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62話

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カイロス様が疑問に思っているのと同じで、私自身コシューミアがなぜこれほど私に対して懐いているのか、全くわかりませんがっ嫌われるよりは明らかに良いですわよね。

なんて思いながら、不思議そうな顔をしているカイロス様に

「コシューミアと会ったのは今日が初めてですわ。そもそも、ディーヴァンに妹がいることすら知らなかったですし」

そう言ってチラッとディーヴァンの方を見ると、都合が悪いのか、私とは目を合わせようともしませんわね。

あ、別に怒っているわけではありませんわよ?

だって、契約を結んですぐの時なんて、どのような人かもわかっていない状況ですし、そんな中で自分の大事な家族を紹介したいとは思えませんもの。

とはいえ、一応口頭で教えておいて欲しかったとは思ってしまいますけどね。

そう思いながら苦笑すると、カイロス様は

「そうなのか?てっきり妹がいることくらいは知っているかと......」

と驚いた顔をしながらディーヴァンに視線を向けましたわね。

なぜ言っていないんだ、とでも言わんばかりの視線に当然ですがディーヴァンは都合の悪そうな顔をしていますわ。

その隣ではガルファーがニヤニヤとしながらディーヴァンのことを見ている、というわけのわからない状況になっています。

うーん.....なんだかゴチャゴチャですわね。

なんて思いながら、皆の様子を眺めて苦笑していると、今まで黙っていた陛下が

「まぁ、とにかく話はわかった。そこで1つ提案なんだが........」

と言ったことで一気に応接室が静かになりましたわ。

陛下からの提案、ですか.....。

正直、何を言うか想像が出来るようで、出来ないようで.....という感じですが、流石に最初から聞かずに否定することも出来ないので、首を傾げて陛下の言葉を待ちましたわ。

すると、陛下は一度大きく息を吐いてチラチラとコシューミアのことを見ていますわね。

これはもう次に行ってくる言葉が確定したようなものですわ。

なんて思っていると私の想像通り

「その竜の赤ちゃんを我が国で育てさせてはくれないか?」

と言ってきましたわね。

しかも、本当に真剣な顔をして。

正直、普段だったらここまで真剣な顔でお願いされると断ることが出来ないと判断するんですよ。

ただ、今回は提案の内容の規模の大きさといいますか...重要度が普段とは全く違いますわ。

なので、どう返事をしようか、と言葉に詰まらせていると、ディーヴァンは、私が陛下の提案を引き受けてしまうと勘違いをしたんでしょうね。

顔色を悪くさせて

「それはっ......」

と椅子から立ち上がりましたわ。

まぁ、ディーヴァンからすると自分の妹の娘、そして自分の姪っ子ですし、私以上にコシューミアに対する思いが強いことは私もわかっていますわ。

それにこう言われることがわかった時点で、私の答えは既に決まっていますのよ。

私は、顔色を悪くさせて椅子から立ち上がったディーヴァンにニッコリと微笑んで、陛下に対してこう言いましたわ。

「申し訳ありませんが、それは出来ません」

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