331 / 344
331話
しおりを挟む
叔父様のことを話題に出したのはユーリですが、2週間前のことに相当腹を立てているのか、怒っているようにも見えますわ。
まぁ、あれだけ自分勝手なことを言って、自分勝手な行動をしていましたからね。
あの様子だとそう簡単に諦めて平民に、という考えにはならないと思っていますわ。
ただ、私の方には何も情報が入ってきていませんし、実際何も被害にあっていないので
「どうなのかしら?カイン様からは何も言われていないけど.........」
首を傾げながらそう言うと
「もしかして、離婚したのに子爵家に戻った、とかじゃないですよね?」
とユーリは苦笑しながらそう言ってきましたわ。
正直、私としてはここの領地内でウロウロされるよりも、子爵家に戻っていてくれた方がありがたい、というのが本音ですわ。
どうせあの2人では領地経営なんて出来ないでしょうし、叔父様だって住むところが確保出来るんですしね。
ただ、そんな簡単な話でもないだろう、と思った私はユーリの言葉に
「流石にそんなことは出来ないと思うけど........」
苦笑しながらそう言いましたわ。
そもそも、プライドだけは立派なあの人たちは自分が折れて頭を下げる、なんてこと出来ないでしょう。
きっと、あの2人は領地経営も出来ずに慌てていて、叔父様の方は住むところがない、と外で暮らしているんでしょうね。
そう思いながらユーリが用意してくれたお茶を飲んでいると、急に廊下の方からバタバタと慌てた足音が聞こえてきましたわ。
廊下を走って移動なんて珍しいですわね。
何か問題でもあったんでしょうか?
不安そうに扉をじっと見つめるユーリを眺めながらお茶を飲んでいると、足音がどんどん近くなってきて
「お嬢様!ダレス様が......!」
バンッという扉の音と共に息を切らしたメイド長がそう言って執務室の中に入ってきましたわ。
メイド長いわく、叔父様は急にふらっと現れて、門番を相手に私を出せ、と騒いでいるみたいですが........
「噂をしたら何とやら....というやつかしら?」
たった今、叔父様のことを話していた、ということもあって、思わずそう呟いてしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に
「それって私があの人の話題を出したせいですよね。なんだかすみません」
とユーリが申し訳なさそうに頭を下げたので
「そろそろ来る頃だとは思っていたわ。だからユーリのせいじゃないわよ」
とは言ったものの、上手く笑うことが出来ず頬が引きつってしまいましたわ。
はぁ......2週間も来なかったので、諦めたんだと思いたかったですが、やはりそう簡単にはいきませんわよね。
カイン様たちに相談したので、何か対応をしてくれた、とも思いましたが......来てしまったものは仕方がありませんわ。
そう思いながら心配そうな顔をして私のことを見ているメイド長に
「準備をしてから直ぐに向かいますわ。絶対にお屋敷の中には入れないでちょうだい」
椅子から立ち上がってそう言うと、メイド長は
「かしこまりました」
と深々と頭を下げて部屋を後にしましたわ。
まだ切れた息は整えられていなかったので、休憩でも.....と思いましたが、引き止める暇もありませんでしたわね。
それだけ急いでいる、ということなんでしょうけど。
まぁ、あれだけ自分勝手なことを言って、自分勝手な行動をしていましたからね。
あの様子だとそう簡単に諦めて平民に、という考えにはならないと思っていますわ。
ただ、私の方には何も情報が入ってきていませんし、実際何も被害にあっていないので
「どうなのかしら?カイン様からは何も言われていないけど.........」
首を傾げながらそう言うと
「もしかして、離婚したのに子爵家に戻った、とかじゃないですよね?」
とユーリは苦笑しながらそう言ってきましたわ。
正直、私としてはここの領地内でウロウロされるよりも、子爵家に戻っていてくれた方がありがたい、というのが本音ですわ。
どうせあの2人では領地経営なんて出来ないでしょうし、叔父様だって住むところが確保出来るんですしね。
ただ、そんな簡単な話でもないだろう、と思った私はユーリの言葉に
「流石にそんなことは出来ないと思うけど........」
苦笑しながらそう言いましたわ。
そもそも、プライドだけは立派なあの人たちは自分が折れて頭を下げる、なんてこと出来ないでしょう。
きっと、あの2人は領地経営も出来ずに慌てていて、叔父様の方は住むところがない、と外で暮らしているんでしょうね。
そう思いながらユーリが用意してくれたお茶を飲んでいると、急に廊下の方からバタバタと慌てた足音が聞こえてきましたわ。
廊下を走って移動なんて珍しいですわね。
何か問題でもあったんでしょうか?
不安そうに扉をじっと見つめるユーリを眺めながらお茶を飲んでいると、足音がどんどん近くなってきて
「お嬢様!ダレス様が......!」
バンッという扉の音と共に息を切らしたメイド長がそう言って執務室の中に入ってきましたわ。
メイド長いわく、叔父様は急にふらっと現れて、門番を相手に私を出せ、と騒いでいるみたいですが........
「噂をしたら何とやら....というやつかしら?」
たった今、叔父様のことを話していた、ということもあって、思わずそう呟いてしまいましたわ。
すると、そんな私の言葉に
「それって私があの人の話題を出したせいですよね。なんだかすみません」
とユーリが申し訳なさそうに頭を下げたので
「そろそろ来る頃だとは思っていたわ。だからユーリのせいじゃないわよ」
とは言ったものの、上手く笑うことが出来ず頬が引きつってしまいましたわ。
はぁ......2週間も来なかったので、諦めたんだと思いたかったですが、やはりそう簡単にはいきませんわよね。
カイン様たちに相談したので、何か対応をしてくれた、とも思いましたが......来てしまったものは仕方がありませんわ。
そう思いながら心配そうな顔をして私のことを見ているメイド長に
「準備をしてから直ぐに向かいますわ。絶対にお屋敷の中には入れないでちょうだい」
椅子から立ち上がってそう言うと、メイド長は
「かしこまりました」
と深々と頭を下げて部屋を後にしましたわ。
まだ切れた息は整えられていなかったので、休憩でも.....と思いましたが、引き止める暇もありませんでしたわね。
それだけ急いでいる、ということなんでしょうけど。
28
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
短編 お前なんか一生結婚できないって笑ってたくせに、私が王太子妃になったら泣き出すのはどういうこと?
朝陽千早
恋愛
「お前なんか、一生結婚できない」
そう笑ってた幼馴染、今どんな気持ち?
――私、王太子殿下の婚約者になりましたけど?
地味で冴えない伯爵令嬢エリナは、幼い頃からずっと幼馴染のカイルに「お前に嫁の貰い手なんていない」とからかわれてきた。
けれどある日、王都で開かれた舞踏会で、偶然王太子殿下と出会い――そして、求婚された。
はじめは噂だと笑っていたカイルも、正式な婚約発表を前に動揺を隠せない。
ついには「お前に王太子妃なんて務まるわけがない」と暴言を吐くが、王太子殿下がきっぱりと言い返す。
「見る目がないのは君のほうだ」
「私の婚約者を侮辱するのなら、貴族であろうと容赦はしない」
格の違いを見せつけられ、崩れ落ちるカイル。
そんな姿を、もう私は振り返らない。
――これは、ずっと見下されていた令嬢が、運命の人に見初められる物語。
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる