殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

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24話 アレックスside

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リリアーナが婚約者になって2ヶ月が経とうとしていた。

リリアーナは初日から、やらかしてくれたみたいで、ダリア叔母様にネチネチ嫌味を言われてしまった。

クソっ!だからリリアーナでは無理だと言ったではないか!

ダリア叔母様から、平民に落とされる、と言われて最初の1週間は頑張っていたが、少しずつサボる回数が増えていって、今では王宮に来たかと思えば俺のところに逃げてくる始末。

学園の課題は完璧にやっていると聞いたから少しだけ希望があったが、全てユーフェミアに押し付けていたことが判明した。

今はユーフェミアがいなくなったせいで、課題もまともに出せないみたいだ。

でもそれは俺のせいではない!

自分で勉強をサボっていたせいではないか。

苛立ちを抑えながら王宮の中を歩いていると兵士達の話し声が聞こえてきた。

何かやましいことがあるわけではないが、何となく隠れて耳を澄ますと

「なぁ......殿下の新しい婚約者...姉の婚約者を奪ったんだろう?」

「それでよくあんなに威張っていれるよな」

「あぁ、ユーフェミア様の方が優しかったし、たかが一般兵の俺らにも必ず挨拶をしてくれたしな」

「リリアーナ様だったか?あの人、噂を聞いても最悪だぞ?」

「うわぁ...そんな人が次期王妃か。この国も終わったな」

リリアーナの話しか。

やっぱり周りの評価も最悪だな。

まぁ、俺もあんなに我儘なやつだとは思わなかったが流石に限度というものがあるよな。

兵士達の言葉に1人で頷いていると

「俺は殿下がリリアーナ様に惚れ込んでユーフェミア様が殿下を見捨てたと聞いたぞ」

というのが聞こえてきた。

何だと!?

そんなことを言われているのか!?

あんな馬鹿女に惚れたなんて噂が流れるとは......。

しかも俺が見捨てられただと?

誰がそんな噂を......!

「そりゃあ捨てられるわ。そうじゃなくても殿下のユーフェミア様に対する態度、最悪だったしな!」

「ははっ、その通りだな」

その話を聞いて、俺はその場から動けなかった。

その間に、話をしていた兵士達の声はどんどん遠ざかっていった。

ユーフェミアへの態度が悪かったのは認める。

だが、俺は騙されていたんだ!

悪いのは全てリリアーナだ...っ!

そう思っていると

「あ!アレックス様ぁ~!聞いてくださいよ!ダリア様が酷いんです!」

と耳障りな声が聞こえてきた。

前まではあんなに可愛いと思っていたリリアーナに対して今はもう嫌悪感しかない。

チラッとリリアーナを見ると、今日もピンクのフリフリのドレスを着て濃いメイクを施している。

一応、15歳にもなれば、立派な大人だ。

皆その場に合った服装をしてくる。

でもリリアーナはどの場面でも、ピンク、リボン、フリル、そして、濃いメイクを必ず装備している。

これには無意識にため息が出てしまう。

「アレックス様ぁ~?」

俺の様子がおかしいことに気付いたのか、リリアーナが首を傾げている。

今はその行動すら目障りでしかない。

これ以上、一緒にいたらストレスでおかしくなってしまいそうだ。

だから

「すまない、やることが溜まっているんだ。リリアーナは王妃教育を頑張ってくれ」

そう言ってリリアーナから離れた。

後ろから何か聞こえるが、振り返ったらまた近付いてくるから決して振り向かなかった。


......いつまでこんな日々が続くんだ?

ユーフェミアがいれば......そうか!ユーフェミアを連れ戻せばいい話じゃないか!

そうすれば、俺が平民に落とされることもないし、リリアーナとの婚約だって、解消することが出来る!

きっと、ユーフェミアは俺のことが恋しくなって婚約破棄したことを悔やんでいるはずだ!

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