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57話
しおりを挟む私とカイロス様は、ずっと扉の前で立っているわけにもいかないということで、中に入ることにしたんですが、急に
「ぴぃぃっ!ぴぃっ!」
というコシューミアの今まで聞いたこともないくらい大きな鳴き声が聞こえてきましたの。
これが鳴き声だ、と知らないカイロス様は
「な、なに!?何が起こったの!?」
と驚いた顔をしていますが.....今はそれどころではありませんわね。
コシューミアに一体何があったのか......。
もしかして、ガルファーの所の竜はメスだと殺してしまう決まりがあるとか......。
体から血の気が引いていくのを感じながら、急いで応接室の中に入ると、
「ぴぃ!」
という鳴き声が少し大きくなったような気がしますわ。
小さいので何が起こっているのかわかりませんが、とにかくコシューミアを助けないと.....。
そう思ったときです。
「お前、可愛いなぁー。どこから来たんだ?」
という聞き覚えのある声ですが、普段とは全く声色の違った声が聞こえてきましたわ。
この声....ガルファーですわよね?
普段は生意気な声と言いますか.....高圧的な声をしているのに、今聞こえてくるガルファーの声は、完全に別物ですわ。
なんといいますか......動物に話しかけるとき?みたいな感じと言えばわかりやすいでしょうか?
なんて思っていると、今度は
「おい!コシューミアが嫌がっているだろ、やめろ!」
というディーヴァンの声が聞こえてきましたわね。
よく見ると、ディーヴァンの手にはコシューミアの翼の部分が握られていて、なんだか痛そうですわ。
体の方は......どうやらガルファーが抱っこしているんですが、ディーヴァンは取り返したくて必死なんですのね。
ディーヴァンに睨まれているガルファーは、当然ですが、コシューミアを掴んでいる手を緩めることなく
「はぁ?こんなに可愛い子を見つけて無視する方が無理でしょ」
と言って自分の方へと、近付けますが
「いいから!離れろと言っているんだ!」
というディーヴァンのせいで、コシューミアを引っ張り合う、という変な状況になっているみたいですわ。
これは、コシューミアが可哀そうすぎますわね......。
どうにかしてあの2人からコシューミアを取り返せたらいいんですが.....。
そう思った私は、既に気付かれているとは思いますが、ゆっくりと言い合いを続けている2人に近付いていきましたわ。
その間にも、2人は
「さっさと手を離せ!」
「お前が離せばいいだろ!」
と醜く言い合っていますわ。
はぁ.....まだ小さな子に何を見せていますのよ。
なんて思っていると、引っ張られていたコシューミアが私に気付いたみたいで、ディーヴァンに掴まれていた翼をブンっと力強く振り払うと、ガルファーの手を足で蹴飛ばして
「ぴ、ぴぃっ!」
と助けを求める様に私の方に飛んできてくれましたわ。
これには反射的に
「こ、コシューミア、大丈夫ですの?」
と安否の確認をしましたが......あまりにも抜け出すときの動きがよくて驚きました。
やっぱり小さくても竜なのは変わらないんですのね。
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