59 / 88
58話
しおりを挟むコシューミアの動きに驚きながらも、怯えている様子のコシューミアを肩に乗せて、優しく背中を撫でていると
「あ、アリスティア嬢?その小さな竜は一体.......」
と驚いた顔をしたカイロス様と目が合いましたわね。
当たり前の反応ですわね。
だって、ディーヴァンと一緒に山に向かったのに、帰宅した時に竜の赤ちゃんを連れているんですもの。
まぁ、元々家に帰る前にカイロス様達には話をしてから、とは思っていましたし、少し順番が変わってしまいましたが言うことは変わりませんわよね。
なんて思いながら、驚いた顔しながらも、どこか興味津々というような様子でコシューミアを見ているカイロス様に、簡単にではありますが洞窟の中であった出来事と、コシューミアのことを簡単に説明しましたわ。
あ、しっかりと最後に
「コシューミアは私が大事に育てるつもりですわ」
と付けましたわよ。
だって、一応大事なことですし、それを言わないとコシューミアを連れて帰れなくなっても嫌ですもの。
というのも、この国はやっぱり何人も竜騎士を輩出しているだけあって、多国と比べたら何倍も知識が豊富なんですの。
なので、今回の竜の赤ちゃん、というのは今までにない事例だということもあって、是非我が国に、と言われると思いましたのよね。
まぁ、もちろん言われても断りますけどね。
様子を聞きたい、とか、見てみたい、というのにはしっかりと応じますが、育てたい、というのは話が違いますもの。
なんて思っていると、私の話を聞いていたガルファーが
「な、なんだと!?ここにいるんじゃないのか!?」
と大きな声を出しましたわね。
さっきのことがあってコシューミアはガルファーの声に怯えているみたいで、本当に小さな声で、ですが
「ぴぃ........」
とか細く泣いたかと思ったら、少しですが私の方に近付いてきましたわ。
もう、その時点でガルファーには怒りしかありませんわよ。
ですが、それに追い打ちをかけるかのように
「当然だ。そもそもコシューミアは俺の妹の子だし、俺たちが頼まれたから連れて帰ったんだからな」
冷静に、ではありますが、ディーヴァンがそう言ったことでコシューミアは私の服の中に入り込んできましたわね。
それを見たガルファーは
「くっ........」
と悔しそうにしていますが、自業自得ですわ。
恨むのなら、コシューミアの取り合い、なんてバカなことをした自分を恨んで欲しいですわね。
なんて思っていると
「なるほど......話はわかった」
と真剣な顔をしてカイロス様が頷いたので
「竜の赤ちゃんとの接し方はわからないので、探り探りになるでしょうけど..........」
苦笑しながらそう言うと、何かを少し考えた後になぜか
「ちょっと待っててくれる?兄様たちを呼んでくる!」
そう言って応接室を後にしましたわ。
これには驚いて、カイロス様の背中に
「え!?ちょ、ちょっと!?」
と声をかけたんですが......聞こえていないのか、それとも無視されてしまったのか。
ま、まぁ.......結局はリーファイ様達にも話をしないといけませんしね。
25
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました
ほーみ
恋愛
その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。
「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」
そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。
「……は?」
まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる