私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜

文字の大きさ
198 / 344

198話

しおりを挟む

アーリナ様の反応は少し意外ですが......あぁ、もしかしたらレオンハルト様の婚約者が家庭教師だ、なんて知られたら色々と厄介なことがあるので、あえて言っていなかった可能性もありますわね。

なんとなくですが、リーシャ様と違ってカティ様の方はずる賢いところがありますし.......。

なんて思っていると、都合の悪そうな顔をしたカティ様が私のことをキッと睨んだかと思うと

「知り合いな訳がありません。私たちのレオンハルト様を誑かすような人、関わりたくもないです」

冷たくそう言ってきましたわね。

まさか、このような扱いをされるとは思ってもいなかったので一瞬何を言われたのか理解ができませんでしたが、それよりも

「私たちの......」

という言葉に驚いて思わず呟いてしまいましたわ。

だって、私たちの....と言ってきた、ということはやっぱりカティ様もレオンハルト様のことが好きで、だからこそ、レオンハルト様の婚約者が私だと気付いた時に訳のわからないことを言ってきた、ということですわよね。

今までは信じたくない、という思いで気のせいだと思ってきましたが、流石にここまでハッキリと言われると確信に変わってしまいますわ。

なんて思っていると、今の言葉で何かが吹っ切れたのか

「急に現れたかと思ったらレオンハルト様の婚約者になって....しかも、アーリナ様に喧嘩を売るなんてもっての外ですわ!」

ピシッと私のことを指さしてそう言うカティ様は、完全に私のことを敵視していますわね。

さっきまでは、やっぱり気まずさというものがあったのか、遠慮をしているように見えましたが今では自分の思っていることをそのまま私に言ってきた、という感じがしますわ。

まぁ、それは嬉しい事なので良いんですけど......。

カティ様が私に対して強く言っているのを聞いて一緒にいた取り巻きの人達が何を思ったのか

「それに、さっきまで第二王子も一緒にいましたわよね」

「やだ、ということはレオンハルト様だけではなく第二王子にまで手を出しましたの?」

「隣国ではこのような事が当たり前なんでしょうか?ありえない行動ですわ」

と私のことを嘲笑しながら、ひそひそと.....ですが私にしっかりと聞こえる声の大きさで話をし始めましたわね。

はぁ.....まぁ、ジャミン様と一緒にいる時点で何かしら言われることはわかっていましたわ。

ただ、令嬢たちがこれほどまでに楽しそうな顔をしながら第二王子に手を出した、なんて勝手に想像で話をするなんて.......品がないといいますか、何と言いますか.......。

正直呆れてしまいますわね。

心の中で小さくため息をつきながら、私に対してひそひそと話をしている令嬢に順番に視線を送ると

「な、なんですの?」

と都合の悪そうな顔をしながら一歩後ろに下がりましたわね。

全く.....そのような反応をするのであれば、最初から私に対して喧嘩を売って来なければいいのに。

なんて思いながら、アーリナ様に向き直ってこう言いましたわ。

「あら?この国では1人の令嬢に対して、こんなに大人数で喧嘩を売ってくるのが当たり前、ということですの?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?

朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」 そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち? ――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど? 地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。 けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。 はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。 ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。 「見る目がないのは君のほうだ」 「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」 格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。 そんな姿を、もう私は振り返らない。 ――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。

BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。 だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。 女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね? けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。

処理中です...