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29話

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リーファイ様が応接室にきてから、なんだか雰囲気が柔らかくなったような気がしますわね。

特に何かをしたわけでもないのに、存在だけで場の空気を変えられるなんて、そんな人リーファイ様以外に知りませんわ。

そう思いながら、リーファイ様を見ると、ディーヴァンと楽しそうに話をしていますわね。

なぜかわかりませんが、リーファイ様ってディーヴァンに気に入られていますのよ。

もしかしたら、私よりも仲が良いのでは?とたまに思ってしまうくらい2人にしておけば会話が弾んでいますからね。

少し嫉妬してしまいますわ。

なんて思っていると、ディーヴァンと話し終えたリーファイ様が

「それで父上、一体何があったんですか?」

急に真剣な表情でそう尋ねると、一気に部屋の中の空気がピリついたのを感じましたわ。

リーファイ様は無意識にやっているのかもしれませんが、思わず背筋が伸びてしまうほど、刺すような鋭い空気なんですのよ。

何度か経験したことがあるとはいえ、いまだにこればかりは慣れませんわ。

そう思いながら陛下の方を見ると、陛下も私と同様に先ほどまでゆったりとリラックスしていた感じでしたが、今はしっかりと背筋を伸ばして

「あぁ、それがだな.......」

と手紙に書いてあった大体の内容と、私から聞いた話を手短に伝えましたわ。

すると、話を聞き終えたリーファイ様は

「あちらの国の殿下は随分と酷いことを言うんですね」

と苦笑しながら私の方を見てきましたわね。

これには反射的に頷いてしまいましたわよ。

まぁ、酷いことをされた、というのは本当のことですしね。

ただ、急に話を振られると本当に驚いてしまうので、少し合図みたいなのが欲しいものですわ。

なんて呑気に思っていると、今まで黙って話を聞いていたカイロス様が急に勢いよく椅子から立ち上がったかと思うと

「全くその通りです!一瞬殴り込みにでも行こうかと考えたくらいですよ!」

拳を握って、凄い勢いでそう言っていますわね。

私のことを思ってそう言ってくれているんでしょうけど......リーファイ様が来たからなのか、少しテンションが高いような気がしますが、気のせいでしょうか?

思わず苦笑しながらカイロス様のことを見ていると、

「まぁまぁ、カイロス。気持ちはよくわかるが他国の儂らがでしゃばるタイミングではないだろう?」

陛下は穏やかにそう言いましたが、やっぱりどこか怒っているような.......普段と少し雰囲気が違いますわね。

何と言えばいいんでしょう?

陛下のオーラ、というか、周りの雰囲気といいますか.....。

こんなにピリついているのは初めて見ますわ。

なんて思いながら、リーファイ様に助けを求める様に視線を送ると

「とにかく、父上は独立の件を全面的に手伝う、ということに決めたんですよね?」

と話を変えてくれてホッとしましたわよ。

このリーファイ様の質問に陛下は、さっきまでのあの怒りのオーラみたいなものを消して

「あぁ、もちろんそう考えているが、一応2人の意見も聞きたいと思ってな」

と言って、カイロス様、そしてリーファイ様のことを交互に見ると

「俺はもちろん賛成です」

「僕も賛成かな」

2人とも、即答でそう言ってくれましたわ。


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