
それから.....私のことについて聞かれたときは全て話しても良いものなんでしょうか?
隣国の侯爵の話なんて興味ないですわよね?
なんて思いながら馬車に乗り込むと、私の様子がおかしいことに気付いたんでしょう。
伯母様が不思議そうな顔をして
「そんなに深刻そうな顔をしてどうしたの?」
と聞いてきましたわ。
ですが、流石に今考えているのを全て話すわけにはいかない、と判断した私は
「いえ、なんでもないですわ」
と答えましたが........このまま王宮に向かっても大丈夫なんでしょうか?
やっぱり緊張してしまいますわ。
だって、いつ会ったのかもわかりませんし、きっと陛下とお話したのは私が物心の付く前ですわよね?
絶対に思い出せませんわよ。
なんて思っていると、コンコンという控えめなノックの音が聞こえてきましたわね。
返事をしようと息を吸ったのは良いですが、私が返事をする前に
「入っても良いわよー」
と伯母様が返事をしてしまいましたわ。
まぁ、別に誰が返事をしても良いんですけど.......。
ただ、今は一応私の部屋ですし、ちょっと.....とは思いますわよね。
なんて思いながら苦笑している間に、扉をノックした人が部屋の中に入ってきましたわね。
誰が入ってきたのか、と思って振り返ると、そこには伯母様の専属メイドが立っていて
「馬車の準備が出来ましたよ」
という声が聞こえてきましたわね。
その声に、扉の近くにいたユーリが急にハッとした顔をして、私の姿を上から下まで遠目ではありますがしっかりと確認をしていましたわ。
こんな状況でも、最後の確認を忘れることなくするのは流石としか言いようがありませんわね。
この様子だと、王宮から戻った時には普段通りに戻っているでしょう。
なんて呑気に思っているうちにも、伯母様はメイドに
「すぐに行くから玄関の前に付けておいてちょうだい」
と指示を出していますわ。
....ということは、すぐに出発するということですわね。
うーん.....気を張らなくても良いとは言っていましたが、やっぱり隣国の陛下と話す機会なんて今後はありませんから、どうしても緊張してしまいますわ。
どうにかして緊張を和らげようと深呼吸をしてみますが、全く変化はありません。
とはいえ、緊張を和らげる方法なんてわかりませんし、これはもう仕方のないことだ、と諦めるしかないのでは?
なんて思いながら、部屋を後にしましたわ。
伯母様の話曰く、公爵家から王宮までは約3時間ほどという短時間で向かうことが出来るみたいですわね。
流石、王族と関りが強いだけありますわ。
まぁ、その分苦労もするでしょうけど......国の大きなパーティーの時は楽そうですわよね。
えーっと.....隣国に行く、とカイン様に話をした時に、この国は王太子が決まっていないとのことで、今も誰が王になるのか争っている、と言っていましたわね。
なので、あまりそのような会話はしない方がいい、と頭に入れておきましょう。
それから.....私のことについて聞かれたときは全て話しても良いものなんでしょうか?
隣国の侯爵の話なんて興味ないですわよね?
なんて思いながら馬車に乗り込むと、私の様子がおかしいことに気付いたんでしょう。
伯母様が不思議そうな顔をして
「そんなに深刻そうな顔をしてどうしたの?」
と聞いてきましたわ。
ですが、流石に今考えているのを全て話すわけにはいかない、と判断した私は
「いえ、なんでもないですわ」
と答えましたが........このまま王宮に向かっても大丈夫なんでしょうか?
やっぱり緊張してしまいますわ。
28
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?
朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」
そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち?
――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど?
地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。
けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。
はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。
ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。
「見る目がないのは君のほうだ」
「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」
格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。
そんな姿を、もう私は振り返らない。
――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる