殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

文字の大きさ
20 / 49

19話 リリアーナside

しおりを挟む

「りっ、リリアーナ!お前はダリア様になんてことを......っ」

お父様は私でもわかるくらいに焦っていて、なんでこの人に対してを付けるのかも、なんで焦っているのかも全くわからない。

私が首を傾げていると、お父様は地面に頭を擦り付けて謝っている。

流石にそれには驚いて、

「お父様!なんでこの人にそんなことを...っ!?」

って思わず言っちゃったわ。

するとお父様は

「黙れ!ダリア様は、陛下の妹君だぞ!お前も謝れ!」

そう言って頭を床に押し付けられた。

は?妹君?知らないんだけど!

それならそうと最初から言うのが礼儀ってもんじゃないの!?

ちょ、痛いんだけど...っ!!

お父様にされるがまま、頭を床につけていると上から

「はぁ......ユーフェミア嬢の頼みだから聞いてやったが、これが王妃になるなんてやっぱり無理な話だな」

という陛下のため息混じりな声が聞こえてきた。

すると、それに便乗したように

「そりゃあそうよ。ユーフェミアちゃんに虐待をしてきた親の子ですもの」

と王妃が続いた。

チラッと横を見ると、お父様の顔の色は真っ青を通り越して白色に変わってしまっている。

ていうか、ちょっと!いつまで頭を下げなきゃいけないのよ!

お父様もさっさと離しなさいよ!

流石に限界がきて無理やり頭を上げようとすると

「頭を上げていいわ」

とダリアが言った。

ったく。なんで次期王妃の私が頭を下げなきゃいけないのよ!

大体、妹って言っても今はどっかの家に嫁いでんでしょ?

だったら私と同じ公爵家かその下じゃないの!

そう思ってダリアを睨みつけると、ふんっ、と鼻で笑ってきた。

あー!やっぱり腹立つ!

「その様子じゃ、何も知らされてないのね。貴方は王妃教育を完了することが出来なかったら平民落ちが確定してるわ」

はぁ?何よそれ!

なんで私が平民に落とされなきゃいけないのよ!

しかも王妃教育を完了しなきゃ?とか、私は勉強しなくていいくらい優秀だからいらないわよ!

そう言ってやりたいけど、陛下がいるから我慢したわ。

だって、義理の親になるんですもの。

少しは良い印象を植え付けておかないとね!

でもダリアは私に喧嘩を売るのをやめなかった。

「まぁ、元は平民だったみたいだし。お金に困ったら貴方のお母様のように体でも売ったら?そうすれば貴族に戻ってこれるかもね」

そう言ってあからさまに私を馬鹿にしてきた。

何よ!私は生まれた時から貴族よ!

だって、お父様が貴族なんだから!

流石に何か言い返してやろうと口を開く前に

「はぁ......ユーフェミアの方が美人だし、頭も良いし気が利いたわ。王太子はなんでこんな見た目だけの女に引っかかってしまったのかしら......」

ダリアにそう言われて、流石に言い返す気力を失った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……

小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。 この作品は『小説家になろう』でも公開中です。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...