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20話
しおりを挟むレオンハルト様と再会して2ヶ月後。
私達は婚約者同士となっていました。
最初はそのつもりはなかったんですけど、話をしているうちにこの人だったら...と思えるようになったんです。
レオンハルト様は留学を早めに切り上げて戻ってきてくれたんですが、流石に申し訳なくて謝ると
「俺にはあの国は合ってないみたいだし、ミアちゃんもこっちに居るなら戻っていいかなって」
と言って笑っていた。
レオンハルト様曰く、殿下が絶対、みたいな考えがそもそもおかしいし、誰かしら殿下の暴走を止めなきゃいけないはずなのに放置してるのもありえない。
との事でした。
正直、私もその通りだと思います。
そんなことをするから殿下が勘違いしてしまうんですよね。
でも、もう私には関係のないことですから良いんですけど。
愛しのリリアーナと婚約者になれてさぞ喜んでと思いますわ。
そう思いながらも、必死に勉強しているリリアーナの姿を想像して、クスっと笑ってしまいました。
多分、最初に教えてくれるのはダリア様なので厳しく教えてもらっているでしょうね。
あら、そう考えてしまうなんて、やっぱり恨みでも溜まっていたんでしょうか?
それから、伯父様たちですが、陛下にお母様の件を話したみたいです。
毒殺の件は、私のお父様が主犯でしたが、王妃様もそれに加担していたと。
それを伝えたら、とりあえず王妃と話し合いをするから待ってて欲しい、と言われたらしく今は陛下からの連絡待ちです。
もし、王妃が伯父様に対して名誉毀損だ、とか言って抗議してくるようであれば貴族裁判になるだろう、と話していました。
陛下の心境的には、あまり騒ぎを大きくせずに、王妃を離宮に監禁して国民達にら病気だと発表する、ということを望んでいるらしいですけどね。
話を聞く限り、そんなに簡単に終わらない気がします。
だって、王妃様は気が強そうですもの。
それから、お父様にも手紙を出したみたいです。
私がこっちにいること、お母様を毒殺したことはわかっている、ということ。
そして、正式に訴える気があることも忘れずに送ったそうです。
1ヶ月前には送ったらしいんですが、まだ返事が来てないんですって。
多分、お父様の性格上ビビって返事をすることが出来ないんでしょうね。
はぁ......そう考えると先が長そうです。
私はというと、今日もレオンハルト様とお茶を楽しんでいます。
レオンハルト様と話をするのは楽しいです。
私も王太子の婚約者だったので、他の令嬢よりは知識やマナーが詰め込まれていますが、レオンハルト様はそれ以上に色んなことを知っています。
「今日のお茶はルクリリというものを用意したよ」
そう言って私の前で微笑むレオンハルト様は今日もお美しいです。
「ルクリリ......聞いたことはありますが、初めて飲みますわ」
好みが別れるクセのあるお茶より定番のアールグレイやダージリンが用意されることが多かったですもの。
レオンハルト様が色んな種類のお茶を持ってきてくれるおかげで、前は少し苦手だったお茶会が今は楽しみになりました。
「ルクリリはミルクティーにして飲むのが主流なんだよ。まぁ...お茶にミルクを入れるなんて、とか言う人もいるから好きな人は少ないんだけどね」
そう言いながら、私に茶葉を見せてくれました。
一般的な茶葉とは違って粒のような形をしていて、これが一体どんな味を出すのか楽しみです。
ワクワクしながらアンナがお茶を淹れてくれるのを待っていると
「ミア!」
と息を切らしたマリウス様が現れました。
どうしたんでしょう?
首を傾げてマリウス様の言葉を待つと
「王妃がついに動いた!想定していた通り、名誉毀損で訴える、と言ってきたそうだ」
そう言って、マリウス様は笑った。
実は伯父様は貴族裁判を確実に開けるように、わざと先に陛下に話をしに行ったんです。
ただ裁判を起こす、とだけ言っても王妃が応じなければ出来ませんからね。
アンナが入れてくれたお茶を一口飲んで、マリウス様の話に耳を傾けた。
あ、この紅茶美味しいですね。
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