殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

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12話 リリアーナside

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あの忌々しいパーティーから帰ってくると、お姉様が居なかった。

お姉様がパーティーに居なかったせいで恥をかいたのに、家にもいないってどういうことよ!

せっかくお姉様にしようと思ったのに最悪じゃない!

苛立ちの矛先を誰にも向けることが出来ず、余計にイライラが増してしまう。

あー、イライラするわ。

そう思いながらドスドスと廊下を歩いていると、お母様が前から歩いてくるのが見えた。

ずっと家にいたはずだから、何か知ってるわよね。

そう思って聞いた私がバカだったわ。

「お母様!お姉様は?」

と私が聞くと、あからさまに嫌そうな顔をして

「はぁ?知らないわよ。あんな子」

と吐き捨てるように言ってきた。

機嫌が悪い時にこんな風に言われたら余計にイラッとしてしまうわ。

でもお姉様が居なかったら八つ当たり出来る相手がいないから聞き出さないと!

「だって、お母様はずっと家にいたんでしょう?何か知ってるかと思って......」

「あー、今日はスメラン伯爵家のお茶会に呼ばれてたから家にいなかったのよ!」

スメラン伯爵家ねぇ......。

お母様の浮気相手の家だわ。

そこのお茶会ってことは夫人達とってことでしょう?

お母様は貴族の夫人達に嫌われてるからありえないわ。絶対、伯爵と会ってたのよね。

お母様は元平民なのに、公爵夫人の座についたことで面白く思わない人が沢山いるのは有名な話だし。

全く......お父様にバレてないからって遊びすぎなのよ。

平民だった時の幼馴染とも縁が切れてないみたいだしさ。

一応貴族になったんだからさ、平民なんかの相手をするなんて何を考えているよ。

まぁ、平民生活が長いだけあるわよね。

私は貴族だからお母様みたいに平民の相手はしないけど。

お母様との話をさっさと切り上げてお父様のところに向かったわ。

もちろん、お姉様の居場所を聞くために。

そしたらお父様までもが

「あんな奴、放っておけ」

だって!

お姉様がいなかったら私の課題もやってもらえないじゃない!


結局お姉様がどこにいるかわからず、帰ってこないまま2週間が過ぎた。

流石のお父様もこれには焦りだしているけど、お母様は相変わらずだわ。

でもお父様が焦っている意味がわからないのだけど。

私は雑用とかやってもらえる人が居ないから早く帰ってきて欲しいけどね?

お母様とはなんだか話をするのが嫌になってしまってあれからまともに話をしていない。

その間にも色んな人の相手をしているらしいけど。

そんな中、急にお父様からこんなことを言われたわ。

「アレックス様の婚約者にリリアーナが選ばれた」

と。

最初に聞いた時は意味がわからなかったわ。

だってお姉様が居なくなっちゃったから婚約破棄出来ないはずなのに。

でもそう思ったのは一瞬、すぐに私が次期王妃になれるんだって喜んだわ。

お姉様はアレックス様に捨てられたから悲しくなって、どこかに行ってしまっただけよ。

そう考えることにした。

やっぱり私が王妃に相応しいのよ!

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