殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

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21話 ユーフェミア父side

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✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

ユーフェミアはこちらにいる。

あれほど言ったのに随分とユーフェミアを苦しめてくれたみたいだな。

それから、貴様のやったことは全て把握している。

こちらの国の王妃と手を組んで、ハーレミア(ユーフェミアの母)を毒殺したこともな。

証拠も揃っているし、貴様らを訴えるつもりだ。

もし、誠心誠意謝って罪を認め、それ相応の態度を見せてくれるのなら公にする気はない。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼




なんという事だ......

俺はこの手紙を読んで呆然としていた。

ユーフェミアが王太子の婚約者に選ばれた時までは上手くいっていたのに全てが台無しじゃないか...。

どこで間違えたんだ...

やっぱりハーレミアと結婚したのが間違えだったのか?

いや、だが結婚したおかげで隣国との友好が築けているんだ。

それもあって公爵の中でもトップに立っているんだからな。

じゃあアイツしかいない...!

ディアナ(リリアーナの母)を妻に迎えてから俺の人生が狂い始めたんだ...っ!

元々はハーレミアを殺すつもりなんてなかった。

でも、アイツが...!ディアナがハーレミアを殺して自分が妻になりたいと我儘を言ったからこんなことになっているんだ。

やっぱり平民を妻に迎えるなんて無理な話だった。

おかげでリリアーナも淑女どころか娼婦のような馬鹿な女に育ってしまった。

ディアナだって、今頃どこの男と一緒なのかもわからん。

そう頭を抱えていると

「お父様ぁ~、リリアーナ、新しいドレスが欲しいんですぅ~」

とリリアーナが急に執務室に入ってきた。

バカか?ノックくらい誰でも出来るだろう?

コイツはそんなことも出来ないのか?

今までは気にならなかったことも些細なことでイラついてしまう。

「リリアーナ、扉をノックすることくらい出来るだろう?なぜしないんだ?」

苛立ちを隠しながらそう聞くとリリアーナは首を傾げて

「...え?お父様、今までそんなこと言わなかったじゃない」

と答えた。

なんだ、そんなバカな理由は!

俺はこれを可愛いと思って育ててきたのか?

そう考えると、頭が痛くなる。

「リリアーナ......王妃になるんだからそれくらい、言われなくてもやってくれなきゃ」

なるべく優しくそう言った。

急に厳しくなったら絶対うるさいからな。

すると折角優しく言ってやったのに

「なによ!お父様の意地悪!なんで家に来てまでそんなことしなきゃいけないの!?」

と叫んで部屋を出ていってしまった。

はぁ......すぐに癇癪を起こすのはディアナにそっくりだな。

 いや...今までは何でも言うことを聞いてきた父親に急にこんなことを言われて驚いたんだろう。

だが、この感じだと王妃教育を完了するどころか、途中で見捨てられる可能性だってある。

ダリア様はユーフェミアのことを気に入っていたからな。

いつも聡明で優しい良い子だと褒めていた。

クソっ!リリアーナが余計なことをしなければ、今頃ユーフェミアが王太子妃の座について、我が家も安泰しただろうに...っ!

あれほど嫌悪していたユーフェミアがこんなにも重要人物だったなんて、誰が想像できた?

ユーフェミアに謝る...?

いや、だが虐めていたのは基本的にディアナ達だろ?なぜ俺が...っ!

色んな感情が巡る中、届いた手紙を引き出しの奥に押しやって、今後どうするのかを考えることくらいしか俺には出来なかった。

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