殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

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23話

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陛下と話をして1ヶ月が過ぎました。

今日は待ちに待った貴族裁判の日です。

叔父様は

「証拠も揃っているんだ。王妃のしたこと白日の元に晒してやる」

と意気込んでいました。

王妃は弁護士を立てて戦うとの事でしたが、叔父様は自分の手で勝利をつかみたい、ということで弁護士は立てないみたいです。

私と叔母様、マリウス様も行きますが、証言することはないと思うので傍観者ということになります。

叔父様が今までひたすら集め続けた証拠をひっくり返すなんて不可能に近いですが、王妃はどうするんでしょうね?

それから、あの後陛下との話の中でわかったんですが、王妃は他にもやらかしているみたいで、それも決着がつくみたいですよ。

あ、何をやらかしたのかは後に説明しますね。



皆で馬車に乗り込んで、裁判所に向かいます。

裁判自体はあまり起こることではないんですが、王宮で毎回裁判を行うのも...ということで、裁判所を別に建ててあるらしいです。

マーランナ国では割と多くの数の裁判が行われますが、王宮で用意されているので裁判所に行くのは初めてなんですよね。

王妃教育で王宮に行くと、裁判に負けてしまった人達とすれ違うんですが、すごく気まずかったですわ。

不謹慎ながらも裁判所がどういう所かワクワクしていると

「そうそう、実は私、貴族裁判は2回目なのよねぇ~」

と叔母様がにこやかに衝撃的なことを言った。

マリウス様も初めて聞いたのか、目を見開いていますわ。

あら、叔父様は苦笑していますね。多分、知っているんでしょう。

「なぜそんなことに?」

とマリウス様は興味津々に尋ねました。

私も気になります、の意味を込めて頷くと

「そうねぇ......私がまだ子爵令嬢だったときの話なんだけど、実は国家反逆罪の疑いをかけられたのよね~」

叔母様はにこやかに笑いながら言っていますが......笑っていいものなんでしょうか?

少し戸惑いながら叔母様の話に耳を傾けます。

「まぁ、簡単に言うと子爵令嬢が公爵家に嫁ぐのを面白く思わない人が居たのよ。この人に恋していた人、とかね」

そう言って叔父様を見ると、昔のことだ、と目を逸らされてしまいました。

実は叔父様も昔は遊び人だったんでしょうか?

...もしそうだとしたらちょっと見る目が変わってしまいますわ。

そう思いながら叔父様を見ていると、叔母様は少し焦ったように

「あ、この人が女たらしだっただけで、女遊びが凄かった訳ではないわよ?素で女を誑かしちゃうのがダメなのよ」

と訂正しました。

なるほどです。なんとなく、それなら納得ですわ。

だって、叔父様はもう45歳くらいのはずなのにそれが感じられない程若々しいですもの。

気を使うのが上手ですし、女性が言って欲しい言葉をさりげなく言ってくれますし。

きっと10代の頃の叔父様はイケメンさんでモテモテだったに違いませんわ。

あら、そう考えるとマリウス様は叔父様にそっくりですね?

もちろん冤罪だということで、その令嬢は修道院行き、家は関わっていないとの事で一時タダ働きだったらしいです。

そして最後に

「あの時は言わなかったけど、その件も王妃様が絡んでいる噂を聞いたのよねぇ~」

そう言って笑った叔母様の目は全く笑っていなかった。

この国の王妃は何やら色んなことをやらかしまくっているみたいです。
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