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275話 レオンハルトside
しおりを挟むあの従者たちと話をして2時間が経過した。
僕は、というと、家に帰ることなく今回の件の関係者?ということでユースティン様の両親が来るまでの間、公爵家で待機をすることになった。
僕としてはセリスティア様の婚約者だし、あの従者たちの処罰やユースティン様がどうなるのか気にはなったけど、夫人たちと違って家族だという訳ではないから帰った方が良い、と言ったんだけどね。
夫人が
「どうせ後から報告するんだし、今聞いて行った方が私たちも手紙を送る手間が省けて嬉しいわ」
と言ったことによって帰るに帰れなくなってしまった。
まぁ、嬉しい申し出だし、そう言われると頷くしかない、という感じだよね。
そんなことを思いながら、再びブレイド様と夫人、そして公爵の4人でお茶を飲みながら今回の件について状況の把握をしていた。
「私としてはあの従者たちよりもユースティン嬢の処罰の方をどうするか悩んでいるんだが.......」
重たい空気の中そう言った公爵は、僕たちの意見も聞きたい、と言わんばかりにそれぞれに視線を送ってきた。
まぁ、あの従者たちは運が良ければ禁固刑の後に仕事をクビ、運が悪ければ終身刑、ということになるでしょう。
とにかく、今後貴族社会に関わっていくことが出来なくなる、というのは確定している。
ただ、ユースティン様はそういうわけにもいかない。
だって、公爵令嬢という地位の高い位置にいるし、そもそも陛下や他の貴族からの評価が高い信頼のある人だ。
ユースティン様の父親が陛下に対して言葉巧みに言い訳をして、お咎めなし、ということになる可能性の方が高い。
そう思いながら、大きなため息をついている公爵に
「ですがユースティン様は令嬢の中でも評価が高いですからね。このようなことをしたのは気の迷いだ、ということになると大した処罰はないでしょう」
と苦笑しながら言うと、ブレイド様は僕の言葉に対して
「でも、他国の令嬢に危害を加えようとするのが気の迷いで済むわけない、って俺は思いますけどね」
何とも言えないような、複雑そうな顔をしながらそう言ってきた。
言われてみると確かにその通りだ。
ヘタしたら国際問題にまで発展するようなことを気の迷いで終わらせるほど、陛下もバカではないだろうし、ユースティン様の父親.....コルストン公爵もしっかりとそれを理解しているだろう。
かといって、ユースティン様のことを相当可愛がっている人が、そう簡単に罰を下すとは僕は思えないんだけど......。
そう思いながら、どう考えているのか一番気になった夫人に視線を送った。
夫人は陛下にも意見をすることが出来る貴族の中でも数少ない存在だ。
だからこそ、夫人がどう考えているか、そしてどのような行動をするのか、僕としては物凄く気になった。
すると、夫人はすぐに僕の視線と、そして僕の思っていることを察してくれたみたいで
「とりあえず、セリスティア関係のことは隣国も関わってくるから、陛下にはしっかりと報告する必要があると思うわ」
ハッキリとした口調でそう言った。
この言葉には、なるほど、と頷いたけど、最後に付けたすように
「ただ、どのような処罰が下るのか、については私たちは口出しできないでしょうね」
そう言った夫人の表情は悔しそうで、出来ることなら自分で処罰を決めたい、と思っているのが関わりの薄い僕でも伝わってきた。
夫人は自分の子供のようにセリスティア様を可愛がってるからね。
だからこそ、今回こんなことをしたユースティン様をそう簡単に許すことは出来ないんだろう。
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