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7話
しおりを挟む今私は馬車に揺られている。
家に帰るためではなく、隣国に向かうために。
隣国、といっても王都から馬車で5日くらいはかかるとのことで、休憩をしたり、宿に泊まったりをしてやっと今日の夕方くらいに到着するらしい。
1度家に戻るものだと思っていたけど、マリウスが必要なものがなければそのままでって言ったので、そのまま向かうことにした。
あの家には私のものなんて数える程度にしかありませんもの。
思っていたより馬車での移動は楽しく過ごしている。
マリウスが暇にならないように話しかけてくれているおかげだろう。
最初に抱いていた警戒心はだいぶ薄れてきて、色んな話をするようにもなった。
マリウスはあの家での出来事を話すと顔を歪める時もあるが、基本的には静かに頷いて話を聞いてくれた。
最初の印象では女遊びをしてそう...というか、信用に欠けると思っていたが、話していくうちにそれは誤解だと気付いた。
幼い頃からの婚約者をずっと大事にしているんだって。
このまま結婚して、子沢山で有名な貴族になるのが夢なんだとか。
目を輝かせながらそう教えてくれたマリウスを見て、凄い素敵な夢だと思うと同時に、自分にもそんな人が現れるといいなって思ってしまう。
私は望まれて婚約した筈なのに、愛なんて言葉とは無縁でしたから。
そう考えながら隣国への道を急いだ。
予定通り、夕方の少し前に隣国へ入ることが出来た。
それから2時間くらいだろうか?
馬車を走らせ続けていると
「あ、ほら、もう見えるよ」
とマリウスが指をさした。
そこは我が家よりも少し広いくらいの至って普通の屋敷だ。
ここがお母様の育ったところだと思うとまた気分が違いますね。
一生かかっても来られないと思っていたので普通の貴族の家なんですが感動してしまいます。
屋敷の門の前には銀色の髪をした男性が立っていて、一目でお母様の兄だとわかった。
隣に立っているブロンド色の髪の毛をした女性は男性の妻、つまりマリウスの母親だろう。
私とマリウスが馬車から降りると2人が駆け寄ってきてくれてマリウスの父親が
「待っていたよ、ユーフェミア」
そう言って微笑む顔はお母様と同じ雰囲気をしていてなんだか懐かしい気持ちになった。
「ユーフェミアちゃんね、貴方のお母さんにそっくりだわ」
そう言って微笑むマリウスの母は穏やかそうな、優しそうな人だ。
この人達に囲まれて育ったマリウスを少し羨ましく思いながら、曖昧に微笑み返すことしか出来なかったのが少し悔しかった。
そして、この3人から聞かされた話は驚くべき内容だった。
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